13:45 〜 15:15
[O11-P44] なぜ不知火は八朔に見られるのか~不知火の発生条件を元に気象学的視点から探る~
キーワード:蜃気楼、海水温、風速
[背景、目的] 私たちは、不知火海で八朔(旧暦の8月1日)の前夜に見られる蜃気楼現象の不知火(しらぬい)を研究している。世界で初めて不知火の再現実験に成功し、不知火の発生には「左右の温度差」と「視線方向の微風」が条件であると分かった。今回は、なぜ不知火が八朔に見られるのか、その時期の理由について、不知火の発生条件である「海面水温と気温との温度差」と「視線方向の微風」に着目し、気象学的な視点から探ることにした。
[A:海面水温と気温との温度差] 蜃気楼は、気温と海面水温との温度差が大きいことが発生の条件である。昨年までの研究で、その温度差が最大なのは冬、最小は夏であり、不知火が見られるとされる八朔の時期は、温度差が大きくないことが分かっていた。しかし、この際に使用していた海水温データは、県の水産研究センターが月に一度、水深5mの地点で測られたデータであり、蜃気楼の発生に関係する海面水温とは値が異なるのではないかと考えた。そこで、今回は自ら海面水温を計測し、より正確な温度差を明らかにすることにした。
海水温の計測は、自動海水温測定器を作製し、不知火海へと流れる河川の河口に設置した。水深が浅いことを考慮し、温度センサーは1,2,3mのものを使用した。1回の計測で1週間程度計測し、9月、10月、11月の3回行った。データの中には干潮時に急激に温度が変わる時間帯があった。これらは、日本最大級と言われる不知火海の干満差によるものだと考え、潮位を元に解析に適さないデータは除いてデータ解析を行った。その結果、まず、水深の浅い方が、1日の中で温度変化しやすいことが分かった。特に水深1mは、昼は日光によって温められ、夜は放射冷却によって冷やされる傾向がみられた。次に、月別での違いを見ると、9月から11月にかけて海水温は下がっていることが分かった。そして、これらのデータと今まで使用していた水深5mの海水温とを比較すると、9月は観測したデータの方が水深5mの海水温よりも高かったが、10月になるとほとんど同じになり、11月では低くなっていた。このことから、水深の浅い方が、年間を通じて温度変化しやすいと言える。さらに、熊本県水産研究センターから提供してもらった海面水温(水深0m)のデータ(非公開)と、水深5mの海水温とを比較すると、海面水温の方が夏は高くなり、冬は低くなっており、これまでに分かった水温変化の傾向と一致した。このことから、海面水温と気温との温度差は、従来と比べて、夏は大きく、冬は小さくなると言える。よって、温度差は冬が最大であるが、不知火海においては、八朔の時期でも十分存在し、蜃気楼が発生しやすい時期だと言える。
[B:不知火海を吹く風] 上記の温度差が最大であるのは冬であるのに、なぜ不知火は八朔の時期であるのか。それを解決するために、不知火の発生条件の1つ、風に注目した。昨年の研究で、不知火海において、昼は季節風(夏は南風、冬は北風)、夜は海陸風の陸風が吹いていると分かった。今回は、風速に注目した。結果、夜は弱い風が多く吹いており、昼は強い風が吹いていることが分かった。このように昼夜で風向や風速などが変わる要因は、地上と上空の気温差が関係しているのではないかと思われる。昼は、地上と上空の気温差が大きいため、地上と上空の空気がよく混ざり合い、上空の強い風が地上に降りて上空の季節風に影響される。一方、夜は気温差が小さいため、地上では弱い風だけが吹くと考えた。また、夜の風に注目すると、弱い風は夏や初秋に多く、冬は風が強い傾向にあった。このことから、不知火の発生条件である「微風」が吹くのは、夏から八朔の時期である。
[まとめ、今後の展望] 蜃気楼の発生条件である温度差は、夏は小さいが八朔頃は十分である。②不知火の発生条件である夜間の微風は、に夏や八朔の時期多く、冬は少ない。よって、不知火発生の気象条件を満たす時期は八朔であるため、不知火は八朔に見られるとされてきたと考えられる。
