日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] ポスター発表

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P35] 地震による建物の倒壊から中にいる人を守る「E.まもるくん」の作製

*原口 友翔1、小西 実祈1、宮井 桃1、會田 汐花1 (1.神奈川県立相模原弥栄高等学校)

キーワード:地震、避難を呼びかける装置、震度計、模擬地震実験

1.背景と目的
 日本は世界のマグニチュード6以上の地震の20%以上が集中する地震大国である[1]。地震の規模が大きい場合などには多数の死者・負傷者を出してきた。死因の割合では、阪神淡路大震災では83.3%、熊本地震では76.0%、能登半島地震では90.5%の人が建物倒壊により亡くなっていて高い割合を占めている[2]
 そのため、地震発生時に、建物の中にいるのか、外にいるのか、どちらが安全なのかを正しく判断し、適切な避難行動をとることができれば、人的被害を減らせると考えた。そこで、地震の揺れを計測して揺れの大きさや建物の頑丈さなどを総合的に考慮し、避難を呼びかける装置「E.まもるくん」を作製することで、建物倒壊による死者・負傷者を減らすことを目的としている(図1)。

2.研究手法
 研究は繰り返し模擬地震実験を行うことができる住宅模型の作製、加速度を測る震度計を作製し加速度などの計測、模擬地震実験を行いデータ収集をするという手順で行った。
 住宅模型は、実在する在来工法で築約40年の木造住宅をモデルとし、実際の住宅の平面図をもとに20分の1の大きさで作製した。接続部分に磁石を用いた場合のメリットとデメリットを考えた上で模型として扱いやすいというメリットを取ったため磁石で接続をした(図2、3、4、5)。
 作製した震度計には、加速度センサ(ADXL355)とRaspberry Piを用いており、計測震度・最大加速度・フーリエスペクトルをリアルタイムで算出する(図6、7、8)。
 模擬地震実験の目的は、木造住宅が被害を受けやすい揺れの特徴を明らかにすることである。模型と震度計を同一の板上に設置し、加速度や周期、秒数を決めて震度計のデータを見ながら手動で住宅模型に揺れを加える(図9)。

3.結果
 結果は表1にまとめた。「模型の様子が1階部分が左右に傾く」から「2階部分が大きく揺れる」へと変化する境目には、揺れによる模型への影響が大きく変わるポイントが存在すると考えられる。よって、その周辺を詳しく実験することで、より確かな情報が得られると期待される。先行研究により建物の高さで影響する揺れの大きさが異なることが分かっているためそのことが関係していると考えられる。

4.考察
 建物の倒壊は、1階と2階の揺れのズレによって生じることが分かった。
 また、全壊した建物の様子を目視で確認した結果1階は潰れてしまっているのに対し2階は原型をとどめているものが多いことから、2階建て木造住宅が倒壊する際には、1階部分よりも2階部分にいるほうが安全である可能性が示唆された(図10)。
 今回の実験では住宅模型と震度計を同一の板に固定して行ったため、住宅模型が倒壊する際に柱や梁、屋根が板へ衝突し衝撃を与え、手で発生させた揺れによるものより値が大きく出てしまった可能性がある。震度計のデータは模型の倒壊直前までのものを用いるなど実験の改良を行いたい。

5.今後の展望
 揺れの発生方法を手動ではなく機械化し、周期や加速度を設定したとおりの値で実験を行えるようにすることで、正確性と再現性を持たせる。筋交いなどを付け足した住宅模型・その他非木造住宅の作製と実験を行う。E.まもるくんを作製し家の一階の壁に設置し実証実験を実施する。そして、実際に避難行動に活用することが今後の展望だ。

6.参考文献
[1] 内閣府防災情報「災害を受けやすい日本の国土」https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h18/bousai2006/html/honmon/hm01010101.htm
[2] トキワシステム「大地震における死因の割合について解説」https://www.tokiwa-system.com/column/column-298/