日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P108] 神津島における湧水の水系に関する調査

*清水 涼香1 (1.東京都立神津高等学校)

キーワード:神津島、湧水、水質、水系

[背景と目的]
神津島は地下水が豊富にあると言われている。島の各家庭や施設にある水道は、全て地下水を利用している。また、東京の名湧水57選に選定された湧水が2か所あり、その場所は観光スポットとしても宣伝されている。神津島の水の豊かさという点は、伊豆七島に伝わる水配り神話からも読み取ることが出来る。この神話では、水不足で悩まされていた伊豆七島の神々が神津島に集まり、水をどのように分配するかを話し合ったと言われている。
現在神津島内には複数の河川があり、その内島の東側にあるものには水が常に流れている。(塩原1962)
本研究では、湧水及び表流水の水質調査を行い、各地点の水にどのような特徴が見られるかを検証し、水系の考察をした。
[方法]
本研究では、10月4日、11日、19日と11月22日、29日、3月9日に神津島内の計13か所で気温、水温、pHを測定した。(表1)初めに井戸水検査キットを用いてpH、鉄、全硬度、COD、亜硝酸の5項目を調べた。また、電気伝導度計を用いて電気伝導度を測定した。

[結果]
すべての地点で鉄は0.05mg/L以下、亜硝酸は0.02mg/L以下とこの2項目については地点による値の差異は見られなかった。地点による変化が見られた3項目と電気伝導度のグラフと図は以下のようになった。ただし、CODの⑩と電気伝導度の⑤は欠測である。
pHは13地点中8地点で7.2以上、3地点で6.8以上7.0未満、2地点で6.8以下であった。
全硬度は13地点中2地点で60mg/L以上、3地点で40mg/L以上60mg/L未満、8地点で40mg/L未満であった。
CODは12地点中5地点で2.0mg/L以上4.0mg/L未満、4地点で4.0mg/L以上6.0mg/L未満、3地点で6.0mg/L以上であった。
電気伝導度は12地点中7地点で100μS/cm以上200μS/cm未満、2地点で300μS/cm以上400μS/cm未満、3地点で400μS/cm以上であった。
[考察]
図1~図3から、神津島の最高峰の天上山の北側から北西側斜面の⑥~⑧と天上山北西側に位置する長浜海岸付近で採取した⑪、⑫の値に似た傾向が見られた。このことより、天上山北側から北西側と長浜海岸付近の上記の地点にある水はそれぞれ類似した水質であることから近い水系であると考えられる。
天上山西側の①の地点については、図3より位置が近い②の地点に比べ全硬度が高い。①②はともに他の潮風に含まれる塩分の影響を受けやすい地点と比べ電気伝導度が高く出ていることが読み取れる。湧出口と②の地点の位置関係を踏まえると、①の地点の水の全硬度が高いのは地質的な影響が強く出ている湧水であると推測できる。
③、⑨、⑩の地点については、グラフ4から電気伝導度が比較的高い値が読み取れる。これらの地点は海岸に近いことから、潮風に含まれる塩分の影響が強く出たと考えられる。
天上山の北側から北西側斜面の⑥~⑧では他の地点と比べてCODが高く、pHが低い傾向が見られた。このことから、⑥~⑧は斜面に浸透した雨水が、比較的短時間で斜面に湧出したと考えられる。
[今後の課題]
今回の研究では、地点による違いが見られた項目について地形的特性と関連づいた考察をしたが、その原因となる物質が何であるかを特定する実験が出来なかった。
今後の研究では、水質の違いが生じる原因の物質がどのようなものかを調べることで、今回の調査結果だけでは不明だった要因を明らかにしたい。

[参考文献]
小寺浩二ほか(2014)『名水を訪ねて(106)伊豆諸島の名水』地下水学会誌 第56巻第3号237-249
塩原鉄郎(1962)『東京都下、神津島の地下水』応用地質 第3巻3-4号43‐47 
栃本博ほか(2001)『伊豆諸島の火山・地震活動にともなう水道原水及び水道水中の無機成分の実態調査』東京衛研年報 233-239
NPO法人神津島観光協会 『神津の森 樹木と島の人々の物語』