日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] ポスター発表

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P08] 再帰新星かんむり座T星の新星爆発による明るさと温度の関係

*三野 真由子1、*宮内 俐乃1、*和久 茜1、*山田 菜央1 (1.宮城県古川黎明高等学校)

キーワード:かんむり座T星、新星爆発

[はじめに]かんむり座T星(T CrB)は連星で、赤色巨星から白色矮星に向かって絶えずガスが流れ込んでいる。白色矮星が抱え込めるガスの量は決まっており、その限界量に達する度爆発を繰り返す。この時、星の表面のみが爆発するものが「新星爆発」だ。普段は約10等で、0.3~0.6等級で明るさが周期的に変化する。望遠鏡では赤く見え、天文学で色の程度を示す色指数はB-Vで約1.0である。

[背景]T CrBは爆発を周期的に繰り返す再帰新星で、前回の爆発は1946年、前々回の爆発は1866年だったため爆発周期は約78年と言われている。 2023年には、爆発の前兆とされる変光と色指数の変化が確認されたためアメリカの天文学者 B. E. シェーファー博士は、2023年に発表した論文で、 2024年2月~2024年9月頃に爆発すると指摘した。まだ爆発は起こっていないが、新星爆発はいつおきてもおかしくないと、さまざまな研究者が指摘する。

[目的]爆発前からTCrBの光度と色指数をモニターし、爆発による温度変化とともに色がどのように変化するかを明らかにする。
[仮説]
爆発時に表面温度が上昇することで、色指数が急激に小さくなり青く輝き、減光と共に色指数は上昇し再び赤い色に戻るのではないか。

[研究方法]撮影は、口径5㎝のスマート望遠鏡Seestar S50で行い、観測画像はカラー画像のFITSデータを使用している。RGBの3チャンネルのうち、Gチャンネル(TG等級)とBチャンネル(TB等級)の画像情報を解析している。光度測定は、「すばる画像解析ソフトマカリイ」の開口測光で行い、アメリカ変光星協会AAVSOのAPASSカタログのV等級とB等級の光度比較星と比較し、等級を計算している。等級計算は、TCrBと光度比較星のカウント値と比較星の等級をポグソンの光度式にあてはめて行っている。BチャンネルとGチャンネルはそれぞれ、400nmから500数十nm、470nmから600数十nmの波長域でのエネルギー総量をとらえている。Bチャンネルの分光感度特性は470nm付近でピークにあるため、爆発時に放出されるガスのうち、486nmのHβや、高温ガスHe IIが放つ468nmの輝線にと重なっているため、爆発時の影響は、TB等級に反映されると考える。さらに、爆発による温度上昇によって、連続スぺクトルが青い領域にシフトするため、TB等級が急上昇すると予想する。

[観測の途中経過]T CrBは4月14日時点で爆発しておらず、新星爆発による明るさと温度の関係は不明だ。昨年7月から観測を始めて以降、TG等級は9.7等~10.2.等、TB等級は10.6等~11.1等で推移している。爆発の前兆のような光度の明瞭な変化は観測されていない。色指数は、値が減少しているように思える。これが誤差ではなく、本当の変化であれば表面温度が上昇している可能性がある。

[考察]AAVSOのデータから引用した前回の新星爆発の際のかんむり座T星の光度変化を見ると1946年の爆発時にTCrBは、約1年前にB等級が急激に減光し、その後V等級が減光する変化が観測されている。今回も似た傾向が見られる。星を取り囲むガスによるなんらかの影響で色指数が変化した。色指数の変化を見ることによって、新星爆発の前兆現象を捉えられると考え、色指数に注目して監視を続けている。今後の変化や爆発時の色の変化のしかた、その変化が起こった理由を考えていきたい。

[参考文献]
※日本変光星研究会 反復新星かんむり座T星の新星爆発を監視しよう!
※B. E. Schaefer (Louisiana State Univ.), B. Kloppenborg (AAVSO), E. O. Waagen (AAVSO), and the AAVSO observers[2023 ]. Announcing T CrB pre-eruption dip . AAVSO
※Bradley E. Schaefer [2010] . COMPREHENSIVE PHOTOMETRIC HISTORIES OF ALL KNOWN GALACTIC RECURRENT NOVA
※Bradley E. Schaefer [2023] .The B & V light curves for recurrent nova T CrB from 1842–2022, the unique pre- and post-eruption high-states, the complex period changes, and the upcoming eruption in 2025.5 ± 1.3