日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-AE 天文学・太陽系外天体

[P-AE18] 系外惑星

2025年5月30日(金) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:小玉 貴則(地球生命研究所、東京科学大学)、川島 由依(京都大学)、野津 翔太(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 地球惑星システム科学講座)、森 万由子(アストロバイオロジーセンター)


17:15 〜 19:15

[PAE18-P03] 磁気圏3次元グローバル電磁流体シミュレーションに基づく超低温矮星のオーロラ電流の推定

*原 亮太1木村 智樹1深沢 圭一郎2Asa Satyagraha1藤井 友香3 (1.東京理科大学、2.総合地球環境学研究所、3.国立天文台)


キーワード:系外惑星、超低温矮星、オーロラ電波放射

オーロラは天体周囲の宇宙空間の電子が恒星風や惑星の自転・固有磁場から得たエネルギーによって磁場に沿って加速され、大気と衝突することで起こる現象であり、天体の磁場と大気の存在を示す重要な指標となる。系外惑星から放射されるオーロラが検出できれば、磁場と大気の存在実証となり、系外惑星の生命居住可能性の理解につながる。オーロラは電波領域では円偏光しており(Wu & Lee, 1979)、円偏光を持たない恒星電波等の他の電波源と区別できる。現在までに確実な検出したとする報告は1例のみで(Turner et al., 2021)、さらなる観測が求められている。このため、観測対象の絞り込みを目的に理論・数値モデルの構築が進められ、磁気圏―電離圏結合モデル(Nichols and Milan, 2016)や3次元MHDシミュレーション(Turnpenny et al., 2020)では、hot Jupiterのオーロラ電波放射エネルギーは約1015 Wと推定されている。しかし、観測データが不足しており、これらのモデルの検証や制約にはさらなる観測が必要とされている。

オーロラ電波放射と同様の発生機構による電波放射が確認されている天体として超低温矮星 (Ultracool dwarf, UCD)がある。UCDのうち高速で自転(数時間程度の周期)する強磁化天体(数kG程度)であるものからは強力な電波放射(~1016 W)が複数件検出されている(例:Hallinan et al., 2006)。Nichols et al. (2012) や Turnpenny et al. (2017) ではHill-Pontius方程式 (Hill, 1979) を用いた磁気圏のモデリングを行った。その結果、このモデルにおいて観測値と同等の電波放射が発生可能であり、UCDの磁気圏は木星と類似した回転磁気圏である可能性が示唆されている。電波放射が検出されているUCDでは、磁場や自転周期などが判明しているが、依然として周辺のプラズマ環境は不明である。このため、Hill-Pontius方程式を用いたモデルでは、プラズマの角速度やマスローディングレートなど多くの未確定なパラメータを仮定する必要がある。

そこで本研究では、UCDの1つであるLSRJ1835+3259の磁気圏を、3次元グローバルMHDシミュレーション(Fukazawa et al., 2005)で模擬することで、オーロラ電流の推定を行った。MHDシミュレーションを用いることで、Hill-Pontius方程式を用いる場合よりもパラメータに対する仮定は少なくなり、自己無撞着に決定することができる。その結果として、電波放射に関連する電流の総量は~9×109 Aであることが明らかになった。今後は、上記の推定結果をもとにLSRJ1835+3259 におけるオーロラ電波の放射エネルギーを推定し、観測値(Hallinan et al., 2008)と比較することで、本モデルの妥当性を定量的に検証する。その後本研究のモデルをhot Jupiterや地球型系外惑星に応用する予定である。本発表では、上記の現状を報告する。