日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P105] 地下水に含まれる222Rn含有量の測定

*生熊 みのり1、大原 千和1、今井 裕美1、安藤 光汰1、笹本 優璃1 (1.東京学芸大学附属高等学校)

キーワード:放射性崩壊、地下水、地質、活性炭、ラドン

1. 背景と目的
先行研究で八郷(2023)は大西ら[1]の測定方法を元に国分寺崖線付近から湧き出る地下水を採水し222Rn の含有量を調査した結果、地下水中の 222Rn 含有量は湧水地点の地質や地下水の通り道、採水日の環境(降水量、気温、湿度)によって変わることが示唆された。しかし先行研究には以下の課題がある。
・ 222Rn 含有量を変える変数が分かっていない。
・ 正確な 222Rn の含有量は調べられない。
・実験の再現性が低い。
本研究はこれらを踏まえ、先行研究による実験の再現性や妥当性を向上させること、地下水中の 222Rn 含有量は何によって決まるのかを明らかにすることを目的とする。また、本研究を用いることでボーリング調査による環境への負荷を減らした地質調査の実用化も可能になると考える。
2. データおよび解析方法
【実験Ⅰ】
(1) (A)日立中央研究所(B)貫井神社(C)滄浪泉園の 3 箇所の湧水で採水した。
(2) 採水した地下水 1.6L が入った 2L ペットボトルを激しく振り地下水中の 222Rnを気相中へ追い出した。
(3) 地下水の入ったペットボトルに少しずつ水を入れ気相を活性炭の方へ追い出すことで222Rn を実験装置で活性炭に吸着させた。なお、この活性炭は事前に電子レンジで焦げる程度に加熱して乾燥させたもので、タバコのフィルターで包まれている。
(4) これを 2L ペットボトル 4 本分行った後、活性炭の中身を取り出しラップで包んだ。
(5) GM 管の前にラップで包んだ活性炭を置き、活性炭に付着した親核種である222Rn がα崩壊した後の子孫核種である 214Pb と 214Bi が β 崩壊する際の β 線をガイガーカウンターで測定した。
(6) 測定値から事前に測定しておいたバックグラウンド値を減算して1分間あたりの β 線測定回数(CPM)をグラフにし、それを理論曲線と照らし合わせた。
CPM 値は誤差を減らすため5 分間の平均をとった。また理論曲線は 222Rn含有量によって変わるため測定値に合うように理論曲線の形を調整した。
【実験Ⅱ】
あらかじめ 222Rn を含むと分かっている増富温泉(山梨県)の温泉水を用いて「実験Ⅰ」に記載の実験を行った。その後、理論曲線が測定値と近似するようにExcel の「崩壊せずに残っている222Rn の量(5 分毎)」に当たる数値を何倍かした。これ以降「(1-かけた数値)×100」の数値を減少率(%)と呼ぶ。
4. 結果
結果Ⅰ
図1〜図5
結果Ⅱ
図6
5. 考察 Ⅰ
グラフが一定になった値が日立中央研究所①、貫井神社①、滄浪泉園①のいずれも 15CPM 程度だったことから、採水地点は 222Rn 含有量には影響しないと考えられる。また、貫井神社②と滄浪泉園②では上記の他に20CPM 程度という数値も測定されたことから、同じ採水地点でも日によって222Rn 含有量に違いがあると考えられる。
そこで降水量の変化によって地下水の流速が変化し、それに伴って222Rn 含有量が変化する可能性があると考え、実験日 3 日前から実験日までの降水量の合計に着目し、CPM の値と比較してみると図7のようになる。するとこの図からは、降水量と222Rn 含有量に明確な関連性は見られなかった。また採水日の気温によって 222Rn の地下水への溶けやすさが変化する可能性があるため、より実験回数を重ねデータを増やすと共に気温や水温など他の要因にも着目する必要があると考える。
考察Ⅱ
放射平衡状態に達した後、測定値と理論曲線に乖離が見られた。そこで「崩壊せずに残っている222Rnの量」に当たる数値を0.997倍したところ測定値が理論値とほぼ一致した。よって約0.3%の222Rnが5分毎に測定中に活性炭から外れていると考えられる。
6、謝辞
本研究に際して実験場所の提供や助言、丁寧なご指導をしてくださった東京学芸大学の大西和子先生、鎌田正裕先生に感謝します。また敷地内での採水にご協力くださいました、日立中央研究所様、そして本研究の趣旨を理解し快く協力して頂いた滄浪泉園、貫井神社の皆様に心から感謝します。
参考文献
[1] 大西和子(2019).「活性炭と地下水を利用した,自然放射線を測定する安価で安全な教育用実験」.『日本科学教育学会』.43(0),453-455.
[2] 気象庁.“過去の気象データ検索”.https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
[3] 八郷華.「国分寺崖線下における湧き水に含まれる放射性物質の測定実験」.第19回日本物理学会Jr.セッション2023.