日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P93] 喜界島に生息する魚と隠れ家として利用されるサンゴの関係

*吉川 來駈1,2 (1.喜界高校/サンゴ留学、2.喜界島サンゴ礁科学研究所)

キーワード:魚の隠れ方、魚とサンゴ

(目的)

鹿児島県大島郡の喜界島には多くの種類のサンゴが生息している(深見他, 2022)。サンゴ礁に生息するスズメダイ科の魚の一部は、種類によって特定の形状のサンゴに住む傾向があることが沖縄県の調査で明らかになっている。喜界島のサンゴ礁に生息する魚の種類と、彼らが隠れ家として使うサンゴの形状の関係について疑問に思い、調査を行った。この研究の目的は、サンゴの種類・形状や隙間の場所・深さと隠れる魚の種数の関係を明らかにすることである。また、私は将来水族館の飼育員になりたいと思っている。サンゴ礁に住む魚を飼育する際に、より快適に魚が暮らせるのはどのようなサンゴと飼育する場合であるかを明らかにすることも目的である。



(手法)

2024年8月23日に島の東部に位置する白水のタイドプール、2024年10月26日には島の北部に位置する坂嶺のタイドプールで調査を行った。スノーケリングで観察をおこない、表層からサンゴの近くにいる魚を見つけ、近寄った。その魚が隠れた場合、隠れた魚の種類を現場で記録した。また、魚が隠れたサンゴの種類・形状、魚が隠れた隙間の場所・深さを記録した。



(結果)

2地点で記録できたサンゴは11種類に整理した。白水では35種、坂嶺では23種の魚を記録することができた。

まず、サンゴの種類ごとに記録できた群体の数が異なるため、1群体あたりに隠れた魚の種数を調べた。迷路のように入り組んだ複雑な構造をもつサンゴに隠れた魚種は多く、塊状などの単純な形状のサンゴに隠れる魚種は少なかった。

次に、魚が隠れた隙間の場所とそこに隠れた魚の種数の関係では、枝の隙間に隠れる魚が1番多かった。

魚が隠れた隙間の深さ・サンゴの形状と魚の種類の関係では、魚の体が大きいほど隠れる隙間も深くなった。複数の形状のサンゴに隠れる魚種もいた。また、サンゴの形状によって隙間の深さはある程度決められていることがわかった。

さらに、サンゴの群体の数が多くなるとそこに隠れる魚種も多くなる傾向が現れた。



(考察)

1群体あたりに隠れた魚の種数では、隠れた魚種が多かったサンゴは形状が複雑であったため、サンゴの形状は魚の隠れ家として重要な要素であると考えられる。

魚が隠れた隙間の場所とそこに隠れた魚の種数の関係では、多くの魚種が隠れたのは枝や板の隙間であり、これは魚がサンゴの上を泳いでいる際、真っ先に隠れられるうえ、構造が複雑なため捕食者から身を守りやすい場所である。そのため、多くの魚種が隠れるのは、すぐに隠れることができて構造が複雑な場所であると考えた。

魚が隠れた隙間の深さ・サンゴの形状と魚の種類の関係では、隠れる魚は入れるが、敵となる大きな生き物は入れないような自分の体がちょうど収まる深さの隙間を選んでいると考えた。隙間は大きければ大きいほどいいというわけではなく、体の大きさにフィットする深さの隙間がいいと考えられる。

また、サンゴの群体の数が多くなるほどそこに隠れる魚種も多くなる傾向が今回の結果には現れたため、今後は全てサンゴの種類ごとの記録する群体の数を等しくすることを考慮すべきである。



2024年の夏には、高水温が続いたことにより大規模なサンゴの白化が起こった。もう一度同じ地点で調査を行い、白化前と後で魚種の記録に変化があるかを比較することで、魚が「生きたサンゴ」を重要視しているのか、あるいは「構造としてのサンゴ」があれば十分なのかを把握できると考えている。



(参考文献)

海と陸の造礁サンゴ図鑑