日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[O-09] ジオパークとサステナビリティ(口頭招待講演)

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、榊山 匠(四国西予ジオパーク推進協議会 )、福村 成哉(南紀熊野ジオパーク推進協議会)、座長:鈴木 比奈子(専修大学)、金田 皓樹(洞爺湖有珠山世界ユネスコジオパーク)、盛合 秀

13:50 〜 14:15

[O09-01] 自然災害に対するジオパークの考え方と世界の動向

★招待講演

*中田 節也1 (1.研究開発法人 防災科学技術研究所)

キーワード:地質災害、気候変動、世界ジオパークネットワーク、2025-2035年行動戦略

近年、世界の多くの地域で、地球温暖化が原因と考えられる極端な自然災害が頻発している。地球温暖化は、氷河の後退や海面上昇を引き起こし、その結果、海岸浸食や山岳地帯での雪崩、地滑りなどが頻発している。地球温暖化の影響は、現在世界中に200以上あるユネスコ世界ジオパークの地域でも見られる。特に、森林火災や豪雨による洪水が頻発している。その一方で、地震、津波、火山噴火は、現在進行中の地球の挙動と変わることなく発生し続けている。スペイン、ブラジル、アイスランド、カナリア諸島、インドネシア、日本などでは、これらの現象が繰り返し発生し、ユネスコ世界ジオパークに影響を及ぼしている。
 ジオパークとは、地球の活動によって記録された地形や地質を地域の遺産として保存し、持続可能な開発を進めながら教育や観光に活用するシステムである。現在、自然災害を引き起こしている現象は、地球の営みの一部であり、自然の恵みとして将来、地域遺産を生み出す可能性がある。
 ジオパークでは、自然災害や気候変動を引き起こす地球のプロセスを学び、各地域の地質遺産が形成された地球科学的背景を理解し、過去に起きた自然災害と、そこから回復して現在に至る人類の経験を学ぶことができる。その過程で、近い将来、地域が直面するかもしれない自然災害を想像し、備えることができる。さらに、個々のジオパークだけでなく、ジオパークの地域的・世界的ネットワークを通じて、地域的・世界的規模で発生する共通または類似の災害や気候変動に関する情報や経験を交換することも可能である。
 発生した災害に対する直接的な対応や救援は国や地方自治体の責任であり、ジオパークが直接その責任を負うことはない。しかし、ジオパークにとってより重要なのは、住民や観光客が、地域で過去に発生した災害や、その災害からの復興の歴史を理解し、将来の災害に対する備えや心構えを持つことである。また、ジオパークには基本的に自治体職員や防災関係者もメンバーとして参加している。彼らがジオパークで学び、経験したことは、次の自然災害に対して、事前、発生時、災害後のいずれにおいても、考え、行動するための強力な基礎となるはずである。
 世界ジオパークネットワーク(GGN)では、的を絞った教育と伝統的な知識と現代科学の融合を通じて、ジオパークとコミュニティが直面する災害を理解し、災害に備えるための戦略を策定している。災害リスク軽減の取り組みを強化するために、世界的な協力とベストプラクティスの共有を推進する強力なネットワークを育成し、地域のイニシアティブを支援する。それによって、気候変動と自然災害の影響を緩和し、地域社会と自然遺産の双方にとって、より安全で強靭な未来の創造に貢献していく。GGNは2025-2035年の行動戦略として以下を提案している。
1. 国際レベル、地域ネットワークレベル、国レベル、地域レベルでの GGN 地質災害ワーキンググループの活動を強化する。
2. 住民がリスクを察知し、効果的に対応できるような具体的なツールを作成する。(例:貧しい農村地域の地域住民が地滑りの兆候を発見できるようにデザインされたコミックの作成)
3. 自然災害と災害軽減に関する UGGp 行動計画の推進。
4. 自然災害と気候変動に関するGGN年次報告書の作成。