日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM12] Coupling Processes in the Atmosphere-Ionosphere System

2025年5月26日(月) 09:00 〜 10:30 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:細川 敬祐(電気通信大学大学院情報理工学研究科)、Liu Huixin(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)、座長:Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)、Lin Charles(Department of Earth Sciences, National Cheng Kung University)

09:15 〜 09:30

[PEM12-20] 共鳴散乱Ca/Ca+ライダー: CaおよびCa+層の同時観測と温度・風速計測への展開

*橋本 彩香1江尻 省2,3、小林 蒼汰1、三好 咲也子1、宮城 晃1、中川 賢一1津田 卓雄1、大饗 千彰1中村 卓司2,3桂川 眞幸1,2 (1.電気通信大学、2.国立極地研究所、3.総合研究大学院大学)

キーワード:共鳴散乱ライダー、カルシウム原子、カルシウムイオン、チタンサファイアレーザー

地球大気の大気圏・電離圏の遷移領域に分布する流星起源のCaとCa+の双方を同時に観測することができる共鳴散乱Ca/Ca+ライダーを開発してきた。ライダーは二波長注入同期ナノ秒パルスTi:sapphireレーザーをシステムの核としている。このレーザーは、単一のレーザー共振器からCaとCa+のそれぞれの共鳴遷移(Ca: 845.5836 nm; Ca+: 786.9540 nm)に同調された二波長を同時に発振できることに際立った特長をもつ。レーザー共振器の出力結合ミラーに正確な波長依存性を持たせることで、50 nm以上も離れた上記二波長の同時発振を実現した。

ライダーシステムとしての開発が一定の段階に達したので、長時間にわたる同時観測を初めて試みた。一晩に渡るCaおよびCa+の同時観測をおこなうことができた(24, Dec., 2024)。CaとCa+はどちらも一晩を通して80-105 km高度領域に分布しており、その消長は一見して多くの箇所で類似しているが、複雑な時空構造の振舞いとは異なるところがあり、さらに詳細な解析が必要である。

このライダーシステムは高い周波数純度(30 MHz)と周波数精度(数MHz)をもつ。周波数掃引をおこなうことで計測されるドップラープロファイルから観測高度域の温度と風速を計測する能力も持っている。実際に、周波数掃引を3分周期に設定し、1時間に渡るCa+温度の連続観測を試みた。計測されたドップラープロファイル形状から、Ca+を対象に、超高層大気域のイオン温度計測(平均: 168±6 K, 15, Jan., 2025)をおこなえることを確かめることができた。

当日は、開発したライダーシステムの装置側に重点をおいて、このライダーシステムを用いて何ができるか、今後、どのようなことが期待できるかについて報告したい。