日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P79] 3Dモデルを活用した土砂災害シミュレーション

*後藤 敏仁1、*五十嵐 忠多華1、濱地 謙臣1 (1.宮城県多賀城高等学校)

キーワード:土砂災害、災害科学、土石流、防災、3D

研究背景と目的
本研究は、3D モデルを活用した土砂災害シミュレーションを通じて、人々の防災意識の向上と対応力を向上させることが目的である。背景として、これまで社会に提供されてきた土砂災害に関する情報を鑑みると、平面上のもの…いわゆる2次元の情報が多数であった。しかし実際の災害は平面上のみならず、立体的な空間で生じる。そのため2次元の情報だけでは、災害の危険性を認識するには限界がある。そこで私たちは「土砂災害の情報を立体的な情報…3D情報として可視化することで、災害そのものやそれに起因するリスクへの理解がより一層深まる」という仮説を設定し、この仮説を検証した。

研究方法
多賀城市が公開している多賀城市防災マップに基づき、本校周辺の土砂災害警戒区域を対象とした。
1)実験
地理院地図と Google Earth を用い、その土地の縦横の長さ・標高を求め、クリノメーターを用いて傾斜を測定する。そのデータに基づき縮尺1/57の地形模型を制作し、実際にその模型の斜面から土砂を流して流下状況を確認する。
なお、流下させる際は水・土の割合を(水:土)=(1:3)、(1:1)、(3:1)と変化させて流下させる。また、傾斜を40度・45度・50度とで比較している。なお、この傾斜はクリノメーターによる傾斜測定の際に示された値である。
2)動画制作
実験で得られた結果をもとに3D画像を制作し、繋ぎ合わせるなどして動画を作成した。
3)アンケート調査
平面上の地図だけを見た場合と、平面上の地図に加え作成した動画を見せた場合とで、土砂崩れの起こり方への理解・危機意識の変化を調査する。

実験結果
傾斜が急になっていくごとに、土砂の流下距離が減少していった。すなわち、傾斜度と流下距離には一定の相関が見られることが確認できた。

動画作成
写真を40枚程繋ぎ合わせて、動画を制作した。

アンケート結果と考察
完成した3Dモデルや動画を見せた上で行ったアンケート回答には、
「平面の地図よりも立体で見る方がわかりやすい」
「動画を見ることで土砂災害の動きがイメージできた」
など、前向きな回答が目立った。危機意識について「かなり持てた」が28%、「危機意識を持てた」は62%となり、実に全体の90%が災害への意識の高まりを感じている結果となった。中でも「模型を使って実験の様子を映像で伝えたことにより、災害の危険性を自分ごととして捉えることができた」という意見が印象に残っている。
このように、3D化による伝達は意識の向上だけでなく、「災害を自分ごととして捉える」ことへの意識づけに大きく寄与することが分かった。同時に本研究の仮説とした「3D情報として可視化することで、災害そのものやそれに起因するリスクへの理解がより一層深まる」ことが正しいことを確認することができた。

参考文献
多賀城市、多賀城市防災ハザードマップ
https://www.city.tagajo.miyagi.jp/bosai/kurashi/bosai/bosai/shite.html
特定非営利活動法人日本防災士機構、防災士教本(2023年度)

謝辞
本研究を遂行するにあたり、東北大学災害科学国際研究所災害評価・低減研究部門 計算安全工学研究分野 准教授 森口周二先生には、実験に向けた指導助言を頂戴しました。ここに深く感謝の意を示します。