日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] ポスター発表

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[O-05] 変動帯の地質と文化

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:鈴木 寿志(大谷大学)、川村 教一(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、先山 徹(NPO法人地球年代学ネットワーク 地球史研究所)

17:15 〜 19:15

[O05-P02] 日本列島の自然石文化と岩石の信仰

★招待講演

*吉川 宗明

キーワード:自然石文化、岩石信仰、磐座、巨石、鑑賞石

人が岩石をどのように利用したかではなく、人が岩石に接してどのように感じたかに注目したい。
自然に存在する岩石に影響を受けて生まれた文化を自然石文化と呼ぶ。その一つの極致が、岩石を神や仏、精霊としてあがめるなどの岩石信仰である。自然石のまま信仰する場合もあるが、場所だけ動かして並べたり積んだりして祭りをする場合もある。また、場所は移動しないが自然の岩肌に図像や字を刻んで拝む場合もある。もちろん、石材として完全に切り出して整形したうえで成立した信仰もある。
岩石にどれだけ手を入れたかという違いはあるが、これらはすべて、岩石が露出した時の自然の姿に対して抱いた心理の差とも言える。一方で、自然石を見て石材として用いない選択をした心理や、神仏として崇めるにいたらなかった心理、そもそも岩石を意識することなく放置したという心理のありかたも存在する。岩石と一言でまとめても、自然石のありかたによって人の感受性には多様性が認められる。
本発表では、磐座や巨石信仰と通俗的に呼ばれる岩石から、そのような用語では当てはまらない数々の岩石信仰の事例も紹介して、岩石信仰の領域の理解につなげる。さらに、自然石に美を見出した水石や庭石などの鑑賞石、聖でも美でもない民話のキャラクターとして登場する岩石など、自然石文化の裾野の広がりも明らかにする。
人間と岩石の精神的な関係は、さまざまな学問において分析されるべきテーマということが伝わる発表を目指す。