日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM12] Coupling Processes in the Atmosphere-Ionosphere System

2025年5月26日(月) 10:45 〜 12:15 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:細川 敬祐(電気通信大学大学院情報理工学研究科)、Liu Huixin(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)、座長:齊藤 昭則(京都大学大学院理学研究科地球物理学教室)、穂積 裕太(The Catholic University of America)


12:00 〜 12:15

[PEM12-30] 大気圏-電離圏変動下の短波伝搬を可視化するHF-STARTウェブシステムの機能向上

*垰 千尋1中田 裕之2阿部 祥大2、平 和昌1西岡 未知1斎藤 享3穂積 コンニャナット4 (1.情報通信研究機構、2.千葉大学、3.海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所、4.University of Scranton)

キーワード:HF-START、短波伝搬、電離圏、宇宙天気

短波無線通信や宇宙天気利用者のために開発された短波帯の電波伝搬シミュレータHF-START (High Frequency Simulator Targeting for All-users’ Regional Telecommunications)は、ウェブサイトhttps://hfstart.nict.go.jpを通して、オンラインで利用が可能となっている。HF-STARTは、リアルタイムGNSS観測に基づく電子密度情報を用いた日本国内における任意の2地点間、および、全球大気圏-電離圏結合モデルGAIA(Ground-to-Topside Model of Atmosphere and Ionosphere for Aeronomy)による電子密度情報を用いて約1日先までの予測を含む世界中の任意の2地点間での、短波帯電波の伝搬経路をレイトレーシング手法で求めて可視化する。ウェブサイトではリアルタイムの伝搬状況を図示するとともに、過去の短波帯電波の伝搬については、日本国内はGNSS観測データを用いた推定を行うことができ、全球においてはGAIAに加えて電離圏経験モデルIRI-2016を用いた推定ができる。2021年3月からサービスを開始し、最近のアクセス数は1日あたり20-80件程度、多いときは400件近くとなっている。

今回、主に下記3点についてシステムを向上し、更新版ウェブサイトの公開を2025年3月に予定している。
1. 減衰量の導出と表示:短波電波は電離圏や地表反射等によって減衰され、実際に電波が受信点まで届くかどうかは減衰量に左右される。上記の電子密度分布に加えて、GAIAから求めた中性大気との衝突周波数情報を用いて電離圏による減衰量を求め、地表反射による減衰量とあわせて、経路ごとの全吸収量を提示するようにした。
2. ロングパス計算機能の追加:電離圏の状況によっては、ショートパスと呼ばれる地球上の2地点間を最短距離で結んだ線(大圏コース)上を伝搬するパスよりも、その180度反対向きの線上を伝搬するロングパスの方が短波通信に有効となることがある。
3. アマチュア無線用周波数帯のリアルタイム伝搬状況の追加:ユーザーからのリクエストに応じ追加した。
これらの実現のためのモデル検討や電離圏変動に応じた伝搬特性の実例について、本発表で紹介する。