13:45 〜 15:15
[O11-P88] サンゴの白化における緑色蛍光タンパク質の役割の評価 -セイタカイソギンチャクを用いた実験-
キーワード:サンゴ礁、熱帯環境、緑色蛍光タンパク質、生物多様性
〈背景〉
近年、地球規模の気候変動や海洋環境の変化により、海水温が上昇し、サンゴの白化現象が世界的に深刻化している。白化は、サンゴと共生関係にある褐虫藻が体内から排出されることによって引き起こされ、サンゴの生存を脅かす要因となっている。しかし、先行研究にて白化時のサンゴに緑色蛍光タンパク質(GFP)を補強することで、死滅を免れたという結果を得ている。この現象はサンゴと褐虫藻の2つの特性によって引き起こされていると考えられる。1つめは、サンゴの白化状態が完全な死ではなく、一時的な仮死状態にあることで、再び褐虫藻を取り込むことによって回復が可能であるという特性。2つめは、褐虫藻はサンゴが発するGFPに引き寄せられるという特性(Putnam et al.,2017)。つまり、GFPは褐虫藻の再共生を促進する重要な要素であると考えられる。
〈目的〉
そこで本研究では、先行研究と同様にサンゴのモデル生物として広く用いられているセイタカイソギンチャク(Aiptasia pulchella)を実験に用い、サンゴの白化問題の解決を目指すことを目的として、GFPが褐虫藻の光合成活性やサンゴの白化にもたらす影響、白化前後のGFPの変化を評価することを試みた。先行研究では、結果の確認作業を目視にて行ったが、本研究では、より詳細な結果を得るため、サンプル数を増やして再現性を高めることや器具や装置を用い、結果を定量化することを目的とし実験を行った。
〈手法〉
具体的な実験方法としては、白化からの回復、白化防止、GFP量の測定の3つのアプローチから行った。白化させた方法は、水槽内の水温を32℃に設定して、そのなかにセイタカイソギンチャクが1個体ずつ入っている小瓶を約20サンプル浮かべて、その小瓶と水槽との温度を同一にした。温度の維持のために、水槽の上からラップをかけて熱を逃さないようにした。
測定方法としては、セイタカイソギンチャクの白化回復具合、白化防止具合、白化前後のGFP量を確認するため、それらの処理を行った個体を用い、蛍光顕微鏡で撮影した画像をImageJにより解析し、GFPの発現量や褐虫藻の分布状況を解析した。さらに、GFPの抽出にはホモジナイザーによる破砕とろ過を行い、抽出液中の蛍光強度を測定することで、GFP量の変化を確認した。加えて、サンプルを乾燥させることで水分を除いた上での定量的評価も行い、より精度の高いデータの取得を試みた。さらに、褐虫藻の共生に影響するセイタカイソギンチャクのGFP量を確認し、褐虫藻の光合成活性との関連性を調べた。この光合成活性について、酸素濃度の変化を指標として測定を行った。
〈結果〉
目視での実験では、セイタカイソギンチャクは、GFPによって褐虫藻が誘因され、白化からの回復が促された。白化防止時では、GFPによって白化が防止された。そして定量化の実験については、発表予定である。白化前後のGFP量の測定において青色励起光を照射すると、白化前のセイタカイソギンチャクは個体全体が褐虫藻と考えられるオレンジ色を示し体内中央部に緑色の蛍光が観測された。一方、白化後の個体ではオレンジ色の光がほとんど観察されず透明に見え、個体全体に緑色蛍光が散在するような分布を示した。
〈考察〉
先行研究では、GFPを補強することで白化問題への解決を目標としていた。だが、白化後にGFPの蛍光強度が増加していることが分かったため、今後は、本研究で得られた知見を基に、先行研究よりも直接的で有益な、白化問題の解決方法の開発につなげ、サンゴ礁生態系の保全に向けて取り組んでいきたい。
近年、地球規模の気候変動や海洋環境の変化により、海水温が上昇し、サンゴの白化現象が世界的に深刻化している。白化は、サンゴと共生関係にある褐虫藻が体内から排出されることによって引き起こされ、サンゴの生存を脅かす要因となっている。しかし、先行研究にて白化時のサンゴに緑色蛍光タンパク質(GFP)を補強することで、死滅を免れたという結果を得ている。この現象はサンゴと褐虫藻の2つの特性によって引き起こされていると考えられる。1つめは、サンゴの白化状態が完全な死ではなく、一時的な仮死状態にあることで、再び褐虫藻を取り込むことによって回復が可能であるという特性。2つめは、褐虫藻はサンゴが発するGFPに引き寄せられるという特性(Putnam et al.,2017)。つまり、GFPは褐虫藻の再共生を促進する重要な要素であると考えられる。
〈目的〉
そこで本研究では、先行研究と同様にサンゴのモデル生物として広く用いられているセイタカイソギンチャク(Aiptasia pulchella)を実験に用い、サンゴの白化問題の解決を目指すことを目的として、GFPが褐虫藻の光合成活性やサンゴの白化にもたらす影響、白化前後のGFPの変化を評価することを試みた。先行研究では、結果の確認作業を目視にて行ったが、本研究では、より詳細な結果を得るため、サンプル数を増やして再現性を高めることや器具や装置を用い、結果を定量化することを目的とし実験を行った。
〈手法〉
具体的な実験方法としては、白化からの回復、白化防止、GFP量の測定の3つのアプローチから行った。白化させた方法は、水槽内の水温を32℃に設定して、そのなかにセイタカイソギンチャクが1個体ずつ入っている小瓶を約20サンプル浮かべて、その小瓶と水槽との温度を同一にした。温度の維持のために、水槽の上からラップをかけて熱を逃さないようにした。
測定方法としては、セイタカイソギンチャクの白化回復具合、白化防止具合、白化前後のGFP量を確認するため、それらの処理を行った個体を用い、蛍光顕微鏡で撮影した画像をImageJにより解析し、GFPの発現量や褐虫藻の分布状況を解析した。さらに、GFPの抽出にはホモジナイザーによる破砕とろ過を行い、抽出液中の蛍光強度を測定することで、GFP量の変化を確認した。加えて、サンプルを乾燥させることで水分を除いた上での定量的評価も行い、より精度の高いデータの取得を試みた。さらに、褐虫藻の共生に影響するセイタカイソギンチャクのGFP量を確認し、褐虫藻の光合成活性との関連性を調べた。この光合成活性について、酸素濃度の変化を指標として測定を行った。
〈結果〉
目視での実験では、セイタカイソギンチャクは、GFPによって褐虫藻が誘因され、白化からの回復が促された。白化防止時では、GFPによって白化が防止された。そして定量化の実験については、発表予定である。白化前後のGFP量の測定において青色励起光を照射すると、白化前のセイタカイソギンチャクは個体全体が褐虫藻と考えられるオレンジ色を示し体内中央部に緑色の蛍光が観測された。一方、白化後の個体ではオレンジ色の光がほとんど観察されず透明に見え、個体全体に緑色蛍光が散在するような分布を示した。
〈考察〉
先行研究では、GFPを補強することで白化問題への解決を目標としていた。だが、白化後にGFPの蛍光強度が増加していることが分かったため、今後は、本研究で得られた知見を基に、先行研究よりも直接的で有益な、白化問題の解決方法の開発につなげ、サンゴ礁生態系の保全に向けて取り組んでいきたい。
