日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-07] 国連海洋科学の10年:SDG目標14の推進に向けた今後の展望

2025年5月25日(日) 09:00 〜 10:30 展示場特設会場 (4) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原田 尚美(東京大学)、藤井 陽介(気象庁気象研究所)、斎藤 実篤(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、堀井 元章(文部科学省)、座長:原田 尚美(東京大学)、藤井 陽介(気象庁気象研究所)、斎藤 実篤(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、堀井 元章(文部科学省)


09:45 〜 10:00

[O07-04] Argoの現状と国連海洋科学の10年:OneArgoの実現に向けて

★招待講演

*須賀 利雄1,2 (1.東北大学 大学院理学研究科、2.東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所)

キーワード:Argo、全球海洋観測システム、地球温暖化、炭素循環、海洋生態系、異分野融合研究

国際Argo(アルゴ)プログラムは、延べ30か国以上が協力して、25年以上にわたり世界の海洋の上層2000mの水温・塩分データを時空間的にほぼ均質に準リアルタイムで提供してきた。現在、約4000台のプロファイリングフロートによる観測網が維持されており、これまでに取得・公開してきた鉛直プロファイル数は300万を超える。Argoは海洋観測を革新し、海洋科学の進展はもちろん、地球温暖化のモニタリングや季節予報の精度向上に貢献してきた。Argoの成功とフロート・センサー技術の進歩は、この観測システムの拡張への期待を高め、2009年に開催された国際会議OceanObs’09を契機に、Argo拡張に関わる議論と検討が本格化した。そして、2019年のOceanObs’19において、Argo観測網の大規模な拡張であるOneArgoの計画が提案され、海洋観測コミュニティのコンセンサスを得るに至った。OneArgoは、Core(コア)ミッション、Deep(深層)ミッション、BGC(生物地球化学)ミッションを一体とした観測網デザインである。Coreミッションは、Argoの元々のミッションである、水深2000m以上の外洋域をほぼ緯度経度3度に1台の密度でカバーするフロートによる深度2000mまでの水温・塩分プロファイル計測を、縁辺海・季節海氷域にまで拡張するとともに、熱帯域や西岸境界付近のフロート密度を2倍にしたものである。Deep ミッションは海底までの水温・塩分の計測、BGCミッションは深度2000mまでの溶存酸素、pH、硝酸塩、クロロフィル、光後方散乱、放射照度の計測であり、そのためのフロートをそれぞれDeepフロート、BGCフロートとよぶ。ここで重要なのは、従来のフロートであるCoreフロートだけでなく、DeepフロートとBGCフロートもCoreミッションを担うという点である。OneArgoはCoreフロート約2500台、Deepフロート約1200台、BGCフロート約1000台によって構成される一つの観測システムであり、これがその名称の由来ともいえる。OneArgoは、熱や淡水の再分配やその水位変動への寄与の全層的なモニタリング、海洋上層の生物地球化学過程とその炭素循環への寄与の把握などを可能にするとともに、異分野融合研究を促進して、社会に有用なさまざま情報・アウトカムをもたらすと期待される。一方、従来のArgoの3倍以上の資金が必要であるOneArgoの実現には、科学コミュニティと社会の幅広い支持が不可欠である。国際Argo運営チームがOneArgoの構築を「国連海洋科学の10年」のプロジェクトとして実施している理由がここにある。OneArgo実現に向けた課題と国連海洋科学の10年への期待について述べる。