日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] ポスター発表

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[O-12] 2025年ミャンマー中部の地震と被害

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

17:15 〜 19:15

[O12-P02] 2025年ミャンマー地震の干渉SARによる建物被害抽出

★招待講演

*本田 謙一1木戸 洋斗1夕斗 遠藤1田口 智大1西村 智博1向山 栄1 (1.国際航業株式会社)

キーワード:地震、干渉SAR、Sentinel-1、干渉性変化解析

地震国である日本にとって,地震が発生した際,迅速に建物の被災状況を把握することは,災害の初動対応において非常に重要である.衛星リモートセンシングは,広域を計測できることから,災害発生後,速やかに被害状況が把握できることが期待されている.
 2025年ミャンマー地震では,南北300㎞以上にわたり断層が動き,非常に広範囲が被害を受けたが,現地の情報がすくなく,詳細な被害分布がわからない状況が続いている.筆者らは平成30年北海道胆振東部地震や令和6年能登半島地震などにおいても,発災直後からSAR衛星を用いて建物被害抽出を行っている.それらで得られた知見を元に2025年ミャンマー地震において,衛星SARを用いて建物被害を抽出した事例について紹介する.
 干渉SAR解析と同時に得られるコヒーレンスは2時期の位相と強度の複素相関であり,干渉性の指標であるが,建物被害が発生すると干渉性が低下することが知られている.ミャンマーではCバンドのSentinel-1で干渉可能な観測が行われた.本研究では災害前2時期と災害後1時期のSAR画像を用いて,干渉SAR解析による干渉性の低下による建物被害抽出を行った.
 干渉SAR画像から,地震に伴う断層変位が南北300km以上にわたり発生していたと推定される.特に地表が大きくずれた可能性がある位相の切れ目や建物や地面の状態が変化したことで,コヒーレンスの低いラインが複数確認された.これは,主断層に沿って,複数の断層が地表に出現した可能性を示唆している.
建物被害推定結果より,サガイン断層沿いに大きく干渉性が低下しており,建物被害の大きさを示しているとみられる.
 マンダレー市内でも,市街地の中で断層に近い西側や川沿いの低地エリアでは建物の被害可能性が高い範囲が広がっている一方で,高台や断層から離れた地域では被害の兆候が少ないことが分かる.このような被害のばらつきは,地盤の性質や地震波の増幅特性などの違いに起因していると考えられる.
 衛星リモートセンシングによる被害把握は有用であり,今回の事例のように情報の少ない場所でも,衛星データを迅速に撮影し,解析結果を提供することで,初期の災害情報把握の一つの選択肢になり得る.また,建造物被害域の推定は,光学写真で判読することは難しく,SARによる建物被害推定の有用性は大きい.
 最後に,このたびの災害で被災された方々に謹んでお見舞い申し上げます.