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[O11-P100] 逗子海岸浸食における汀線変化の現状と原因
キーワード:海洋、環境
逗子海岸は、2001年に建設された葉山港A防波堤の建設の影響で海岸が浸食されていると言われており、現在は河口の砂の堆積する東浜から浸食が大きい西浜へ砂を運ぶサンドリサイクルが度々行われている。
実際にどの程度浸食が起こっているのか、起こっているならば浸食に防波堤が影響しているのかを明らかにしようと考え、過去の航空写真から汀線の変化に注目し2つの方法を用いて分析を行うことにした。分析には、国土地理院のHP及びGoogle Earthで公開されている1943年から2024年の53枚の航空写真を用いた。海岸の幅を図るためには、最も古い写真と新しい写真で80年間以上の差があり建造物など大きく変化しているため、時間経過に対して変化のない箇所を7か所のポイントとして定めた。2か所のポイントは縮尺のために用い、残りの海岸線の5か所のポイントは海岸の幅を計測するのに用いた。この5か所のポイントを西から順にP_1,…,P_5とする。海岸の幅の距離を、各ポイントを通過し汀線と垂直に交わる直線のポイントから汀線との交点までの長さと定義し、測定を行う。縮尺のために定めた2か所のポイントを用い、同じ縮尺になるようにそれぞれのデータを補正する。このデータを用い、2つの方法で、海岸浸食に堤防の建設が影響しているのかを確かめる。
1つ目は、年代と横軸に、距離を縦軸にとり、2001年前後で回帰直線を求め,その傾きに差があるかどうかで影響があるか判断する方法である。しかし、ポイントごとにデータをグラフにプロットしたところ、大きく振れてしまい回帰分析を行うことができなかった。その理由として潮汐の影響が考えられる。ポケットビーチである逗子海岸は海岸の幅が広い地点においても100mも無いため潮汐の影響を大きく受けてしまう。気象庁の公開しているデータでは、古い年代では欠損も多く補正できそうになかった。
そこで二つ目の方法を用いる。各ポイント及び各ポイントの合計における2001年前と後での海岸の幅の平均距離が、減少していると言えるかを検定する。n_before、n_afterを2001年以前の標本の大きさ、2001年以降の標本の大きさとし、AVE_before、AVE_afterを2001年以前の標本平均、2001年以降の標本平均とし、S^2_before、S^2_afterを2001年以前の標本の普遍分散、2001年以降の標本の普遍分散とする。帰無仮説を”2001年前後で平均に差が無い”、対立仮設を”2001年以前の平均の方が2001年以後の平均より大きい”とし、t統計量を、t=\frac{ AVE_{before} – AVE_{after} }{ \sqrt{ ( \frac{1}{n_{before}} + \frac{1}{n_{after}} )( \frac{ (n_{before} - 1)S_{before}^2 + (n_{after} - 1)S_{after}^2 }{ n_{before} +n_{after} - 2 } ) } }として、右側のt検定を行った。P_1、P_3、合計、それぞれのP値は、0.016、0.002、0.09であり、P_2、P_4、P_5においては2001年以前の平均より、2001年以後の平均の方が大きくなった。ゆえに、P_1、P_3においては優位水準5%、合計は優位水準10%で帰無仮説を棄却することができる。以上の結果から、部分的に海岸の幅の距離が減少していると言える。
課題としては、次の2つが挙げられる。1つ目は、2001年以前の標本の大きさが2001年以降に比べて少ないので、データ数を増やす必要があること。2つ目は、逗子湾内の大きな地形の変化に、葉山港A防波堤の建設以外に国道134号線の建設も考えられること。
また、侵食の影響及びメカニズムを研究するために、過去の海底の地形のデータを用いたかったが、そのようなデータが見つからなかったため、現時点における海底の調査を行った。調査は、メモリを付けたロープをボートから沈め、逗子湾内を格子状に100m間隔で約120か所の水深を測量してデータを収集した。そして、海底の様子をデータ化及び、Pythonのライブラリmatplotlibとグラフ計算機のオンラインツールDesmosを用いて3D化した。これにより、現時点における海底の地形を把握することができたので、これらのデータを用いて今後の侵食の影響、及びシミュレーションなどを用いた数値解析を行っていきたいと考えている。
