13:45 〜 15:15
[O11-P61] 液状化現象の起こり方は温度によって変わるのか
1.背景と目的
液状化とは、地震の振動により強い衝撃を受けることによって、地盤全体が液体のようになる現象のことをいう。建設物や道路に大きな損害を与えることがあり、2024年1月の能登半島地震でも大きな被害を与えた(NHK NEWS.2024)。1990年に起きたフィリピン地震では熱水を伴う液状化が起き、魚が煮えるなどの被害があった(佃.2021)。液状化は、地中の水分含有量が多く、砂の粒径が均一であるほど起きやすいことが知られているが、地下水の温度に着目した研究例は少ない。
私たちの学校がある諏訪市は、ハザードマップの液状化リスクが高いだけでなく、周辺には上諏訪温泉が湧いているため、温度情報に着目した研究は重要である。そこで本研究では、水の温度を変えて液状化の再現実験をすることで、高温下と常温下での液状化の様子の違いを明らかにすることを目的とした。
2.データ
図 1 地表から噴出した水の量
図 2 砂の中に残った水の量
3.手法
(1) 道具
珪砂、プラスチック容器、液状化装置、水分含有量を統一したスポンジ、ヘラ、温度計、質量計
(2) 実験条件
砂は、125 ㎛以上500 ㎛未満の乾燥させたものを用いた。容器は幅15.4 ㎝、奥行き9.2 ㎝、深さ8.7㎝のものを用いた。また、液状化装置とは一定の振動を起こし続けることのできる装置である。
(4) 実験方法
予備実験の結果を踏まえて、①と②の実験条件は、山口ほか、2008を参考にして実験を行った。道具は予備実験と同じものを用いた。
① 360 gの水を容器に入れた後に、砂820gを上部から静かに落下させた(容器の高さ5 cmに達する)。
②表面をヘラで平らにならし、地表面と水面が一致するように表面にある水をスポンジで吸い取った。
③液状化装置で容器に30秒間の振動を加え、その様子を側方からと上方から撮影した(図1)。
④表面に出てきた水をスポンジで吸い取り計量した。
※実験を通して容器にラップをして、水の蒸発による全体の質量の変化を防いだ。
4.結果
水の温度を10℃前後、50℃前後の2パターンで実験を行った(以降水温が10℃前後のときを常温、50℃前後のときを高温と呼ぶ)。
出てきた水の量に着目すると常温で液状化させた場合平均67.3gの水が出たのに対し、高温の場合は平均63.0gであり、高温状態下のほうが表面に出る水の量が少なかった(図2)。
一方、液状化によって出てこなかった水の量は、常温で液状化させた場合平均336g、高温で液状化させた場合平均340.8gであり、常温化状態のほうが表面に出てこない水の量が少なかった(図3)。
温度による地盤沈下について、常温の場合平均0.65cm沈下するが、およそ50 ℃の高温でも平均0.7cmの沈下であり、温度変化によって地盤沈下量に顕著な差は見られなかった。
5.考察
温度が50℃くらいのとき、温度が10℃くらいのときと比べて液状化によって出てこなかった水の量が少なかった。また、その差はほとんど一定であった。これは温度によって水の粘度が変化し、液状化した後の砂が保持できる水の量が変化するためだと考えられる。粘度は、水の温度が高いほど小さくなるため、それによって砂の中に水が浸透しやすくなる。その結果、高温の状態のほうが砂に含まれる水の量が多くなり、出てくる水の量が少なくなったと考えられる。
6. 参考文献
山口 晶、吉田 望、飛田善雄(2008) 液状化に伴 う噴砂と液状化層厚の関係、土木学会論文集 C.
