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[PCG21-P04] フォルステライト昇華生成物の実験的解明

キーワード:昇華、蒸発、ダスト、惑星材料物質、フォルステライト
ダストの昇華や蒸発は,星・惑星系形成過程で生起する主要な化学プロセスとして,岩石惑星材料物質の化学的多様性に寄与すると考えられる.このことは,幅広い太陽系物質に,過去に経験した昇華/蒸発の痕跡と解釈される化学的特徴が見られることから示唆される [1,2].このような宇宙化学的重要性を背景に,隕石や惑星を構成する物質(e.g., ケイ酸塩,酸化物,硫化物,金属の鉱物やメルト)の昇華/蒸発を対象とした基礎的な実験研究がこれまで広く行われてきた [3,4].しかし,その物理化学的素過程については,依然として多くの不明点が残されている.このことは特に,昇華/蒸発に伴う分解で生成する気体の化学種が多くの物質で明らかにされていないために,これらの過程を化学反応式で書き表すことができないという事実に明瞭に現れている.生成物が未解明であることの原因として,これまでの実験研究が主として隕石などの地球外試料と直接比較可能な凝縮相残渣に着目して行われてきたことが挙げられる.一方で近年,アルマ望遠鏡を用いた星・惑星系形成領域の観測により,ダストの昇華/蒸発と関連する可能性のある難揮発性分子が次々と検出されていることを背景に,気体生成物への注目が高まっている [5-7].生成物の化学種の解明は,こうした天文観測を物質科学的に理解し,宇宙化学的知見と結びつけるための第一段階として重要である.
この課題に取り組むため,新たな実験装置の開発を行った.超高真空下での抵抗加熱システムと四重極質量分析計を備えた本装置により,673 Kから~2000 Kまでの温度制御と無衝突条件での一次昇華/蒸発生成物(原子・分子)の検出が可能である.この装置を用いた最初の実験対象として,フォルステライト(Mg2SiO4)の昇華に注目した.フォルステライトは,始原的隕石に主要に含まれ,さらに星形成領域にダストして存在することが観測的に示唆されている鉱物である [8].本発表では,この実験の予察的結果を報告する.
[1] Grossman et al. GCA, 64, 2879, 2000. [2] Huss et al. GCA, 67, 4823, 2003. [3] Hashimoto, Nature, 347, 53, 1990. [4] Mendybaev et al. GCA, 292, 557, 2021. [5] Tachibana et al. ApJL, 875, L29, 2019. [6] Tanaka et al. ApJ, 900, L2, 2020. [7] Law et al. ApJL, 952, L19, 2023. [8] Wright et al. MNRAS, 457, 1593, 2016.
この課題に取り組むため,新たな実験装置の開発を行った.超高真空下での抵抗加熱システムと四重極質量分析計を備えた本装置により,673 Kから~2000 Kまでの温度制御と無衝突条件での一次昇華/蒸発生成物(原子・分子)の検出が可能である.この装置を用いた最初の実験対象として,フォルステライト(Mg2SiO4)の昇華に注目した.フォルステライトは,始原的隕石に主要に含まれ,さらに星形成領域にダストして存在することが観測的に示唆されている鉱物である [8].本発表では,この実験の予察的結果を報告する.
[1] Grossman et al. GCA, 64, 2879, 2000. [2] Huss et al. GCA, 67, 4823, 2003. [3] Hashimoto, Nature, 347, 53, 1990. [4] Mendybaev et al. GCA, 292, 557, 2021. [5] Tachibana et al. ApJL, 875, L29, 2019. [6] Tanaka et al. ApJ, 900, L2, 2020. [7] Law et al. ApJL, 952, L19, 2023. [8] Wright et al. MNRAS, 457, 1593, 2016.