日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P23] 上野三碑、山上碑と金井沢碑の石材起源についての岩石学的研究

*白倉 進之介1、*小田 岳和1、*杉田 本丸1、*松村 美乃里1 (1.群馬県立前橋東高等学校)

キーワード:上野三碑、山上碑、金井沢碑、烏川、鏑川、輝石安山岩

1.研究の背景・目的

 上野三碑とは日本最古の石碑群であり、それぞれ多胡碑、金井沢碑、山上碑と呼ばれている (図1)。山上碑は群馬県高崎市山名町にあり(図2)、完璧な形として残っているものとしては日本最古の石碑である。金井沢碑と同一の硬質の輝石安山岩の自然石を使用していると考えられ、碑の大きさは高さ111cm、幅47cm、厚さ52cmである(参考文献3)。また、金井沢碑も群馬県高崎市山名町にあり、山上碑と同じく硬質の輝石安山岩の自然石を使用している。碑の大きさは高さ110cm、幅70cm、厚さ65cmである。山上碑や金井沢碑の周辺には北に烏川が南に鏑川が流れており、山上碑と金井沢碑はこの2つの川に挟まれている。先行研究では山上碑は烏川から運ばれてきた、山上碑と金井沢碑は群馬県甘楽郡下仁田町高河原杉ノ木峠南方の採石場が原産地として最も可能性が高いと考えられていた(参考文献1、参考文献2)。しかし、どちらも原産地を確定することはできていない。本研究は両碑を観察し、起源につながる情報を集めることを目的とする。

2.研究方法

山上碑、金井沢碑を対象に肉眼岩石記載とモード測定を行う。

モード測定では、山上碑と金井沢碑のそれぞれ撮影した8カ所ずつの写真から特徴の見られない地点を切り取り、グリッドをつけ、有色鉱物が重なる交点の数を調べる。

3.結果

山上碑のほうが金井沢碑よりも有色鉱物輝石類と推定される有色鉱物が多く見られ、金井沢碑では赤鉄鉱と推定される赤い鉱物が多く見られた。(図4)

モード測定では1つの碑につき800交点を調査した。輝石類と推定される有色鉱物を含む割合を出し、その2つのデータについてt検定を行い、P=0.0000257908となった。P(T<=t)<0.05を満たしているため、有色鉱物の割合がないという帰無仮説を棄却しているといえるので、山上碑と金井沢碑の有色鉱物に有意な差があるという結果が得られた(図3、図5)。


4.考察

金井沢碑と山上碑が同一産地のものである(参考文献1)と述べられていたが、両碑の輝石類と推察される有色鉱物の割合が異なることや肉眼観察から山上碑のほうが有色鉱物を多く含むことや、金井沢碑に赤鉄鉱と推定される鉱物が見られたが山上碑には見られないことから、私達は両碑に同一の岩石が用いられていないと推察した。また、山上碑や金井沢碑は露頭から切り出された岩石のような角張った形ではなく、角が取れた亜円礫のような形をしているため、転石が用いられていると考えられる。そのため、碑の付近を流れる烏川や鏑川の上流方向が岩石の起源であることが考えられる。



5.まとめ

本研究では、山上碑と金井沢碑の比較を主に行ってきた。今回、山上碑と金井沢碑に用いられている岩石の起源については明らかにすることができなかったが、今まで同一の岩石が用いられていると考えられてきた山上碑と金井沢碑に異なる岩石が用いられている可能性があることがわかった。このことから、両碑に用いられている岩石がそれぞれ別の起源を持つ可能性もあることがわかった。そして、本研究は烏川や鏑川の周辺地域で研究を進めてきたが、他の地域から運搬した可能性や今後も起源の特定につながる研究を続けていく。

参考文献 

1.高崎市教育委員会社会教育課文化財保護係 1989

『特別史跡金井沢碑・山上碑及び古墳保存対策検討の報告』高崎市文化財調査報告書97


2.江原朔玖 2022

『上野三碑・山上古墳の石材起源を探る』

https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/11344.pdf

3.高崎市ホームページ 2023

 山上碑及び古墳_高崎市文化財情報

https://www.city.takasaki.gunma.jp/site/cultural-assets/3697.html

4.野村正弘 角縁進 飯島静男 金澤芳彦 2005

『群馬県内5活火山の火山岩ー偏光顕微鏡記載と化学組成ー』https://www.gmnh.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/bulletin9_9.pdf

5.秋池 武 2000

『利根川流域における角閃石安山岩転石の分布と歴史的意義ー榛名山給源の多孔質の角閃石安山岩石ー』群馬県立歴史博物館紀(21), 35-60

6.野村正弘 角縁進 飯島静男 金澤芳彦 2005

『群馬県内5活火山の火山岩ー偏光顕微鏡記載と化学組成ー』https://www.gmnh.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/bulletin9_9.pdf