13:45 〜 15:15
[O11-P95] 小浜湾海底のマイクロプラスチックの分布調査
キーワード:堆積物、マイクロプラスチック、日本海
背景と目的
プラスチックを使った製品は身近に溢れ、プラスチックゴミによる環境汚染は年々拡大している。特にマイクロプラスチックはサイズが小さいことから回収が難しく、今もなお多くのマイクロプラスチックが世界中に存在する。マイクロプラスチックは海洋中にも存在し、海上を漂うだけでなく海底にも堆積している。
本校では数年前から小浜湾におけるマイクロプラスチックの研究が盛んに行われてきた。しかし、それぞれの研究は実験方法が異なり結果の比較が難しいことに気付いた。本研究では、小浜湾の海底におけるマイクロプラスチックの分布を概観することを目的とした。そのために、実験方法を統一して小浜湾全域の分布調査を行った。
方法
小浜湾内の9地点の泥をエクマンバージ採泥器等を用いて各地点3サンプルずつ採取し、泥をインキュベータ(恒温器)で1週間乾燥させた。乾燥させた泥の重量を測定した後、飽和食塩水を用いて比重分離させ、上澄みを1000μmと100μmのメッシュを使いろ過した。その後、メッシュごとシャーレに入れて、濃度30%の過酸化水素水に1週間つけて有機物を分解させた。分解されずに残ったものを顕微鏡で観察し、100-1000μm、1000μm以上の二つのカテゴリでマイクロプラスチック(以下MP)の数を数えた。
結果と考察
マイクロプラスチック(MP)を顕微鏡で観察した結果は表1の通りである。サンプルは9地点のうち、5地点について分析を終了した。
どの地点でもMPはほとんど見られなかった。1-1百、2-1百ではどちらも同じような白い糸状のMPが観察された(表1)。また、5-1千は白っぽいMPが約50個見つかった。50個とも同じようなMPである。MP以外のものとして植物、甲殻類の脚、殻、貝殻などが見つかった。
MPの判別について、観察したものには植物などが含まれたが、細胞壁のみられるものは植物、それが見られないものをMPとした(図1AB)。判別における問題点として、貝殻の形になっているものはそう判別できるが、破片になっているものは何であるか判別しづらいことがわかった(図1C)。
今回の結果からは、分布の傾向はわからなかった。今後、残りのサンプルを分析することで、小浜湾のどの場所にMPが多いのかを明らかにしたい。
分析方法については、私たちが採用した方法でMPがどれだけ抽出できているのか、検証が必要だと考えた。問題点のひとつめは、飽和食塩水で比重分離法を用いた場合に浮いてくるのは、これよりも比重が小さいポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンに限られることである。ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ塩化ビニル(PVC)は比重が大きいため、この方法では沈んでしまう。そのため、過小評価になっている可能性がある。ふたつめは、同じように浮いてくる貝殻等との判別が難しいことである。これについては、強力な酸を使って分解すること、またFTIR(フーリエ変換赤外分光分析法)を用いて化合物を特定することで、判別が可能になるのではないかと考える。
今後の課題
本研究では小浜湾の海底におけるマイクロプラスチックの分布の調査を行ったが、未だ量的データが集められておらず、また不純物の除去ができていないなど実験方法も完全だったとは言い難かった。今後は実験方法の改善と、量的データの獲得、マイクロプラスチックの成分分析などを行っていく。
謝辞
調査に当たり福井県立若狭高等学校の雲龍丸の船員の方々に、一方ならぬお世話になった。心からお礼の言葉を申し述べたい。
参考文献
1)磯辺 篤彦ら(2023)海に漂うマイクロプラスチッㇰの年齢を推定する手法を開発. 九州大学ホームページ. URL.https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/925/ (2025年4月13日アクセス)
2)磯辺 篤彦(2018)海洋プラスチックごみの発生・移動とその行方. 廃棄物資源循環学会誌 29 巻 4 号 p. 270-277
3)小林 俊介, 岡本 洋輔, 片岡 智哉, 向高 新, 二瓶 泰雄(2020)河川水・堆積物中に含まれるマイクロプラスチックの製品特定の試み. 土木学会論文集B1(水工学)76 巻2 号 p. I_1351-I_1356
4)阿草 哲郎,金高 史佳(2020)九州地方沿岸城におけるマイクロプラスチック汚染の実態解明. ソルト・サイエンス研究財団研究報告書. URL.https://www.saltscience.or.jp/images/2023/07/202001.pdf
5)河川で採集したマイクロプラスチックの前処理方法とFTIRによる分析法. 島津製作所ホームページ. https://www.an.shimadzu.co.jp/sites/an.shimadzu.co.jp/files/pim/pim_document_file/an_jp/applications/application_note/19451/an_01-00002-jp.pdf
