日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P90] 喜界島における気候によるサンゴの成長スピードの違い

*樋口 美憂1,2 (1.喜界高校/サンゴ留学、2.喜界島サンゴ礁科学研究所)

キーワード:サンゴの成長、島の形、環境、気候

はじめに

 喜界島は鹿児島県の奄美群島に属し、鹿児島市から南へ約380km、奄美大島から約25kmの太平洋上に位置する隆起サンゴ礁の島である。この島で私たちサンゴ留学生は、高校に通いながら研究をしている。昨年はサンゴの生息する環境を知るため、サンゴが生息する場所とそうでない場所の水質を調査した。調査する中で、喜界島においてもサンゴの成長スピードに差があると仮説をたてた。この仮説を検証するため、サンゴは成長に伴い年輪の幅が大きいほど成長スピードが早いというこ特徴をいかし、化石サンゴの年輪の幅を指標として場所によるサンゴの成長スピードの違いを調査することとした。また、喜界島隆起サンゴ礁の研究が多くなされ、サンゴ礁段丘面の年代が測定されており、例えば島を取り囲む完新世サンゴ礁段丘は4段に識別できることがわかっている。そのため、同じ標高の化石を採取することにより、同じ年代のサンゴを調べることができる。

仮説

 喜界島の中でも北部と南部では環境や気候が異なるため、サンゴの成長スピードは異なるのではないかと予想した。漆原(2005)では、2004年の1年間の風向頻度と5m/s以上の風向頻度を示しており(図1)、北、北北西、北西の風向が特に多く、この三方向で33%を占めることを示した。風は波浪を起こし波はサンゴの成長に影響を与えることが予想される。そのため、喜界島はサンゴ礁が隆起してできた島だから、サンゴの成長スピードの異なることによって、サンゴ礁の発達も変化し、喜界島の形にも影響してきたのではないかと予想した。

方法

 喜界島の気候環境の違いによるサンゴの成長量を比較する。ハマサンゴは成長に伴い骨格に年輪を構成する。年輪の幅が大きいほど年間の成長スピードが早いということを示す。この特徴にから、時代がおおよそ同じとされる完新世サンゴ礁段丘から、比較するサンゴは同一の種の塊状のハマサンゴ属化石を、小野津、早町、塩道、花良治の5地点(図2)で採取した。年輪を含むサンゴコア試料を入手するため、1.5インチのコアラーを接続した電動ドリルを用いて、湿式掘削によるコアリングを実施したc。喜界島サンゴ礁科学研究所のCT装置(RF社Naomi-CT L)を用いて、サンゴコア試料のCT撮影を行い、試料中に年輪を確認した。年輪の幅を画像処理ソフトウェアImageJ(Abramoff et al., 2004)を用いて計測した。掘削した場所ごとで年輪を計測し平均を算出し比較した。

結果

 喜界島では、図1の風配図から北風の頻度が多く、また風速5メートル以上の風が多く吹いていることがわかる。そして南方向からの風の頻度が、北と比べれば少なく、風速5メートル以上の風も吹くことが少ないことがわかる。また、掘削したサンゴコア試料のCT画像では、水平方向に伸びる細かいに線がサンゴの個体の成長を示しており、また、水平方向の黒と白が交互になった線が年輪を示し、年ごとの成長による年輪を読み取ることができた。これらからわかったことは、最小値、平均値ともに、坂嶺が一番低く、次に小野津が低かった。花良治の平均値は5地点で最大であった。今後は、完新世サンゴ礁段丘と異なる段丘で、同様の方法で調べ、時代ごとに風向の傾向がサンゴの成長量及び島の形状に影響を与えているかについて考察を進める予定である。

考察

 年輪幅の平均値が坂嶺が一番低く、次に小野津が低いことから、これらの二地点の成長スピードが遅いことがわかる。これは、喜界島は北・北西の風向頻度が多く北西に位置する小野津は、風による影響が考えられる。

展望

 今後は、完新世サンゴ礁段丘と異なる段丘で、同様の方法で調べ、時代ごとに風向の傾向がサンゴの成長量及び島の形状に影響を与えているかについて考察を進める予定である。

また、南西の風向頻度が0%だったことから、今後南西方向の隆起サンゴの試料も比較の対象として検討に加えたい。

引用文献

Abramoff, M.D., Magalhaes, P.J., Ram, S.J.(2004)Image Processing with ImageJ. Biophotonics International, volume 11, issue 7, pp. 36-42, 2004.

漆原和子. (2005). 屋敷囲いとしての石垣を作る文化-喜界島小野津集落と阿伝集落の屋敷囲いとしての石垣の比較. 国際日本学: 文部科学省 21 世紀 COE プログラム採択日本発信の国際日本学の構築研究成果報告集, 3, 151-174.