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[PCG20-05] 将来の惑星探査に向けたジェットセパレーターを用いた超小型ガスクロマトグラフ―質量分析計の開発

キーワード:ガスクロマトグラフ、質量分析計、有機物
太陽系における前生命化学進化の理解や過去または現在の生命の痕跡の探索のため、有機物は主要な分析対象である.惑星探査におけるその場分析では質量分析計(MS)が広く利用されるが、多種類の構造異性体を持つ有機物を質量数の情報のみで分離することには限界がある.これに対して、ガスクロマトグラフ(GC)によって分子種ごとに分離するガスクロマトグラフ―質量分析計(GC-MS)は、有機物の分析機器として強力な選択肢である.例えば、Cassini-Huygensに搭載されたGC-MSにより土星衛星タイタンの大気中に複雑な有機物を含む可能性が示され(e.g., Niemann et al., 2010)、Curiosityに搭載されたGC-MSにより火星の岩石サンプルを加熱して様々な有機物が検出した(e.g., Millan et al., 2022).さらに、近い将来打ち上げが予定されているESAのExoMarsローバー(e.g., Arevalo Jr et al., 2015)やNASAのDragonfly(e.g., Lorenz et al., 2018)にもGC-MSの搭載が計画されており、GC-MSは今後の惑星探査においても重要な有機化学分析機器の1つである.
そこで本研究では、ロッド長10 cmの四重極型質量分設計(QMS)と手のひらサイズの超小型GC;Sylph(Iwaya et al., 2022)と組み合わせた試作機を開発している.GCは別途検出器として、直径3.3 mmの球状圧電素子の弾性表面波(SAW)を利用したボールSAWセンサ(e.g., Yamanaka et al., 2006)を搭載している.ボールSAWセンサは、センサ表面に成膜した感応膜に化合物が吸脱着することで、SAWの振幅や速度の変化として化合物を非破壊で検出できる。そのため、ボールSAWセンサはMSと直列に接続して同時に測定することができ、2つの検出器で定量・定性分析のクロスチェックが可能である.
また、惑星探査用のGC-MSは、地上のGC-MSで用いられるような大型の真空ポンプを搭載することはできないため、GC-MSインターフェイスにおいてGCから導入されるガスの大部分を排気することが必須である.一方で、GC-MSインターフェイスは、構造の工夫により優先的に分析対象の化合物をMSへ導入する効果も知られている.我々は、GC-MSインターフェイスとして、キャリアガスをGC出口から超音速で噴出して対面に設置したMSの入口に導入するジェットセパレーター(JS)を適用している.軽い分子のキャリアガス(H2やHe)に対して、重い分析対象物は拡散して広がる角度が小さいためより多くMS入口を通過し、結果的にMSに導入される分析対象物のキャリアガスに対する濃度は増加する.これまで試作したJSの評価により、MSに導入された分析対象物の濃度がGC出口の4倍だったことが確認された.今後、さらなる濃縮効果の改善のためJSの構造の最適化するとともに、GC-MS試作機と組み合わせて性能実証をする予定である.
そこで本研究では、ロッド長10 cmの四重極型質量分設計(QMS)と手のひらサイズの超小型GC;Sylph(Iwaya et al., 2022)と組み合わせた試作機を開発している.GCは別途検出器として、直径3.3 mmの球状圧電素子の弾性表面波(SAW)を利用したボールSAWセンサ(e.g., Yamanaka et al., 2006)を搭載している.ボールSAWセンサは、センサ表面に成膜した感応膜に化合物が吸脱着することで、SAWの振幅や速度の変化として化合物を非破壊で検出できる。そのため、ボールSAWセンサはMSと直列に接続して同時に測定することができ、2つの検出器で定量・定性分析のクロスチェックが可能である.
また、惑星探査用のGC-MSは、地上のGC-MSで用いられるような大型の真空ポンプを搭載することはできないため、GC-MSインターフェイスにおいてGCから導入されるガスの大部分を排気することが必須である.一方で、GC-MSインターフェイスは、構造の工夫により優先的に分析対象の化合物をMSへ導入する効果も知られている.我々は、GC-MSインターフェイスとして、キャリアガスをGC出口から超音速で噴出して対面に設置したMSの入口に導入するジェットセパレーター(JS)を適用している.軽い分子のキャリアガス(H2やHe)に対して、重い分析対象物は拡散して広がる角度が小さいためより多くMS入口を通過し、結果的にMSに導入される分析対象物のキャリアガスに対する濃度は増加する.これまで試作したJSの評価により、MSに導入された分析対象物の濃度がGC出口の4倍だったことが確認された.今後、さらなる濃縮効果の改善のためJSの構造の最適化するとともに、GC-MS試作機と組み合わせて性能実証をする予定である.
