13:45 〜 14:05
[O06-01] 西之島が成長し続ける理由を物理学的観測から解明できるか?
★招待講演
キーワード:西之島、空中磁気探査、磁化構造、海底電位磁力計、電気伝導度構造
2013年11月、小笠原島弧にある西之島は約40年ぶりに火山活動を再開しました。その後、2013年以前から存在していた旧島を取り込みながら成長し、大きく変貌を遂げてきたことは、皆さんもご存知のことでしょう。
伊豆小笠原島弧の東側では、古い太平洋プレートが海溝で沈み込んでいます。この沈み込みに伴い、多くの火山島や海山が形成され、伊豆小笠原島弧を作り上げています。しかし、2013年から10年以上経った現在でも、大規模な噴火活動を長期にわたり繰り返しているのは西之島だけです。では、なぜ西之島だけが現在も活発な火山活動を続けているのでしょうか?私たちは、西之島という火山の内部構造を解明することで、噴出するマグマの起源を探り、西之島の活発な火山活動の要因やその謎を解き明かせるのではないかと考えました。
一方で、西之島が地球の大陸地殻の形成メカニズムを解明する鍵となる可能性がある、という説も提唱されています(Tamura et al., 2016)。つまり、西之島は将来的に大陸へと成長する可能性のある『大陸地殻の子供』だということです。この仮説を検証するためには、沈み込んだ太平洋プレートから脱水して上部マントルに供給される水が、どのようなルートを辿りながらマグマへと変化していくのかを明らかにすることが不可欠です。
私たちは、西之島の内部構造や火山活動に関わるマグマの分布、さらにはマグマを生成させるための水の存在場所を特定するために、2016年から地球電磁場を利用した観測を継続的に行ってきました。2019年6月には、西之島の表層部分の構造を明らかにするために、マルチコプター(いわゆるドローン)による空中磁気探査を実施しました。その結果、2013〜2015年の噴火以前に噴出した溶岩と考えられる磁化強度の異常領域を発見しました。話は少し遡りますが、2016年から西之島周辺の海底にOBEM(ocean-bottom electromagnetometer; 海底電磁場観測装置)を約20地点に設置し、西之島の深部構造の探査を行いました。この研究は、西之島の中の電気の流れやすさ分布を調べることで、マグマや水の存在を突き止めることがそもそもの目的でした。OBEMは2016年から2020年12月まで、複数回に分けて海底に設置しました。しかし、西之島の海底での火山活動に由来すると考えられる現象によって、海底にトラップされて回収できなかったOBEMや、設置期間中に海底で約3kmも移動したOBEMもありました。これらの観測機器は、上空からの観察・監視だけでは知り得なかった貴重な火山活動の情報をもたらしています。さらに、西之島から流され、なんと琉球諸島の西表島まで約1700kmの旅をしたOBEMもありました。
このように、西之島をターゲットとした観測は、絶海の孤島における空中磁気探査という世界初の試みや、OBEMによる前例のない観測体験もしながら、現在も引き続き実施しています。本発表では、観測データや写真を交えながら、研究者がどのように西之島の謎に迫っているのかを紹介します。また、まだ私たちが気づいていない新たな視点についても、皆さんと活発に議論ができればと思っています。
伊豆小笠原島弧の東側では、古い太平洋プレートが海溝で沈み込んでいます。この沈み込みに伴い、多くの火山島や海山が形成され、伊豆小笠原島弧を作り上げています。しかし、2013年から10年以上経った現在でも、大規模な噴火活動を長期にわたり繰り返しているのは西之島だけです。では、なぜ西之島だけが現在も活発な火山活動を続けているのでしょうか?私たちは、西之島という火山の内部構造を解明することで、噴出するマグマの起源を探り、西之島の活発な火山活動の要因やその謎を解き明かせるのではないかと考えました。
一方で、西之島が地球の大陸地殻の形成メカニズムを解明する鍵となる可能性がある、という説も提唱されています(Tamura et al., 2016)。つまり、西之島は将来的に大陸へと成長する可能性のある『大陸地殻の子供』だということです。この仮説を検証するためには、沈み込んだ太平洋プレートから脱水して上部マントルに供給される水が、どのようなルートを辿りながらマグマへと変化していくのかを明らかにすることが不可欠です。
私たちは、西之島の内部構造や火山活動に関わるマグマの分布、さらにはマグマを生成させるための水の存在場所を特定するために、2016年から地球電磁場を利用した観測を継続的に行ってきました。2019年6月には、西之島の表層部分の構造を明らかにするために、マルチコプター(いわゆるドローン)による空中磁気探査を実施しました。その結果、2013〜2015年の噴火以前に噴出した溶岩と考えられる磁化強度の異常領域を発見しました。話は少し遡りますが、2016年から西之島周辺の海底にOBEM(ocean-bottom electromagnetometer; 海底電磁場観測装置)を約20地点に設置し、西之島の深部構造の探査を行いました。この研究は、西之島の中の電気の流れやすさ分布を調べることで、マグマや水の存在を突き止めることがそもそもの目的でした。OBEMは2016年から2020年12月まで、複数回に分けて海底に設置しました。しかし、西之島の海底での火山活動に由来すると考えられる現象によって、海底にトラップされて回収できなかったOBEMや、設置期間中に海底で約3kmも移動したOBEMもありました。これらの観測機器は、上空からの観察・監視だけでは知り得なかった貴重な火山活動の情報をもたらしています。さらに、西之島から流され、なんと琉球諸島の西表島まで約1700kmの旅をしたOBEMもありました。
このように、西之島をターゲットとした観測は、絶海の孤島における空中磁気探査という世界初の試みや、OBEMによる前例のない観測体験もしながら、現在も引き続き実施しています。本発表では、観測データや写真を交えながら、研究者がどのように西之島の謎に迫っているのかを紹介します。また、まだ私たちが気づいていない新たな視点についても、皆さんと活発に議論ができればと思っています。