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[PEM12-P08] 船舶自動識別装置の電波を用いたスポラディック E の動的特性の可視化

キーワード:スポラディック E、船舶識別装置
スポラディック E(Sporadic E: Es)は、電離圏 E 領域高度 95-120 km に発生する電子密度が増大した薄い層である。ほとんどの Es は夏の昼間に発生し、強い Esは VHF(Very High-frequency)帯の電波を反射し異常長距離伝搬を発生させることが知られている。これまでの研究によって、航空航法用電波の長距離伝搬が報告されてきたが、最近Chartier et al.(2022)によって、船舶識別装置(Automatic Identification System: AIS)で用いられている 162 MHz 帯船舶無線においても、Es反射による長距離伝搬が発生していることが示されている。しかし、この Chartier らによる研究は、政府機関による限られた受信点のデータを用いているため、商用 AIS 受信機網による多点データの有効性については検証されていない。よって、本研究では、東洋信号通信社が日本国内 に100 点以上配備している AIS 受信機網によって得られた商用多点AISデータを用いて Es の動的特性の可視化が可能かについて検証を行う。特に、Es 空間分布や動きの2次元的なモニタリングに対するフィージビリティを確認する。
商用データによって長距離伝搬が観測され、イオノゾンデによって Es の発生が確認できた 2024 年 7 月 7 日の事例について解析を行ったところ、受信点と送信点の中間点が日本海上に集中して分布していることが確認されたため、AIS 信号を利用した Es 観測の有効性が明らかになった。また、中間反射点をプロットした動画から、Es の形状や移動の可視化が可能であることも確認することができた。この Es の事例では、中間反射点の集合が北東方向に伸び、湾曲した形状を示していた。さらに、北緯 37.0 度と東経 134.0 度の断面に沿った中間反射点の位置の時間変化を解析することによって、西方向に約 84.2±24.9 m/s 、北方向に約 27.3±8.2 m/s の速度で Es が移動していたことも明らかになった。
2024 年 5—8 月の期間に得られた商用データの統計解析も実施した。Es が発生していることを意味する fxEs が 8 MHz 以上である回数と、長距離伝搬(1000—2500 km)、中距離伝搬(500—1000 km)の 1 日ごとの発生回数の比較から、Es の発生と長距離伝搬、中距離伝搬に相関があることが確認された。また、長距離伝搬と中距離伝搬に弱い正の相関があることも分かった。長距離伝搬は Es による反射であると考えられるが、中距離伝搬は Es 内の局所的な高電子密度構造、もしくは Es による散乱が原因である可能性が考えられる。ただし、Chartier et al.(2022)では、中距離伝搬は対流圏ダクトと関連があることが指摘されており、今後は対流圏ダクトのデータと組み合わせた解析を行う必要がある。発表では、中距離伝搬の中間反射点を地図上にプロットすることで Es による散乱の可能性についても考察を行う。また、2024 年 7 月 7 日以外のイベントについての解析結果も報告する予定である。
商用データによって長距離伝搬が観測され、イオノゾンデによって Es の発生が確認できた 2024 年 7 月 7 日の事例について解析を行ったところ、受信点と送信点の中間点が日本海上に集中して分布していることが確認されたため、AIS 信号を利用した Es 観測の有効性が明らかになった。また、中間反射点をプロットした動画から、Es の形状や移動の可視化が可能であることも確認することができた。この Es の事例では、中間反射点の集合が北東方向に伸び、湾曲した形状を示していた。さらに、北緯 37.0 度と東経 134.0 度の断面に沿った中間反射点の位置の時間変化を解析することによって、西方向に約 84.2±24.9 m/s 、北方向に約 27.3±8.2 m/s の速度で Es が移動していたことも明らかになった。
2024 年 5—8 月の期間に得られた商用データの統計解析も実施した。Es が発生していることを意味する fxEs が 8 MHz 以上である回数と、長距離伝搬(1000—2500 km)、中距離伝搬(500—1000 km)の 1 日ごとの発生回数の比較から、Es の発生と長距離伝搬、中距離伝搬に相関があることが確認された。また、長距離伝搬と中距離伝搬に弱い正の相関があることも分かった。長距離伝搬は Es による反射であると考えられるが、中距離伝搬は Es 内の局所的な高電子密度構造、もしくは Es による散乱が原因である可能性が考えられる。ただし、Chartier et al.(2022)では、中距離伝搬は対流圏ダクトと関連があることが指摘されており、今後は対流圏ダクトのデータと組み合わせた解析を行う必要がある。発表では、中距離伝搬の中間反射点を地図上にプロットすることで Es による散乱の可能性についても考察を行う。また、2024 年 7 月 7 日以外のイベントについての解析結果も報告する予定である。