[参考文献]
・高校、高専気象観測機器コンテスト
・気象庁 ・熊本県水産研究センター ・地理院地図
・不知火の研究(宮西通可、1943) ・不知火新考(立石巌、1994)
[A:海面水温と気温との温度差] 蜃気楼は、気温と海面水温との温度差が大きいことが発生の条件である。昨年までの研究で、その温度差が最大なのは冬、最小は夏であり、不知火が見られるとされる八朔の時期は、温度差が大きくないことが分かっていた。しかし、この際に使用していた海水温データは、県の水産研究センターが月に一度、水深5mの地点で測られたデータであり、蜃気楼の発生に関係する海面水温とは値が異なるのではないかと考えた。そこで、今回は自ら海面水温を計測し、より正確な温度差を明らかにすることにした。
海水温の計測は、自動海水温測定器を作製し、不知火海へと流れる河川の河口に設置した。水深が浅いことを考慮し、温度センサーは1,2,3mのものを使用した。1回の計測で1週間程度計測し、9月、10月、11月の3回行った。データの中には干潮時に急激に温度が変わる時間帯があった。これらは、日本最大級と言われる不知火海の干満差によるものだと考え、潮位を元に解析に適さないデータは除いてデータ解析を行った。その結果、まず、水深の浅い方が、1日の中で温度変化しやすいことが分かった。特に水深1mは、昼は日光によって温められ、夜は放射冷却によって冷やされる傾向がみられた。次に、月別での違いを見ると、9月から11月にかけて海水温は下がっていることが分かった。そして、これらのデータと今まで使用していた水深5mの海水温とを比較すると、9月は観測したデータの方が水深5mの海水温よりも高かったが、10月になるとほとんど同じになり、11月では低くなっていた。このことから、水深の浅い方が、年間を通じて温度変化しやすいと言える。さらに、熊本県水産研究センターから提供してもらった海面水温(水深0m)のデータ(非公開)と、水深5mの海水温とを比較すると、海面水温の方が夏は高くなり、冬は低くなっており、これまでに分かった水温変化の傾向と一致した。このことから、海面水温と気温との温度差は、従来と比べて、夏は大きく、冬は小さくなると言える。よって、温度差は冬が最大であるが、不知火海においては、八朔の時期でも十分存在し、蜃気楼が発生しやすい時期だと言える。
[B:不知火海を吹く風] 上記の温度差が最大であるのは冬であるのに、なぜ不知火は八朔の時期であるのか。それを解決するために、不知火の発生条件の1つ、風に注目した。昨年の研究で、不知火海において、昼は季節風(夏は南風、冬は北風)、夜は海陸風の陸風が吹いていると分かった。今回は、風速に注目した。結果、夜は弱い風が多く吹いており、昼は強い風が吹いていることが分かった。このように昼夜で風向や風速などが変わる要因は、地上と上空の気温差が関係しているのではないかと思われる。昼は、地上と上空の気温差が大きいため、地上と上空の空気がよく混ざり合い、上空の強い風が地上に降りて上空の季節風に影響される。一方、夜は気温差が小さいため、地上では弱い風だけが吹くと考えた。また、夜の風に注目すると、弱い風は夏や初秋に多く、冬は風が強い傾向にあった。このことから、不知火の発生条件である「微風」が吹くのは、夏から八朔の時期である。
[まとめ、今後の展望] 蜃気楼の発生条件である温度差は、夏は小さいが八朔頃は十分である。②不知火の発生条件である夜間の微風は、に夏や八朔の時期多く、冬は少ない。よって、不知火発生の気象条件を満たす時期は八朔であるため、不知火は八朔に見られるとされてきたと考えられる。
[参考文献]
・高校、高専気象観測機器コンテスト
・気象庁 ・熊本県水産研究センター ・地理院地図
・不知火の研究(宮西通可、1943) ・不知火新考(立石巌、1994)
