13:45 〜 15:15
[O11-P102] スペースデブリ捕獲率の向上を狙うデブリ除去装置の開発に向けた、デブリと捕獲機の角度及び捕獲面のクッション性に関する考察
キーワード:スペースデブリ、捕獲装置、モデル実験
背景と目的 宇宙環境問題の一つであるスペースデブリとは、軌道上にある不要な人工物のことであり、低軌道で平均速度秒速7~8 kmで地球を周回している。これらは運用中の人工衛星等にぶつかり、損傷、破壊する危険性がある。実際、国際宇宙ステーションの一部を損壊し、滞在中の宇宙飛行士の安全を脅かす要因となった事故も起きている。現状、50年間でその数は約10倍まで増えており(図1参照)、今後もデブリの数が増加していくと、将来的には人類の宇宙活動や宇宙利用の妨げになることが予想されている。
現在数多くのスペースデブリ除去装置が考案されているが、運営段階に移行できるものは未だ開発されていない。また、数ある除去案はどれもデブリと速度を合わせて装置に対して90°の位置でデブリを捕獲するというものである。デブリの正面で捕らえるということは、その分高度な技術力が要求される。この研究を通して私は、現在考案されているデブリ除去装置の利点と欠点を考察し、ある程度角度のついた状態での捕獲を可能とする除去方法を追求することを目的とした。
仮説 先行研究をもとに、現行の除去案を「除去装置がデブリを捉えるための微調整などに必要な高度な技術力」、「捕獲時にデブリを破壊してその数を増やしたり、除去装置破損により新たなデブリが発生したりする危険性」、「除去装置一機あたりのコスト:製作費と捕獲数の比率」の三観点から検討したとき、接着剤や磁石などを使う、「くっつける技法」が最も有効的だと考えた。同時に、除去装置において接着剤の裏にクッション性を足すことで、装置の捕獲面とデブリの衝突する部位が変形し、デブリを捕獲しやすくなるのではないかと仮説を立てた。
なお、本実験においては、デブリと除去装置の相対速度を限りなく0に近づけた状態での捕獲を考察した。
手法 除去装置の捕獲面において、デブリの捕らえやすさの最適値を調べるため、クッション(スポンジを使用)の厚さとデブリ衝突時の角度を数パターン用意し、以下の順で実験を行った。(図2参照) クッション性の変化が捕獲に影響するかを確かめるため、捕獲面の下に厚さの違うスポンジ4種類(0.0cm,1.0cm,2.0cm,3.0cm)を用意した。このとき、接着剤として粘着布テープを使用した。 ①に対して70cm離れたところから、坂を利用してデブリの1/10000の速さである0.76 m/sで、デブリに模したテニスボール(大きさ6.7 cm、質量 57.7 g)を転がした。 ②の作業を角度5種類分(15°,30°,45°,60°,90°)行った。 ③の作業をそれぞれの角度について6回ずつ実施。 結果 ボールの捕獲度を5段階で評価し、一つの角度に対して6回分のデータの平均値を出し、横軸が角度、縦軸が平均値のグラフを作成した。(表1・図3参照)実験結果としては以下の通りである。
・15°のとき:全ての厚さでボールを捉えられなかった
・60°、90°のとき:全ての厚さでボールを捉えていた
・45°のとき:スポンジありだと平均値が約4倍に上がった
・スポンジの厚さが3 cmのとき、15°以外の4つの角度で、捕獲率が100%だった
考察 実験結果と実験後の考察をメリットとデメリットで分けると、以下のようになった。
<メリット> 角度が急であるほどボールをより捉えられていた スポンジが厚いほどボールをより捉えられていた 1 cm,2 cmでも、「なし」と比べたら捕獲率は高くなっている <デメリット> スポンジが厚くなるほど、接着面以外の面が大きくなるため、デブリが跳ね返されやすくなると考えられる スポンジが厚くなると、機体全体の大きさが大きくなるため宇宙に運びにくくなり、宇宙運用がしにくくなる スポンジが厚くなると、コストパフォーマンスが低下する 以上より、除去装置にクッション性を足し衝撃を吸収する方が、そのまま捉えようとするより、捕獲を正面で合わせなくても十分捉えられる可能性が高くなり、デブリ除去がしやすくなると考えられる。しかし、スポンジの厚さは、厚すぎず薄すぎない最適値を検討する必要がある。
今後の課題 この実験では相対速度が0に近いことを前提とし、デブリ捕獲時の衝撃のみを考えたため、相対速度が大きくなるにつれ結果の出方に差異が出るのか調べてみたいと思う。また、実際のデブリはものによって材質や形態が大きく異なるため、実際のデブリに模したものの形状や大きさを変えた実験もしていきたいと考えている。
