日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P75] 河川工事が及ぼす生態系への影響についての研究

*福田 智之1 (1.滝川高等学校)

キーワード:生態系、河川工事

[動機と目的]
中学時代、趣味の魚釣りのため、頻繁に行っていた兵庫県南東部の武庫川流域で河川工事が始まることを知った。水生生物が多く生息した場所だったのに工事の進行状況によっては川の環境に大きな変化が生じてしまうのではないか、工事によって生息している水生生物にも悪影響が出てしまうのではないかと思い心配になった。そこで水生生物への影響を確認するため、継続的に調査を開始することにした。

[方法]
工事区域にある橋を境目に、上流の調査ポイントAと下流の調査ポイントBに分けて調査を行うことにした。 
調査方法は区域内で30分間、たも網で使い採取した水生生物の種類及び個体数を記録する形で行った。
調査順序による影響を少なくするため、下流の調査ポイントBで測定した後、上流の調査ポイントAで測定を行った。
また、流速・流水量・気温・水温も調べた。

[結果]
上流部は工事中と比較して、工事終了後にオイカワなどの遊泳性の高い生物の個体数が回復した。
採集時には特にオイカワなどの遊泳性が高い生物が、工事後に設置された障害物付近に多く見られた。
障害物は水生生物の避難場所を目的として設置されたものであるため、その目的は達成されたと言える。
またオイカワやカワムツの稚魚も継続して多く見られたことから、工事後も繁殖していることがわかった。
下流部は上流部と比較すると工事後のオイカワなどの遊泳生物の回復傾向が鈍く、他の水生生物の個体数は減少した。
上流部と比較して2022年の個体数が大きく減ったのは、工事で設置された障害物の種類の違いが原因と考えられる。
ただ上流下流共にカマツカやヨシノボリ、ドンコなどの底で暮らす魚類の個体数の回復が遅れている。
また、イシガメ、アカハライモリは工事後ほとんど見られなくなっていることがわかった。
結果的には工事終了から2年経った段階では生物の個体数は変わっていないが、種類は工事前ほど回復していない。

[結論]
陸上の移動もできるヤゴや遊泳性の高いオイカワは河川工事後に個体数が回復しやすいが、ヨシノボリのような移動能力が低い生物は、工事後に回復しづらいことがわかった。
また工事の際、水生生物に配慮して障害物が設置されていたが、流速の遅い川では設置場所や種類によっては1年程度で障害物そのものが土砂に埋まり無くなってしまい、短期間しか生物の逃げ場として機能しないことも分かった。
以上のことから、工事現場の水生生物の生息状況を確認した上で、その環境に適した場所に適切に障害物を設置することによって、従来の水生生物の個体数の回復に寄与することが分かった。自然環境に配慮して、その現場に合った工事を行うことで、多様な生態系は個体数の増減はありながらも、ある程度維持していくことが出来ると考えられる。
工事前のデータを基準に工事後の水生生物の状況をまとめるため、今後も生物調査を行っていきたい。