14:15 〜 14:30
[PEM10-15] 太陽サイクル21-25におけるIMF進化と太陽磁場の関係
キーワード:開放磁場、太陽活動周期、光球磁場、惑星間空間磁場
宇宙天気現象とは、太陽の活動が地球近傍に影響を及ぼすことである。その理解のためには、太陽表面からコロナ、惑星間空間までの太陽圏全体の磁場の接続を理解することが重要である。太陽全球の磁場構造は太陽活動周期約11年周期に伴って変化している。極小期には、双極子磁場構造をとり、主に極域から延びる開いた磁場(オープンフラックス) が惑星間空間磁場(IMF) を形成する。極大期には、低緯度の活動領域を持つ複雑な構造となり、オープンフラックスの流源ははっきりしない。太陽磁場によって作り出されるIMFも太陽活動周期にわたって変化している。太陽磁場がどのように惑星間空間へと広がり、IMF を形成しているかを理解することは、太陽の磁気活動が、地球や惑星間空間にどのような影響を及ぼしているかを知る、宇宙天気研究の基礎となる。太陽磁場のどの成分がIMF の長期変動を作り出しているかは部分的に知られている。しかし、太陽活動周期を通して結びつけた研究は少なく、また太陽磁場に基づいて推定されるIMF の強さは「その場」観測に対して2-5 倍程度常に過小評価されることが知られている (オープンフラックス問題; Linker et al., 2017, Wallace et al.,2019)。
本研究では、太陽活動周期を通してIMFがどのように変動しているのか、各サイクルに共通する特徴や特別な変動、何がそれを作り出しているのかを探った。
サイクル21からサイクル25のIMF変動の周期や進化の特徴を、ウェーブレット解析や長期的な傾向から抽出した。その中でサイクル24-25に着目し、太陽磁場の球面調和間数次数(l, m)成分と光球におけるオープンフラックス足元の緯度ごとの時間変動を解析し、太陽磁場の何がIMFのどんな変動を作り出しているのか、その特徴の変化をCarrington Rotation (CR)ごとに定量的に探った。
IMF変動の特徴によって太陽サイクルを5期間にわけて結果を述べる。期間I (サイクル24ではCR2108-CR2130; 2011.03-2012.11)は活動上昇期 で、IMFは黒点数から遅れて増加する傾向がある。open flux足元領域が極へ向かって推移し、緯度15°度以下のopen fluxが大きく変動することで、IMFの時間変化にバタつきが見られる。この領域の変動は、赤道方向双極子磁場または四重極子磁場の変動と対応している。期間II (-CR2152; 2014.07)は、黒点数ピークと極磁場反転が起こり、光球高緯度磁場 ±[60-75°]が0に近付く。それに伴い、この領域のオープンフラックスと軸方向双極子磁場が0に近づくため、低緯度領域のみIMFに寄与する。低緯度では黒点数が多く、閉じた磁場が増加するため、IMFの増加は停滞する。期間III (-CR2157; 2014.11)は、IMFがピークをとり、極磁場反転後に光球磁場±[60-75°]緯度帯に極性が現れることで、軸方向双極子磁場が急増する。サイクル24では、同時期に巨大黒点AR12192が出現したことで、赤道方向双極子磁場も急増し、±[45-60°]緯度帯のopen fluxが急増し、結果的にIMFも急増した。期間IV (-CR2187; 2017.02)は、活動下降期で、黒点数減少に伴い、光球磁場±[45-60°]緯度帯オープンフラックスとIMFが減少し始める。これは赤道方向双極子磁場・四重極子磁場の変動とも対応している。一方、軸方向双極子磁場は安定しており、|60-75°|緯度からのオープンフラックスが支配的になる。期間V (-CR2250; 2021.10)は、極小期から次サイクルの初期で、光球磁場±[60-75°]緯度帯からのopen flux割合が50%以上になり、ほとんどのCRで70-90%のオープンフラックスがこの領域起源である。軸方向双極子磁場が赤道方向双極子磁場を上回っているが、変動はなく安定している。 ±[60-75°]緯度帯からのopen flux割合がピークになるまでIMFは減少し続け、その後増加していく。
以上のように、地球近傍IMFの進化と、進化に寄与する定量的な太陽磁場の特徴を明らかにした。太陽が地球へ及ぼす影響を長期的な磁場変動の側面から理解することで、宇宙天気研究へ寄与する。
本研究では、太陽活動周期を通してIMFがどのように変動しているのか、各サイクルに共通する特徴や特別な変動、何がそれを作り出しているのかを探った。
サイクル21からサイクル25のIMF変動の周期や進化の特徴を、ウェーブレット解析や長期的な傾向から抽出した。その中でサイクル24-25に着目し、太陽磁場の球面調和間数次数(l, m)成分と光球におけるオープンフラックス足元の緯度ごとの時間変動を解析し、太陽磁場の何がIMFのどんな変動を作り出しているのか、その特徴の変化をCarrington Rotation (CR)ごとに定量的に探った。
IMF変動の特徴によって太陽サイクルを5期間にわけて結果を述べる。期間I (サイクル24ではCR2108-CR2130; 2011.03-2012.11)は活動上昇期 で、IMFは黒点数から遅れて増加する傾向がある。open flux足元領域が極へ向かって推移し、緯度15°度以下のopen fluxが大きく変動することで、IMFの時間変化にバタつきが見られる。この領域の変動は、赤道方向双極子磁場または四重極子磁場の変動と対応している。期間II (-CR2152; 2014.07)は、黒点数ピークと極磁場反転が起こり、光球高緯度磁場 ±[60-75°]が0に近付く。それに伴い、この領域のオープンフラックスと軸方向双極子磁場が0に近づくため、低緯度領域のみIMFに寄与する。低緯度では黒点数が多く、閉じた磁場が増加するため、IMFの増加は停滞する。期間III (-CR2157; 2014.11)は、IMFがピークをとり、極磁場反転後に光球磁場±[60-75°]緯度帯に極性が現れることで、軸方向双極子磁場が急増する。サイクル24では、同時期に巨大黒点AR12192が出現したことで、赤道方向双極子磁場も急増し、±[45-60°]緯度帯のopen fluxが急増し、結果的にIMFも急増した。期間IV (-CR2187; 2017.02)は、活動下降期で、黒点数減少に伴い、光球磁場±[45-60°]緯度帯オープンフラックスとIMFが減少し始める。これは赤道方向双極子磁場・四重極子磁場の変動とも対応している。一方、軸方向双極子磁場は安定しており、|60-75°|緯度からのオープンフラックスが支配的になる。期間V (-CR2250; 2021.10)は、極小期から次サイクルの初期で、光球磁場±[60-75°]緯度帯からのopen flux割合が50%以上になり、ほとんどのCRで70-90%のオープンフラックスがこの領域起源である。軸方向双極子磁場が赤道方向双極子磁場を上回っているが、変動はなく安定している。 ±[60-75°]緯度帯からのopen flux割合がピークになるまでIMFは減少し続け、その後増加していく。
以上のように、地球近傍IMFの進化と、進化に寄与する定量的な太陽磁場の特徴を明らかにした。太陽が地球へ及ぼす影響を長期的な磁場変動の側面から理解することで、宇宙天気研究へ寄与する。