13:45 〜 15:15
[O11-P24] 原始火星大気における’暗い太陽のパラドックス’の解決 ~無声放電によるCOの発生~
キーワード:火星、惑星気象、温室効果
[背景と目的]
現在までに観測された堆積地形や含水粘土鉱物、D/H比率から、Noachian(37-41億年前)の火星(以下’原始火星’)では、液体の水が存在した事があり、その後散逸したと考えられている。1)一方で、当時の”Faint Young Sun”(太陽放射量が現在の75%)の条件下では地表温度が-33〜-13[°C]と推定される。
“この矛盾に対し、(温室効果のアプローチにおいて、)a)必要な温暖化と降雨を生み出し、(b)必要なガスの信頼できる供給源を持ち、(c)持続可能であり、(d)大気が現在の状態にどのように進化したかを説明できる学説は未だない。”2)とされている。
本研究では、原始火星の大気中で有り得る化学反応プロセス(大気の光乖離および無声放電による大気組成の変化)を実験室で再現し、その温室効果による原始火星大気における’暗い太陽のパラドックス’の解明を目指した。
[方法]
Noachianの火星大気を模した3)H2/CO2混合気体(以下’混合気体’(H2:CO2=2:1[v/v])に以下の’操作’を行い、それぞれについてGC**での分析を行った。
1.紫外線(水銀ハロゲンランプ/40W:0,10,20,25[min])を照射
2.放射線(b線,γ線/[42μSv/h]:20[min])の照射
3.放射線(b線,γ線/[42μSv/h]:60[min])の照射,それぞれ触媒(Ni,Pb,Al)板を加えた
4.真空放電(10,100,1000[sec])
補足:1.及び4.については試験管(ホウケイ酸ガラス)とゴム栓で、2.及び3.については500mlペットボトル容器(ポリエチレン)に気体を密閉し行った。
**/機器:GC-TCD,カラム:activecarbon 30/60,キャリアガス:Ar
[結果]
混合気体に’4.真空放電(1000[sec])’を行った際のGC(ガスクロマトグラフィー)結果を図1に示す。(元から含まれる)H2及びCO2,(試料注入の際に混入する)O2及びN2の他にCOのピーク(time=65[sec])が認められる。このことから、H2/CO2混合気体に無声放電(1000[sec])を行った結果、おそらくCO2が乖離したことによってCOが発生したことが分かる。
尚、混合気体にこれ以外の’操作’を行った場合に関しては操作の前後で混合気体の組成に変化は認められなかった。
[考察]
放電によるCOの発生は落雷などの自然現象にも一般化できる。COはCO2に比べ温室効果が低い(気象庁)ため、全体としてこの反応は温室効果に負のフィードバックをもたらしたと考えられる。ただ、大気中での寿命が2〜3カ月である(4ことを考えると、放電の頻度が相当でない限り、COが持続的に、実際に温室効果を有意に妨げる量存在することは疑わしい。それでも、COが(地球において)’対流圏オゾンの前駆物質である’(4ことを踏まえると、この反応が温室効果でなくとも気象に影響していた可能性はある。
[結論]
本研究では温室効果により原始火星大気における’暗い太陽のパラドックス’を解決することはできなかったが、COの発生による原始火星の気象への影響が示唆された。
[謝辞]
一般社団法人Ezofrogs各位並びに北海道大学押木守准教授、東北大学鎌田有紘博士氏の研究へのご支援に感謝します。
現在までに観測された堆積地形や含水粘土鉱物、D/H比率から、Noachian(37-41億年前)の火星(以下’原始火星’)では、液体の水が存在した事があり、その後散逸したと考えられている。1)一方で、当時の”Faint Young Sun”(太陽放射量が現在の75%)の条件下では地表温度が-33〜-13[°C]と推定される。
“この矛盾に対し、(温室効果のアプローチにおいて、)a)必要な温暖化と降雨を生み出し、(b)必要なガスの信頼できる供給源を持ち、(c)持続可能であり、(d)大気が現在の状態にどのように進化したかを説明できる学説は未だない。”2)とされている。
本研究では、原始火星の大気中で有り得る化学反応プロセス(大気の光乖離および無声放電による大気組成の変化)を実験室で再現し、その温室効果による原始火星大気における’暗い太陽のパラドックス’の解明を目指した。
[方法]
Noachianの火星大気を模した3)H2/CO2混合気体(以下’混合気体’(H2:CO2=2:1[v/v])に以下の’操作’を行い、それぞれについてGC**での分析を行った。
1.紫外線(水銀ハロゲンランプ/40W:0,10,20,25[min])を照射
2.放射線(b線,γ線/[42μSv/h]:20[min])の照射
3.放射線(b線,γ線/[42μSv/h]:60[min])の照射,それぞれ触媒(Ni,Pb,Al)板を加えた
4.真空放電(10,100,1000[sec])
補足:1.及び4.については試験管(ホウケイ酸ガラス)とゴム栓で、2.及び3.については500mlペットボトル容器(ポリエチレン)に気体を密閉し行った。
**/機器:GC-TCD,カラム:activecarbon 30/60,キャリアガス:Ar
[結果]
混合気体に’4.真空放電(1000[sec])’を行った際のGC(ガスクロマトグラフィー)結果を図1に示す。(元から含まれる)H2及びCO2,(試料注入の際に混入する)O2及びN2の他にCOのピーク(time=65[sec])が認められる。このことから、H2/CO2混合気体に無声放電(1000[sec])を行った結果、おそらくCO2が乖離したことによってCOが発生したことが分かる。
尚、混合気体にこれ以外の’操作’を行った場合に関しては操作の前後で混合気体の組成に変化は認められなかった。
[考察]
放電によるCOの発生は落雷などの自然現象にも一般化できる。COはCO2に比べ温室効果が低い(気象庁)ため、全体としてこの反応は温室効果に負のフィードバックをもたらしたと考えられる。ただ、大気中での寿命が2〜3カ月である(4ことを考えると、放電の頻度が相当でない限り、COが持続的に、実際に温室効果を有意に妨げる量存在することは疑わしい。それでも、COが(地球において)’対流圏オゾンの前駆物質である’(4ことを踏まえると、この反応が温室効果でなくとも気象に影響していた可能性はある。
[結論]
本研究では温室効果により原始火星大気における’暗い太陽のパラドックス’を解決することはできなかったが、COの発生による原始火星の気象への影響が示唆された。
[謝辞]
一般社団法人Ezofrogs各位並びに北海道大学押木守准教授、東北大学鎌田有紘博士氏の研究へのご支援に感謝します。