Vol.64, No.1 79-89
佃為成 (2021) 深部流体上昇仮説とは
能登半島地震 広い範囲で液状化現象 長い揺れ と砂地地盤が原因か/NHK
2024.11.13 閲覧、2024.1.5 作成
https://www3.nhk.orjp/news/html/20240105/k10014
310701000.html
技術資料 液体編6.水の密度、粘度、音速 /流体工業株式会社
2025 1/11閲覧
https://www.ryutai.co.jp/shiryou/liquid/water-mitsudo-1.htm
液状化とは、地震の振動により強い衝撃を受けることによって、地盤全体が液体のようになる現象のことをいう。建設物や道路に大きな損害を与えることがあり、2024年1月の能登半島地震でも大きな被害を与えた(NHK NEWS.2024)。1990年に起きたフィリピン地震では熱水を伴う液状化が起き、魚が煮えるなどの被害があった(佃.2021)。液状化は、地中の水分含有量が多く、砂の粒径が均一であるほど起きやすいことが知られているが、地下水の温度に着目した研究例は少ない。
私たちの学校がある諏訪市は、ハザードマップの液状化リスクが高いだけでなく、周辺には上諏訪温泉が湧いているため、温度情報に着目した研究は重要である。そこで本研究では、水の温度を変えて液状化の再現実験をすることで、高温下と常温下での液状化の様子の違いを明らかにすることを目的とした。
2.データ
図 1 地表から噴出した水の量
図 2 砂の中に残った水の量
3.手法
(1) 道具
珪砂、プラスチック容器、液状化装置、水分含有量を統一したスポンジ、ヘラ、温度計、質量計
(2) 実験条件
砂は、125 ㎛以上500 ㎛未満の乾燥させたものを用いた。容器は幅15.4 ㎝、奥行き9.2 ㎝、深さ8.7㎝のものを用いた。また、液状化装置とは一定の振動を起こし続けることのできる装置である。
(4) 実験方法
予備実験の結果を踏まえて、①と②の実験条件は、山口ほか、2008を参考にして実験を行った。道具は予備実験と同じものを用いた。
① 360 gの水を容器に入れた後に、砂820gを上部から静かに落下させた(容器の高さ5 cmに達する)。
②表面をヘラで平らにならし、地表面と水面が一致するように表面にある水をスポンジで吸い取った。
③液状化装置で容器に30秒間の振動を加え、その様子を側方からと上方から撮影した(図1)。
④表面に出てきた水をスポンジで吸い取り計量した。
※実験を通して容器にラップをして、水の蒸発による全体の質量の変化を防いだ。
4.結果
水の温度を10℃前後、50℃前後の2パターンで実験を行った(以降水温が10℃前後のときを常温、50℃前後のときを高温と呼ぶ)。
出てきた水の量に着目すると常温で液状化させた場合平均67.3gの水が出たのに対し、高温の場合は平均63.0gであり、高温状態下のほうが表面に出る水の量が少なかった(図2)。
一方、液状化によって出てこなかった水の量は、常温で液状化させた場合平均336g、高温で液状化させた場合平均340.8gであり、常温化状態のほうが表面に出てこない水の量が少なかった(図3)。
温度による地盤沈下について、常温の場合平均0.65cm沈下するが、およそ50 ℃の高温でも平均0.7cmの沈下であり、温度変化によって地盤沈下量に顕著な差は見られなかった。
5.考察
温度が50℃くらいのとき、温度が10℃くらいのときと比べて液状化によって出てこなかった水の量が少なかった。また、その差はほとんど一定であった。これは温度によって水の粘度が変化し、液状化した後の砂が保持できる水の量が変化するためだと考えられる。粘度は、水の温度が高いほど小さくなるため、それによって砂の中に水が浸透しやすくなる。その結果、高温の状態のほうが砂に含まれる水の量が多くなり、出てくる水の量が少なくなったと考えられる。
6. 参考文献
山口 晶、吉田 望、飛田善雄(2008) 液状化に伴 う噴砂と液状化層厚の関係、土木学会論文集 C.
Vol.64, No.1 79-89
佃為成 (2021) 深部流体上昇仮説とは
能登半島地震 広い範囲で液状化現象 長い揺れ と砂地地盤が原因か/NHK
2024.11.13 閲覧、2024.1.5 作成
https://www3.nhk.orjp/news/html/20240105/k10014
310701000.html
技術資料 液体編6.水の密度、粘度、音速 /流体工業株式会社
2025 1/11閲覧
https://www.ryutai.co.jp/shiryou/liquid/water-mitsudo-1.htm
