13:45 〜 15:15
[O11-P22] 戸田と三保間でのマイクロプラスチック調査
キーワード:マイクロプラスチック、駿河湾、伊豆半島
1 研究背景・目的
昨今海洋や河川のマイクロプラスチック(以下MP)の問題は深刻である。本校はMPの調査を4年間行って、伊豆半島のMPについて研究をしてきた。海洋でのMP調査は経費がかかるため、
今までの研究は河川のMP調査だったが、今年度は低予算で海洋のMP調査ができた。それは、一昨年の本校のMP調査の発表をご覧になった戸田ヨットレース実行委員会の松永様から、レースで採取したサンプルを本校に解析してもらいたいと調査協力の依頼があった。戸田ヨットレース実行委員会の方々の、ヨットレースを行うだけでなく環境調査にも貢献したい意向と我々の所望が一致し、低予算での海洋プラスチック調査を実行した。
先ず、砂浜におけるMPの堆積量と、その沿岸を流れる海流の様相の因果関係を解明する為に、三保と戸田にある砂嘴に注目し、沿岸流との関係を調査した。この2地点の砂を採取し、MPの量を数えた。次に、三保と戸田の2地点を結ぶ駿河湾海上を戸田ヨットレース実行委員会の協力のもとMPを採取し、その数を数えた。また、それらを諸機関のオープンデータと比較した。
そして、我々が採取したサンプルを、美しい伊豆創造センターに提供し環境教育の教材として、沼津聴覚特別支援学校に利用していただいた。
2 研究方法
1 三保、戸田の写真の赤丸で示した地点の漂着物が流れ着いている場所付近の砂を、30cm四方深さ1cmの体積で、各地点3サンプル採取
2 大きな有機物を取り除くため、採取した砂を4mmのふるいにかける
3 100gを取り出して、300μmのふるいにかける
4 漂着物由来の有機物を取り除くために過酸化水素と水酸化ナトリウムで有機物処理
5 ろ過したのち、70%ヨウ化カリウムでMPを比重分離
6 再びろ過をしたのち、ナイルレッドでMPを染色
7 ブルーライトを当てて、顕微鏡で蛍光したMPの個数を集計した。
3 結果
表1と表2を参照。
4 考察
三保、戸田のMP堆積量は海流に影響すると考える。図2から駿河湾内を左旋回する海流が確認できる。この海流は湾内を循環するため、地点3・4のMP堆積量が多く、流れが遅い他の2地点では少ないと推測される。一方、東岸では黒潮の分流が伊豆半島に沿って湾内に入り、反時計回りに左旋回する。戸田の砂嘴には図3のように海流が流れ込み、河川からの漂流物を運びMPを堆積させると考えられる。
下田高校が2020年に白浜海岸で実施したMP調査では54個のMPが確認された。東岸の海流が速く、MPが多く運ばれていると推測される。対して、三保の海流は穏やかでMP堆積量が少ない。このことから、MP堆積量は海流の速さに影響すると仮説を立てた。しかし、戸田の海流は東岸より穏やかだがMP堆積量は多い。これは、戸田に図3の橙色点線で示す河川があり、そこからMPが流入している可能性がある。ただし、本研究では河川由来のMP個数は調査しておらず、この点は考察できない。
海洋ではMP量が2個と4個であった。環境省のデータ(0.56個)より多く、採取方法の検討が必要である。2021年の先行研究では静浦ダイビングセンターと淡島で3個と2個のMPを採取した。我々は、MPは河川から流入し内湾から外洋へ出るため、外洋のMP量が最少と考えた。しかし今回のデータでは駿河湾沖と沿岸部のMP量がほぼ同じであり、採取方法や検出方法の更なる検証が必要である。
今回初めて、高校の実験で駿河湾沖のMPをほぼ無費用で採取できた。これは戸田ヨットレース実行委員会との連携により実現し、外部団体と協力した新たな研究方法の確立につながった。伊豆半島のMP調査のさらなる発展が期待される。
5 参考文献
(1)静岡県衛生科学研究所環境科学部『海岸域におけるマイクロプラスチックの調査手法の確立http://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko510/documents/412slide.pdf
(2) 中嶋亮太ら『海洋マイクロプラスチックの採取・前処理・定量方法』https://doi.org/10.5928/kaiyou.29.5_129
(3) 環境省 沖合海域における漂流・海底ごみの分布調査検討業務https://www.env.go.jp/content/000280294.pdf (4)https://www.windy.com
(5) https://www.google.com/maps (6)2020年度 下田高校理数科2年生 課題研究論文集
(7) Erni-Cassola et. al.(2017)"Lost but found with Nile Red: a novel method for detecting and quantifying small microplastics (1 mm to 20 µm) in environment.
