14:25 〜 14:45
[O06-03] 火山噴火による西之島の植物の完全な消失と新たな侵入について
★招待講演
キーワード:火山島、維管束植物、藻類、気生藻
西之島は、現在も噴火活動を続ける火山島であり、2013年から2020年の噴火によって、これまで生育していた維管束植物が噴火によって死滅した。このことは、陸上生態系において光合成による有機物生産を行う光合成植物が島全体から消滅したことを意味する。このような状況からの生態系再生プロセスを理解するためには、維管束植物に代表される大型の植物だけでなく、藻類などの微小な植物の侵入過程の検討が必要である。本講演では、2013年以降の植物相の変化について、維管束植物と噴火前後に確認された藻類について紹介する。
西之島には、2013年の噴火以前には、オヒシバ、スベリヒユ、イヌビエ、グンバイヒルガオ、ハマゴウ、ツルナの6種の維管束植物が生息していた。しかし、2013年以降の噴火により3種が絶滅し、オヒシバ、スベリヒユ、イヌビエの3種が旧島上に生育するのみとなった。さらに、2019年以降の噴火による旧島の消失により、これらの植物も絶滅した。一方、藻類については、2019年に旧島の溶岩上に生育する気生藻が確認・採取され、2022年には、2020年以降の噴火堆積物上に生育する藻類が確認・採取された。2019年以前は藻類などの微小な植物に関する調査はなされていなかったが、新たに成立した火山島において、もっとも初期に侵入する植物として藻類の重要性が示された。
採取された気生藻と藻類については、それぞれ、培養後、形態観察、18S rDNAおよびITS rDNA配列を用いた分子系統解析を行った。その結果、2019年に採取された気生藻は、Trebouxiophyceae,WatanabealesのChloroidiumに属する種であり、未記載種と考えられた。一方、2022年に採取された藻類は、Trebouxiophyceaeに属する緑藻であるMicractinium thermotoleransと同定された。本種は、ロシアの温泉や中国の砂漠などで発見されており、耐熱性の高い種とされている。このように極端に離れた特殊地域から確認されていることから、高い分散力を持つことならびに、高熱などの環境圧耐性を持つことが本種の西之島への侵入を可能にしたと考えられる。一方、Chloroidium属未記載種については、西之島で分化した可能性もあるが、気生藻の高い分散力を考慮すると、未発見の広域分布種であった可能性も考えられる。今後、これらの藻類の分散における風や海鳥の役割、厳しい環境下で生存できる生理的特性、西之島で持続的な個体群を形成しているかどうか、有機物の蓄積などの生態系の形成機能を持つかどうかなどについて検討する必要がある。そのためにも自動サンプリングを含む現地調査の実施が重要である。
西之島には、2013年の噴火以前には、オヒシバ、スベリヒユ、イヌビエ、グンバイヒルガオ、ハマゴウ、ツルナの6種の維管束植物が生息していた。しかし、2013年以降の噴火により3種が絶滅し、オヒシバ、スベリヒユ、イヌビエの3種が旧島上に生育するのみとなった。さらに、2019年以降の噴火による旧島の消失により、これらの植物も絶滅した。一方、藻類については、2019年に旧島の溶岩上に生育する気生藻が確認・採取され、2022年には、2020年以降の噴火堆積物上に生育する藻類が確認・採取された。2019年以前は藻類などの微小な植物に関する調査はなされていなかったが、新たに成立した火山島において、もっとも初期に侵入する植物として藻類の重要性が示された。
採取された気生藻と藻類については、それぞれ、培養後、形態観察、18S rDNAおよびITS rDNA配列を用いた分子系統解析を行った。その結果、2019年に採取された気生藻は、Trebouxiophyceae,WatanabealesのChloroidiumに属する種であり、未記載種と考えられた。一方、2022年に採取された藻類は、Trebouxiophyceaeに属する緑藻であるMicractinium thermotoleransと同定された。本種は、ロシアの温泉や中国の砂漠などで発見されており、耐熱性の高い種とされている。このように極端に離れた特殊地域から確認されていることから、高い分散力を持つことならびに、高熱などの環境圧耐性を持つことが本種の西之島への侵入を可能にしたと考えられる。一方、Chloroidium属未記載種については、西之島で分化した可能性もあるが、気生藻の高い分散力を考慮すると、未発見の広域分布種であった可能性も考えられる。今後、これらの藻類の分散における風や海鳥の役割、厳しい環境下で生存できる生理的特性、西之島で持続的な個体群を形成しているかどうか、有機物の蓄積などの生態系の形成機能を持つかどうかなどについて検討する必要がある。そのためにも自動サンプリングを含む現地調査の実施が重要である。