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[O10-01] 1995年兵庫県南部地震以降における活断層研究の進展と課題
★招待講演
キーワード:1995年兵庫県南部地震、活断層、古地震調査、活断層の長期評価
1995年兵庫県南部地震(M 7.3)は、阪神地域と淡路島に甚大な被害をもたらしたと同時に、活断層研究を大きく変化させた。地震調査研究推進本部(以下「地震本部」)が設置され、全国の主要活断層の調査が実施された。トレンチ調査等によって断層活動履歴のデータが蓄積されたほか、ボーリング調査や反射法地震探査によって断層の地下形状が明らかにされた。活断層の存在を明らかにするための調査手法も改良・改善が重ねられた。この30年間で活断層に対する防災意識が高まるとともに、非常に多く情報が蓄積されてきた。地震本部に設置された地震調査委員会では、これらの活断層調査の結果に基づいて全国の主要活断層帯の長期評価を実施した。また、これらの調査結果と評価結果に基づき、確率論的な地震動予測地図と震源断層を特定した地震動予測地図を作成した。兵庫県南部地震の発生から約10年で達成されたこれらの成果は、地震学や地震工学といった学術領域の最先端研究の結晶であると同時に、国の地震防災政策としても世界をリードするものである。しかし、その一方では、今なお抱えている課題も存在する。その一つは、活断層に関する情報の数と質の差である。全国に分布する主要な活断層については、そのほとんどについて調査が行われたとされているが、実施された調査の数や調査の結果として得られた情報の精度や信頼性には大きな差異がある。活断層の調査観測計画が開始した当初は自治体に活断層調査に関する委員会が設置されて、調査の推進や結果の取りまとめが行われたが、その内容にも精粗がある。別の課題としては、得られた活断層の情報を活用する方法が明確になっていない点が挙げられる。国の地震本部においては全国地震動予測地図という明確なアウトプットが設定されており、その作成に関するマニュアルが整備されているが、自治体における防災計画において活断層の情報をどのように取り扱うのかに関する明確な指針が必要である。活断層による地震災害への対策には、地震動に加えて、断層変位に関する対策も不可欠であり、強い地震動によって発生する液状化現象や斜面災害に関する事前評価も欠かせない。活断層を調査する研究者から提供される情報をどのように活用するのかについて、工学や社会学の観点に立った地震対策との対話が今後も必要である。