実際にどの程度浸食が起こっているのか、起こっているならば浸食に防波堤が影響しているのかを明らかにしようと考え、過去の航空写真から汀線の変化に注目し2つの方法を用いて分析を行うことにした。分析には、国土地理院のHP及びGoogle Earthで公開されている1943年から2024年の53枚の航空写真を用いた。海岸の幅を図るためには、最も古い写真と新しい写真で80年間以上の差があり建造物など大きく変化しているため、時間経過に対して変化のない箇所を7か所のポイントとして定めた。2か所のポイントは縮尺のために用い、残りの海岸線の5か所のポイントは海岸の幅を計測するのに用いた。この5か所のポイントを西から順にP_1,…,P_5とする。海岸の幅の距離を、各ポイントを通過し汀線と垂直に交わる直線のポイントから汀線との交点までの長さと定義し、測定を行う。縮尺のために定めた2か所のポイントを用い、同じ縮尺になるようにそれぞれのデータを補正する。このデータを用い、2つの方法で、海岸浸食に堤防の建設が影響しているのかを確かめる。
1つ目は、年代と横軸に、距離を縦軸にとり、2001年前後で回帰直線を求め,その傾きに差があるかどうかで影響があるか判断する方法である。しかし、ポイントごとにデータをグラフにプロットしたところ、大きく振れてしまい回帰分析を行うことができなかった。その理由として潮汐の影響が考えられる。ポケットビーチである逗子海岸は海岸の幅が広い地点においても100mも無いため潮汐の影響を大きく受けてしまう。気象庁の公開しているデータでは、古い年代では欠損も多く補正できそうになかった。
そこで二つ目の方法を用いる。各ポイント及び各ポイントの合計における2001年前と後での海岸の幅の平均距離が、減少していると言えるかを検定する。n_before、n_afterを2001年以前の標本の大きさ、2001年以降の標本の大きさとし、AVE_before、AVE_afterを2001年以前の標本平均、2001年以降の標本平均とし、S^2_before、S^2_afterを2001年以前の標本の普遍分散、2001年以降の標本の普遍分散とする。帰無仮説を”2001年前後で平均に差が無い”、対立仮設を”2001年以前の平均の方が2001年以後の平均より大きい”とし、t統計量を、t=\frac{ AVE_{before} – AVE_{after} }{ \sqrt{ ( \frac{1}{n_{before}} + \frac{1}{n_{after}} )( \frac{ (n_{before} - 1)S_{before}^2 + (n_{after} - 1)S_{after}^2 }{ n_{before} +n_{after} - 2 } ) } }として、右側のt検定を行った。P_1、P_3、合計、それぞれのP値は、0.016、0.002、0.09であり、P_2、P_4、P_5においては2001年以前の平均より、2001年以後の平均の方が大きくなった。ゆえに、P_1、P_3においては優位水準5%、合計は優位水準10%で帰無仮説を棄却することができる。以上の結果から、部分的に海岸の幅の距離が減少していると言える。
課題としては、次の2つが挙げられる。1つ目は、2001年以前の標本の大きさが2001年以降に比べて少ないので、データ数を増やす必要があること。2つ目は、逗子湾内の大きな地形の変化に、葉山港A防波堤の建設以外に国道134号線の建設も考えられること。
また、侵食の影響及びメカニズムを研究するために、過去の海底の地形のデータを用いたかったが、そのようなデータが見つからなかったため、現時点における海底の調査を行った。調査は、メモリを付けたロープをボートから沈め、逗子湾内を格子状に100m間隔で約120か所の水深を測量してデータを収集した。そして、海底の様子をデータ化及び、Pythonのライブラリmatplotlibとグラフ計算機のオンラインツールDesmosを用いて3D化した。これにより、現時点における海底の地形を把握することができたので、これらのデータを用いて今後の侵食の影響、及びシミュレーションなどを用いた数値解析を行っていきたいと考えている。
