日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P127] VBAを用いた惑星棚の最適な歯数の導出 ~約60年前のプラネタリウムをリニューアル!~

*堤 くらら1、*吉田 理紗1 (1.神戸女学院高等学部)

キーワード:プラネタリウム、惑星棚、惑星の公転軌道、歯車

【背景と目的】
機械式プラネタリウムは1923年に登場してから100年以上活躍してきた。しかし近年はデジタル式のプラネタリウムが主流になりつつある。デジタル式のプラネタリウムは操作しやすく、機械式に比べてよりコンパクトだが、投影される惑星が動く仕組みを理解するのが困難になった。
そこで私たちは機械式プラネタリウムの1つである旧ミノルタカメラ株式会社製「ミノルタプラネタリウム MS-10」(以下MS10とする)を用いて、恒星に対して惑星がどのように投影されているのかを調べた。また、MS10で再現される惑星の動きと実際との誤差、またその誤差がより小さくなるような改良案を紹介する。

【方法】
惑星の投影は投影機内にある「惑星棚」によって行われている。惑星棚は歯数の異なる複数の歯車を組み合わせることで、それぞれの歯車の回転数を調整し、地球と惑星の公転周期を再現し、惑星の視運動を投影する機械である。メーカーにMS10の設計に関する資料が残されておらず、MS10の惑星棚で使われている歯車の歯数を手作業で数えた。(図1)
その結果、地球の公転周期と他の惑星の公転周期の比を4つまたは、6つの歯車の歯数を調整することで表していることが分かった。
MS10の発売が開始された1966年ごろと現在では摂動により、各惑星の公転周期が変化している。そこで今回は論文[1]のデータから各惑星の現在の公転周期を求め、地球の公転周期との比を出して目標値とした。(表1)
MS10より正確に目標値を表せる歯数の組み合わせを、VBA(Visual Basic for Applications)を用いて求めた。その際に「歯車の使用枚数はMS10と同じ枚数のままにする」「歯数はMS10で使用されている歯車の最小値以上、かつMS10で用いられているすべての歯数の最大値以下」という2つの条件で総当たりを行った。

【結果】
水星、金星、火星に関して、MS10によって表される地球と各惑星の公転周期の比、改良案によって表される地球と各惑星の公転周期の比のそれぞれを求め、目標値との誤差を比較した。(表2) その結果、現在の公転周期の比をMS10よりも、誤差が小さい歯数の組み合わせを発見した。(図2)
例えば水星に関しては、再現されている誤差は1公転周期あたり、MS10で2.568980609x10^-6恒星年、改良案で1.4948086x10^-8恒星年なり、約1/172倍となった。

【考察】
地球と惑星の公転周期の比を4つの歯車の歯数で表している
水星、金星、火星についてはVBAを用いてMS10よりも優れた歯数の組み合わせを発見することができたが、公転周期の比を6つの歯車の歯数で表している木星と土星では必要な計算回数が膨大になってしまったためVBAを用いて結果を求めることができなかった。今後は別の方法を考えて、より良い木星と土星の歯数を求めていきたい。惑星棚の構造を簡易的に再現した模型をすでに製作し、作動することを確認できているので、今回得られた新たな歯数の組み合わせを用いた惑星棚の設計、製作も行っていきたい。

【参考文献】
[1] J.L.Simon, P.Bretagnon, J.Chapront, M.Chapront-Touzé, G.Francou, J.Laska “Numerical expressions for precession formulae and mean elements for the Moon and the planets” , ASTRONOMY AND ASTROPHYSICS,vol.282,663-683,1994