13:45 〜 15:15
[O11-P04] 日本海中部で発生した移動型スプライトについて
キーワード:スプライト、column
1 動機
本校では、2007年から高高度発光現象の観測を行ってきた。2023年7月12日と8月27日に、本校から北東方面に設置したカメラによりスプライトが多く観測された。移動型スプライトが観測されることは極めてまれであるため、移動型スプライトの発生形態を気象条件と関連させて研究することとした。
2 スプライトとは
高高度発光現象(TLEs:Transient Luminous Events)とは、雷雲地上間放電(CG: cloud-to-ground discharge)に伴って雷雲上空、中間圏・熱圏下部で発生する発光現象の総称で、スプライト、ジェット、エルブス等が知られている。スプライトの形状は「Column」(柱状)、「Carrot」(スプライト上部と下部にモヤを持つ)、に分類することができる。また、スプライトイベントの中には、いくつかのスプライトが連続的に発生するものがあり。一方向に向かって発生していくものはランニングスプライト、不規則に発生するものはダンシングスプライトと呼ばれている。本研究ではランニングスプライトとダンシングスプライトを併せて移動型スプライトとする。また、今回は移動型スプライトのうち、小さなColumnが密集して構成されているもの(以下Column型と呼ぶこととする)に焦点を当てた。
3 研究方法
3台の高感度CCDカメラで撮影された映像を動体検知ソフトで常時監視することにより、自動観測を行っている。PCがカメラの映像を自動で監視し、スプライトなどの動体を検知した場合、その前後3秒を含めた動画を記録する。1/100秒の精度を持つGPS時計でスプライトの正確な発生時刻を求めている。また、カメラの視野範囲をもとにスプライトの発生した位置を特定する。このようにして得られたデータを気象データと関連させて分析を行う。
4 結果と考察
4-1 Column型スプライトの特徴
7月12日と8月27日の2日間で、能登半島の北部に合計5件Column型スプライトを観測した。いずれも東西方向に向かって連続的に発生するランニングスプライトであった。Column型スプライトの発生地点と同時刻の落雷地点を照らし合わせたところ、移動型スプライトを構成しているスプライトの本数に比べて落雷の発生件数が少ないことが確認された。
よって、Column型スプライトは、イベントに含んでいるスプライトの本数より落雷の発生件数が少ないことから、一件の落雷に対して複数のスプライトが発生していたと考えられる。
4-2 移動型スプライトの構成する個々のスプライトの形状別割合
2日間に発生した移動型スプライトを構成する個々のスプライトの形状を分類し、発生割合を求めた。Columnは56件で63.6%、Carrotは32件で36.3%であった。
4-3 移動型スプライト発生時の気象条件
2023年7月12日は、移動型スプライトが発生した日本海中部は低気圧で覆われていた。また、能登半島北部に線状降水帯が発生しており、50mm/hから80mm/hの降水が確認された。
2023年8月27日も同様に日本は低気圧に覆われており、また太平洋に2つの台風が発生していた。能登半島北部には20mm/hから50mm/hの局所的降水が確認された。
5 結論
・Column型のランニングスプライトは、発生に時間差のある複数の落雷に対応してスプライトが発生したわけではなく、一件の落雷に対して複数のスプライトが発生した。
・移動型スプライトの発生には低気圧と局所的降水が必要である。
参考文献
・宇都宮櫂・上川敬人,2022,冬季スプライトの形状と気象条件の関係
・気象庁 Japan Meteorological Agency
・Blitzortung.org
謝辞
研究に協力いただいたふじのくに環境史ミュージアム客員研究員の青島晃先生、静岡県立大学教授の鴨川仁様、東京学芸大学客室共同研究員の鈴木智幸様、地学部の皆様に改めて感謝申し上げます。
本校では、2007年から高高度発光現象の観測を行ってきた。2023年7月12日と8月27日に、本校から北東方面に設置したカメラによりスプライトが多く観測された。移動型スプライトが観測されることは極めてまれであるため、移動型スプライトの発生形態を気象条件と関連させて研究することとした。
2 スプライトとは
高高度発光現象(TLEs:Transient Luminous Events)とは、雷雲地上間放電(CG: cloud-to-ground discharge)に伴って雷雲上空、中間圏・熱圏下部で発生する発光現象の総称で、スプライト、ジェット、エルブス等が知られている。スプライトの形状は「Column」(柱状)、「Carrot」(スプライト上部と下部にモヤを持つ)、に分類することができる。また、スプライトイベントの中には、いくつかのスプライトが連続的に発生するものがあり。一方向に向かって発生していくものはランニングスプライト、不規則に発生するものはダンシングスプライトと呼ばれている。本研究ではランニングスプライトとダンシングスプライトを併せて移動型スプライトとする。また、今回は移動型スプライトのうち、小さなColumnが密集して構成されているもの(以下Column型と呼ぶこととする)に焦点を当てた。
3 研究方法
3台の高感度CCDカメラで撮影された映像を動体検知ソフトで常時監視することにより、自動観測を行っている。PCがカメラの映像を自動で監視し、スプライトなどの動体を検知した場合、その前後3秒を含めた動画を記録する。1/100秒の精度を持つGPS時計でスプライトの正確な発生時刻を求めている。また、カメラの視野範囲をもとにスプライトの発生した位置を特定する。このようにして得られたデータを気象データと関連させて分析を行う。
4 結果と考察
4-1 Column型スプライトの特徴
7月12日と8月27日の2日間で、能登半島の北部に合計5件Column型スプライトを観測した。いずれも東西方向に向かって連続的に発生するランニングスプライトであった。Column型スプライトの発生地点と同時刻の落雷地点を照らし合わせたところ、移動型スプライトを構成しているスプライトの本数に比べて落雷の発生件数が少ないことが確認された。
よって、Column型スプライトは、イベントに含んでいるスプライトの本数より落雷の発生件数が少ないことから、一件の落雷に対して複数のスプライトが発生していたと考えられる。
4-2 移動型スプライトの構成する個々のスプライトの形状別割合
2日間に発生した移動型スプライトを構成する個々のスプライトの形状を分類し、発生割合を求めた。Columnは56件で63.6%、Carrotは32件で36.3%であった。
4-3 移動型スプライト発生時の気象条件
2023年7月12日は、移動型スプライトが発生した日本海中部は低気圧で覆われていた。また、能登半島北部に線状降水帯が発生しており、50mm/hから80mm/hの降水が確認された。
2023年8月27日も同様に日本は低気圧に覆われており、また太平洋に2つの台風が発生していた。能登半島北部には20mm/hから50mm/hの局所的降水が確認された。
5 結論
・Column型のランニングスプライトは、発生に時間差のある複数の落雷に対応してスプライトが発生したわけではなく、一件の落雷に対して複数のスプライトが発生した。
・移動型スプライトの発生には低気圧と局所的降水が必要である。
参考文献
・宇都宮櫂・上川敬人,2022,冬季スプライトの形状と気象条件の関係
・気象庁 Japan Meteorological Agency
・Blitzortung.org
謝辞
研究に協力いただいたふじのくに環境史ミュージアム客員研究員の青島晃先生、静岡県立大学教授の鴨川仁様、東京学芸大学客室共同研究員の鈴木智幸様、地学部の皆様に改めて感謝申し上げます。