参考文献 河本聡美「スペースデブリ除去のための統合的システムの提案とそのフィージビリティに関する研究」博士論文.2019-03-07発行 JAXA.「宇宙状況把握」(最終閲覧日:2024/9/10)https://track.sfo.jaxa.jp/project/ssa.html 第17回全国中学高校Webコンテスト応募作品「Space Debris 秒速8㎞の先へ」https://contest.japias.jp/tqj17/170368/index.html(最終閲覧日:2024/9/10 )
現在数多くのスペースデブリ除去装置が考案されているが、運営段階に移行できるものは未だ開発されていない。また、数ある除去案はどれもデブリと速度を合わせて装置に対して90°の位置でデブリを捕獲するというものである。デブリの正面で捕らえるということは、その分高度な技術力が要求される。この研究を通して私は、現在考案されているデブリ除去装置の利点と欠点を考察し、ある程度角度のついた状態での捕獲を可能とする除去方法を追求することを目的とした。
仮説 先行研究をもとに、現行の除去案を「除去装置がデブリを捉えるための微調整などに必要な高度な技術力」、「捕獲時にデブリを破壊してその数を増やしたり、除去装置破損により新たなデブリが発生したりする危険性」、「除去装置一機あたりのコスト:製作費と捕獲数の比率」の三観点から検討したとき、接着剤や磁石などを使う、「くっつける技法」が最も有効的だと考えた。同時に、除去装置において接着剤の裏にクッション性を足すことで、装置の捕獲面とデブリの衝突する部位が変形し、デブリを捕獲しやすくなるのではないかと仮説を立てた。
なお、本実験においては、デブリと除去装置の相対速度を限りなく0に近づけた状態での捕獲を考察した。
手法 除去装置の捕獲面において、デブリの捕らえやすさの最適値を調べるため、クッション(スポンジを使用)の厚さとデブリ衝突時の角度を数パターン用意し、以下の順で実験を行った。(図2参照) クッション性の変化が捕獲に影響するかを確かめるため、捕獲面の下に厚さの違うスポンジ4種類(0.0cm,1.0cm,2.0cm,3.0cm)を用意した。このとき、接着剤として粘着布テープを使用した。 ①に対して70cm離れたところから、坂を利用してデブリの1/10000の速さである0.76 m/sで、デブリに模したテニスボール(大きさ6.7 cm、質量 57.7 g)を転がした。 ②の作業を角度5種類分(15°,30°,45°,60°,90°)行った。 ③の作業をそれぞれの角度について6回ずつ実施。 結果 ボールの捕獲度を5段階で評価し、一つの角度に対して6回分のデータの平均値を出し、横軸が角度、縦軸が平均値のグラフを作成した。(表1・図3参照)実験結果としては以下の通りである。
・15°のとき:全ての厚さでボールを捉えられなかった
・60°、90°のとき:全ての厚さでボールを捉えていた
・45°のとき:スポンジありだと平均値が約4倍に上がった
・スポンジの厚さが3 cmのとき、15°以外の4つの角度で、捕獲率が100%だった
考察 実験結果と実験後の考察をメリットとデメリットで分けると、以下のようになった。
<メリット> 角度が急であるほどボールをより捉えられていた スポンジが厚いほどボールをより捉えられていた 1 cm,2 cmでも、「なし」と比べたら捕獲率は高くなっている <デメリット> スポンジが厚くなるほど、接着面以外の面が大きくなるため、デブリが跳ね返されやすくなると考えられる スポンジが厚くなると、機体全体の大きさが大きくなるため宇宙に運びにくくなり、宇宙運用がしにくくなる スポンジが厚くなると、コストパフォーマンスが低下する 以上より、除去装置にクッション性を足し衝撃を吸収する方が、そのまま捉えようとするより、捕獲を正面で合わせなくても十分捉えられる可能性が高くなり、デブリ除去がしやすくなると考えられる。しかし、スポンジの厚さは、厚すぎず薄すぎない最適値を検討する必要がある。
今後の課題 この実験では相対速度が0に近いことを前提とし、デブリ捕獲時の衝撃のみを考えたため、相対速度が大きくなるにつれ結果の出方に差異が出るのか調べてみたいと思う。また、実際のデブリはものによって材質や形態が大きく異なるため、実際のデブリに模したものの形状や大きさを変えた実験もしていきたいと考えている。
参考文献 河本聡美「スペースデブリ除去のための統合的システムの提案とそのフィージビリティに関する研究」博士論文.2019-03-07発行 JAXA.「宇宙状況把握」(最終閲覧日:2024/9/10)https://track.sfo.jaxa.jp/project/ssa.html 第17回全国中学高校Webコンテスト応募作品「Space Debris 秒速8㎞の先へ」https://contest.japias.jp/tqj17/170368/index.html(最終閲覧日:2024/9/10 )