プラスチックを使った製品は身近に溢れ、プラスチックゴミによる環境汚染は年々拡大している。特にマイクロプラスチックはサイズが小さいことから回収が難しく、今もなお多くのマイクロプラスチックが世界中に存在する。マイクロプラスチックは海洋中にも存在し、海上を漂うだけでなく海底にも堆積している。
本校では数年前から小浜湾におけるマイクロプラスチックの研究が盛んに行われてきた。しかし、それぞれの研究は実験方法が異なり結果の比較が難しいことに気付いた。本研究では、小浜湾の海底におけるマイクロプラスチックの分布を概観することを目的とした。そのために、実験方法を統一して小浜湾全域の分布調査を行った。
方法
小浜湾内の9地点の泥をエクマンバージ採泥器等を用いて各地点3サンプルずつ採取し、泥をインキュベータ(恒温器)で1週間乾燥させた。乾燥させた泥の重量を測定した後、飽和食塩水を用いて比重分離させ、上澄みを1000μmと100μmのメッシュを使いろ過した。その後、メッシュごとシャーレに入れて、濃度30%の過酸化水素水に1週間つけて有機物を分解させた。分解されずに残ったものを顕微鏡で観察し、100-1000μm、1000μm以上の二つのカテゴリでマイクロプラスチック(以下MP)の数を数えた。
結果と考察
マイクロプラスチック(MP)を顕微鏡で観察した結果は表1の通りである。サンプルは9地点のうち、5地点について分析を終了した。
どの地点でもMPはほとんど見られなかった。1-1百、2-1百ではどちらも同じような白い糸状のMPが観察された(表1)。また、5-1千は白っぽいMPが約50個見つかった。50個とも同じようなMPである。MP以外のものとして植物、甲殻類の脚、殻、貝殻などが見つかった。
MPの判別について、観察したものには植物などが含まれたが、細胞壁のみられるものは植物、それが見られないものをMPとした(図1AB)。判別における問題点として、貝殻の形になっているものはそう判別できるが、破片になっているものは何であるか判別しづらいことがわかった(図1C)。
今回の結果からは、分布の傾向はわからなかった。今後、残りのサンプルを分析することで、小浜湾のどの場所にMPが多いのかを明らかにしたい。
分析方法については、私たちが採用した方法でMPがどれだけ抽出できているのか、検証が必要だと考えた。問題点のひとつめは、飽和食塩水で比重分離法を用いた場合に浮いてくるのは、これよりも比重が小さいポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンに限られることである。ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ塩化ビニル(PVC)は比重が大きいため、この方法では沈んでしまう。そのため、過小評価になっている可能性がある。ふたつめは、同じように浮いてくる貝殻等との判別が難しいことである。これについては、強力な酸を使って分解すること、またFTIR(フーリエ変換赤外分光分析法)を用いて化合物を特定することで、判別が可能になるのではないかと考える。
今後の課題
本研究では小浜湾の海底におけるマイクロプラスチックの分布の調査を行ったが、未だ量的データが集められておらず、また不純物の除去ができていないなど実験方法も完全だったとは言い難かった。今後は実験方法の改善と、量的データの獲得、マイクロプラスチックの成分分析などを行っていく。
謝辞
調査に当たり福井県立若狭高等学校の雲龍丸の船員の方々に、一方ならぬお世話になった。心からお礼の言葉を申し述べたい。
参考文献
1)磯辺 篤彦ら(2023)海に漂うマイクロプラスチッㇰの年齢を推定する手法を開発. 九州大学ホームページ. URL.https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/925/ (2025年4月13日アクセス)
2)磯辺 篤彦(2018)海洋プラスチックごみの発生・移動とその行方. 廃棄物資源循環学会誌 29 巻 4 号 p. 270-277
3)小林 俊介, 岡本 洋輔, 片岡 智哉, 向高 新, 二瓶 泰雄(2020)河川水・堆積物中に含まれるマイクロプラスチックの製品特定の試み. 土木学会論文集B1(水工学)76 巻2 号 p. I_1351-I_1356
4)阿草 哲郎,金高 史佳(2020)九州地方沿岸城におけるマイクロプラスチック汚染の実態解明. ソルト・サイエンス研究財団研究報告書. URL.https://www.saltscience.or.jp/images/2023/07/202001.pdf
5)河川で採集したマイクロプラスチックの前処理方法とFTIRによる分析法. 島津製作所ホームページ. https://www.an.shimadzu.co.jp/sites/an.shimadzu.co.jp/files/pim/pim_document_file/an_jp/applications/application_note/19451/an_01-00002-jp.pdf
