日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] ポスター発表

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P03] 遠州灘鮫島海岸のジルコンの形態による供給岩体の推定

*吉岡 佑之助1、*内田 維葵1、*髙田 洋綺1 (1.静岡県立磐田南高等学校)

キーワード:ジルコン、領家帯、花崗岩

1.動機
 本校ではこれまで遠州灘鮫島海岸において重鉱物の濃縮したガーネットサンドの調査・研究を行ってきた。昨年度はジルコンの色に着目しての起源を推定した結果、鮫島海岸のジルコンは領家帯が起源であることを明らかにした。しかし、領家帯のどの岩体からジルコンが供給されたかについては不明である。そこで,領家帯の様々な岩石中のジルコンの有無や形状,色の分析を行い、これを鮫島海岸のジルコンと比較することによって、鮫島海岸のジルコンの起源を明らかにした。

2.ジルコンについて
 ジルコンZrSiO₄は、火成岩、堆積岩、変成岩などに普遍的に含まれている重鉱物で物理化学的に耐性があるため風化変質に強く、地質年代を通して安定に存在する鉱物である。

3.仮説
 鮫島海岸のジルコンが領家帯のどの岩石に含まれていたか特定可能である。

4.試料
 静岡県・長野県を流れる天竜川周辺の3地点で採取した生田花崗岩・天竜峡花崗岩・粗粒玄武岩・片麻岩を双眼実体顕微鏡で観察した。生田花崗岩と天竜峡花崗岩ではジルコンが確認されたが、片麻岩や粗粒玄武岩ではジルコンは確認されなかった。以降、ジルコンが見られた生田花崗岩・天竜峡花崗岩とそして二つのジルコンをまとめたもの(生田+天竜峡のジルコンと呼ぶことにする)について鮫島海岸との比較を行っていく。

5.方法
 各岩体の分布や年代を論文より調べた。ジルコンの伸縮比は中心を通る3軸のうち長い軸を長軸、短い軸を短軸と定義し、各試料のジルコンの伸長比(長軸÷短軸)の値を比較した。形状分類は新たな分類図を独自に作成し、形状の特徴により分類した。色成分は、パソコンでジルコンの色をRGBの3成分に分解し、色の強度を数値化した。その後三角ダイアグラムを作成して各試料のジルコンの色成分を比較した。

6.結果
・岩体調査
 領家帯の天竜川沿いに生田花崗岩と天竜峡花崗岩が分布していることが判明した。
また地質帯と形成年代はどちらも領家帯・中生代後期白亜紀だった。

・ジルコンの伸長比
 鮫島海岸と生田花崗岩を比較すると傾向は一致しておらず、鮫島海岸と天竜峡花崗岩を比較すると傾向が一致していた。同様に鮫島海岸と生田+天竜峡のジルコンを比較すると傾向が一致していた。

・ジルコンの形状分類
天竜峡花崗岩では他にみられるある形状がみられなかった。 生田+天竜峡のジルコンは、各花崗岩のジルコン個々のデータよりより鮫島海岸に似た傾向を見せた。

・ジルコンの色による比較
どのジルコンも3成分の値が中央によっていて、白色・無色に近い薄い色のジルコンが多いと分かった。

7.考察
 生田花崗岩と鮫島海岸の比較の結果、鮫島海岸のジルコンは生田花崗岩のみから供給されているとは考えられない。天竜峡花崗岩についても同様に鮫島海岸のジルコンの唯一の供給源ではない。しかし、生田+天竜峡のジルコンと鮫島海岸のジルコンの比較とでは傾向が一致した。
昨年の研究によってジルコンの起源を色によって特定することが可能とあると明らかになっていること、生田+天竜峡のジルコンの傾向が、鮫島海岸のジルコンの傾向と伸長比・形状分類・色分析すべてで傾向が一致したことから、鮫島海岸のジルコンは生田花崗岩・天竜峡両花崗岩両方から供給されていると考えられる。

8.結論
鮫島海岸のジルコンの供給源は領家帯の生田花崗岩と、天竜峡花崗岩である。

9.今後の展望
生田花崗岩と天竜峡花崗岩上を通らない川の砂にはジルコンが含まれるのか、その形態はどうなっているのか調査する

10.謝辞・参考文献
 研究に協力していただいたふじのくに地球環境史ミュージアム客員研究員の青島晃先生,顧問の榑松宏征,地学部の皆さんに改めて感謝申し上げます。
・昨年の研究:五十嵐ほか(2023)遠州灘鮫島海岸のジルコンの様相による起源の推定
・山本敬ほか(1964)堆積岩中のジルコンに関する研究
・山本敬(1959)火山岩中のジルコン
・領家研究グループ(1972)中部地方領家帯の花崗岩類の相互関係