(8)RESAS - 地域経済分析システム https://resas.go.jp/population-mesh/#/map
(9)令和元年度海洋ごみ調査の結果について | 報道発表資料 | 環境省 (env.go.jp)
6 謝辞
静岡市三保松原文化創造センターのスタッフの皆様、戸田ヨットレース実行委員会の松永様、美しい伊豆創造センターの遠藤大介様、研究のご協力ありがとうございました
昨今海洋や河川のマイクロプラスチック(以下MP)の問題は深刻である。本校はMPの調査を4年間行って、伊豆半島のMPについて研究をしてきた。海洋でのMP調査は経費がかかるため、
今までの研究は河川のMP調査だったが、今年度は低予算で海洋のMP調査ができた。それは、一昨年の本校のMP調査の発表をご覧になった戸田ヨットレース実行委員会の松永様から、レースで採取したサンプルを本校に解析してもらいたいと調査協力の依頼があった。戸田ヨットレース実行委員会の方々の、ヨットレースを行うだけでなく環境調査にも貢献したい意向と我々の所望が一致し、低予算での海洋プラスチック調査を実行した。
先ず、砂浜におけるMPの堆積量と、その沿岸を流れる海流の様相の因果関係を解明する為に、三保と戸田にある砂嘴に注目し、沿岸流との関係を調査した。この2地点の砂を採取し、MPの量を数えた。次に、三保と戸田の2地点を結ぶ駿河湾海上を戸田ヨットレース実行委員会の協力のもとMPを採取し、その数を数えた。また、それらを諸機関のオープンデータと比較した。
そして、我々が採取したサンプルを、美しい伊豆創造センターに提供し環境教育の教材として、沼津聴覚特別支援学校に利用していただいた。
2 研究方法
1 三保、戸田の写真の赤丸で示した地点の漂着物が流れ着いている場所付近の砂を、30cm四方深さ1cmの体積で、各地点3サンプル採取
2 大きな有機物を取り除くため、採取した砂を4mmのふるいにかける
3 100gを取り出して、300μmのふるいにかける
4 漂着物由来の有機物を取り除くために過酸化水素と水酸化ナトリウムで有機物処理
5 ろ過したのち、70%ヨウ化カリウムでMPを比重分離
6 再びろ過をしたのち、ナイルレッドでMPを染色
7 ブルーライトを当てて、顕微鏡で蛍光したMPの個数を集計した。
3 結果
表1と表2を参照。
4 考察
三保、戸田のMP堆積量は海流に影響すると考える。図2から駿河湾内を左旋回する海流が確認できる。この海流は湾内を循環するため、地点3・4のMP堆積量が多く、流れが遅い他の2地点では少ないと推測される。一方、東岸では黒潮の分流が伊豆半島に沿って湾内に入り、反時計回りに左旋回する。戸田の砂嘴には図3のように海流が流れ込み、河川からの漂流物を運びMPを堆積させると考えられる。
下田高校が2020年に白浜海岸で実施したMP調査では54個のMPが確認された。東岸の海流が速く、MPが多く運ばれていると推測される。対して、三保の海流は穏やかでMP堆積量が少ない。このことから、MP堆積量は海流の速さに影響すると仮説を立てた。しかし、戸田の海流は東岸より穏やかだがMP堆積量は多い。これは、戸田に図3の橙色点線で示す河川があり、そこからMPが流入している可能性がある。ただし、本研究では河川由来のMP個数は調査しておらず、この点は考察できない。
海洋ではMP量が2個と4個であった。環境省のデータ(0.56個)より多く、採取方法の検討が必要である。2021年の先行研究では静浦ダイビングセンターと淡島で3個と2個のMPを採取した。我々は、MPは河川から流入し内湾から外洋へ出るため、外洋のMP量が最少と考えた。しかし今回のデータでは駿河湾沖と沿岸部のMP量がほぼ同じであり、採取方法や検出方法の更なる検証が必要である。
今回初めて、高校の実験で駿河湾沖のMPをほぼ無費用で採取できた。これは戸田ヨットレース実行委員会との連携により実現し、外部団体と協力した新たな研究方法の確立につながった。伊豆半島のMP調査のさらなる発展が期待される。
5 参考文献
(1)静岡県衛生科学研究所環境科学部『海岸域におけるマイクロプラスチックの調査手法の確立http://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko510/documents/412slide.pdf
(2) 中嶋亮太ら『海洋マイクロプラスチックの採取・前処理・定量方法』https://doi.org/10.5928/kaiyou.29.5_129
(3) 環境省 沖合海域における漂流・海底ごみの分布調査検討業務https://www.env.go.jp/content/000280294.pdf (4)https://www.windy.com
(5) https://www.google.com/maps (6)2020年度 下田高校理数科2年生 課題研究論文集
(7) Erni-Cassola et. al.(2017)"Lost but found with Nile Red: a novel method for detecting and quantifying small microplastics (1 mm to 20 µm) in environment.
(8)RESAS - 地域経済分析システム https://resas.go.jp/population-mesh/#/map
(9)令和元年度海洋ごみ調査の結果について | 報道発表資料 | 環境省 (env.go.jp)
6 謝辞
静岡市三保松原文化創造センターのスタッフの皆様、戸田ヨットレース実行委員会の松永様、美しい伊豆創造センターの遠藤大介様、研究のご協力ありがとうございました
