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[O11-P36] 琵琶湖のマイクロプラスチック垂直分布の季節性とプラスチック成分による影響
キーワード:マイクロプラスチック、琵琶湖、鉛直分布
海や河川などの表層でのマイクロプラスチック(以下MPs)の調査は行われているが、垂直方向についての調査事例は少ない。海洋と異なり、外部水域からのMPs流入が限られる閉鎖的空間である琵琶湖において、MPsを垂直分布、種類の観点から調査した。深さ、種類別の分布の季節性をグラフ化し、MPsの問題解決のきっかけとすることとする。
琵琶湖北湖で月に1度、水深0m、10m、30mからそれぞれ1tずつ取水し、ふるい(網目0.1mm、0,5mm、1.0mm)で濾す。過酸化水素水で藻類やプランクトンを除去し(環境省水・大気環境局水環境課 : 河川・湖沼マイクロプラスチック調査ガイドライン)、ナイルレッドでMPsを染色する。青色LEDで470nm光を照射し、蛍光顕微鏡(倍率4倍)で観察する。蛍光反応の違い(Ms. Suparnamaaya Prasad, Andrew Bennett, Michael Triantafyllou : Characterization of Nile Red-Stained Microplastics through Fluorescence Spectroscopy)で簡易的に種類を判別し、個数を数える。試料採取期間は2023年1年間とし、化学処理とMPs観察は2024年に実施した。
実験結果としては、0~10mの地点の個数は夏~秋にかけて増加し、30m地点の個数全体の個数は冬に増加していることが分かった。これは、降水量と水温躍層が原因と考えられる。長浜市の降水量を調べたところ、降水量増減とMPs総量の増減傾向は一致していた。また安曇川沖水温躍層のデータと比較したところ、MPsの垂直分布の季節性との相関が高いことが分かった。夏の雨などで流入してきた(気象庁のデータより)MPsは水深15mあたりに出来た水温躍層(R5年 安曇川沖水温鉛直分布)の上に滞留し、冬になり水温躍層が消えることで、MPsは15m以下へも沈んでいくと考えられる。
次に、MPs種類別に垂直分布の季節性を分析した。PS(比重1.05)とPVC(比重1.4)を比較すると、夏~秋にかけて、PSは水温躍層の上面にMPsの大多数は留まるが、比重が重いPVCは水温躍層が消える前(秋)から0-10m地点の数量が減少し深場に移行する傾向が見られた。またPSとPVC共に冬場は0-10m地点のMPs数はゼロ近くまで減少した。これにより、比重1.05と湖水と大差ないMPsも冬場は大多数が沈むこと、またその速度は比重が重い方がより速いことが言える。次に、PVC(比重1.4)とPET(比重1.4)は比重に差異が無いにも関わらず、垂直分布が異なっていた。観察したところ、PVC片はPET片よりも表面積が広いことが分かった。これらの事実により、PVC片にはPET片より大きな形状抵抗が生じており、沈み方が遅くなっていると考えられる。以上のことから、MPsの垂直分布の季節性を決める要素としては、降水量、水温躍層、比重と形状抵抗があることが分かった。
【参考文献】
環境省水・大気環境局水環境課 : 河川・湖沼マイクロプラスチック調査ガイドライン
国土交通省 気象庁 : 過去の気象データ
Suparnamaaya Prasad, Andrew Bennett, Michael Triantafyllou : Characterization of Nile Red-Stained Microplastics through Fluorescence Spectroscopy. Journal of Marine Science and Engineering, 2024.
琵琶湖北湖で月に1度、水深0m、10m、30mからそれぞれ1tずつ取水し、ふるい(網目0.1mm、0,5mm、1.0mm)で濾す。過酸化水素水で藻類やプランクトンを除去し(環境省水・大気環境局水環境課 : 河川・湖沼マイクロプラスチック調査ガイドライン)、ナイルレッドでMPsを染色する。青色LEDで470nm光を照射し、蛍光顕微鏡(倍率4倍)で観察する。蛍光反応の違い(Ms. Suparnamaaya Prasad, Andrew Bennett, Michael Triantafyllou : Characterization of Nile Red-Stained Microplastics through Fluorescence Spectroscopy)で簡易的に種類を判別し、個数を数える。試料採取期間は2023年1年間とし、化学処理とMPs観察は2024年に実施した。
実験結果としては、0~10mの地点の個数は夏~秋にかけて増加し、30m地点の個数全体の個数は冬に増加していることが分かった。これは、降水量と水温躍層が原因と考えられる。長浜市の降水量を調べたところ、降水量増減とMPs総量の増減傾向は一致していた。また安曇川沖水温躍層のデータと比較したところ、MPsの垂直分布の季節性との相関が高いことが分かった。夏の雨などで流入してきた(気象庁のデータより)MPsは水深15mあたりに出来た水温躍層(R5年 安曇川沖水温鉛直分布)の上に滞留し、冬になり水温躍層が消えることで、MPsは15m以下へも沈んでいくと考えられる。
次に、MPs種類別に垂直分布の季節性を分析した。PS(比重1.05)とPVC(比重1.4)を比較すると、夏~秋にかけて、PSは水温躍層の上面にMPsの大多数は留まるが、比重が重いPVCは水温躍層が消える前(秋)から0-10m地点の数量が減少し深場に移行する傾向が見られた。またPSとPVC共に冬場は0-10m地点のMPs数はゼロ近くまで減少した。これにより、比重1.05と湖水と大差ないMPsも冬場は大多数が沈むこと、またその速度は比重が重い方がより速いことが言える。次に、PVC(比重1.4)とPET(比重1.4)は比重に差異が無いにも関わらず、垂直分布が異なっていた。観察したところ、PVC片はPET片よりも表面積が広いことが分かった。これらの事実により、PVC片にはPET片より大きな形状抵抗が生じており、沈み方が遅くなっていると考えられる。以上のことから、MPsの垂直分布の季節性を決める要素としては、降水量、水温躍層、比重と形状抵抗があることが分かった。
【参考文献】
環境省水・大気環境局水環境課 : 河川・湖沼マイクロプラスチック調査ガイドライン
国土交通省 気象庁 : 過去の気象データ
Suparnamaaya Prasad, Andrew Bennett, Michael Triantafyllou : Characterization of Nile Red-Stained Microplastics through Fluorescence Spectroscopy. Journal of Marine Science and Engineering, 2024.
