日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] 口頭発表

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[O-08] キッチン地球科学:多様な到達点を生む実験

2025年5月25日(日) 09:00 〜 10:30 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、鈴木 絢子(東洋大学)、下川 倫子(奈良女子大学)、栗田 敬(東京工業大学 地球生命研究所)、座長:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、鈴木 絢子(東洋大学)、下川 倫子(奈良女子大学)、栗田 敬(東京工業大学 地球生命研究所)

09:00 〜 09:30

[O08-01] 超小型火山地形ルートレスコーンのレシピ

★招待講演

*野口 里奈1 (1.新潟大学 自然科学系)

キーワード:ルートレスコーン、実験、火星、キッチン地球科学

ルートレスコーンは、溶岩と水の爆発的な相互作用によって形成される超小型火山地形である。高温溶岩が水で飽和した堆積物(含水層)を覆うと、水の気化・膨張・爆発が起こり、火砕物の放出によって円錐状の山体が形成される。この爆発現象は自然界では稀であり、その危険性から、間近で観察することは困難である。

これまでの研究では、制御可能なシステムの下で、溶融させた玄武岩(例えば、Zimanowski et al., 1997)やテルミット反応(例えば、Sheridan and Wohletz, 1981)を用いた実験が行われてきた。これらの結果から、マグマ-水質量比と反応による爆発性の間には非線形的な関係のあることが明らかとなっている。これらの実験は自然現象よりも小規模であるものの、依然として近接観察には危険であった。

このジレンマを解決するため、我々(Noguchi et al., 2018)は、水あめと重曹を用いた独自の実験システムを開発した。加熱した水あめを溶岩、重曹とケーキシロップの混合物を含水層に見立て、両者の間で発生するレイリー・テイラー不安定性が爆発を促進することを明らかにした。さらに、我々(Noguchi and Nakagawa, 2025)は、ルートレスコーンの空間分布における自己組織化を検証する実験を行った。先行研究(Hamilton et al., 2010)では、空間分布解析と理論に基づき、ルートレスコーンの分布は、爆発で消費される水を近隣の爆発点と奪い合う過程で自己組織化されると考えられていた。今回の実験結果から、空間分布の自己組織化は、水の競合だけでなく、溶岩内での上昇経路(火道)の競合によっても引き起こされる可能性が示唆された。

本発表では、マグマと水の相互作用に関するこれまでの実験研究をレビューし、溶岩と水の相互作用に特に焦点を当てた我々の研究(Noguchi et al., 2018; Noguchi and Nakagawa, 2025)を紹介する。

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Noguchi et al., 2018, EPS, 70:208.; Noguchi and Nakagawa, 2025, JVGR, 458, 108221.; Sheridan and Wohletz, 1981, 212(4501), 1387-1389.; Zimanowski et al., 1997, Bull Volcanol 58:491.