17:15 〜 19:15
[PEM13-P20] リオメータを用いたサブストーム発生前後の高エネルギー電子降下特性の研究:
フィンランドの多周波リオメータデータを用いたエポック解析 (SEA)

キーワード:リオメータ、サブストームリスト、エポック解析
サブストームオンセットの直後に、磁気圏から高エネルギー電子が降下し、電離圏 D 領域(高度60−90 km)を電離することが観測的に知られている。このようなサブストームオンセットに伴う短時間の低高度電離は、リオメータによって観測される銀河電波雑音吸収(Cosmic Noise Absorption: CNA)の増大として検知され、特に短時間で増大しその後減衰するようなCNAの増大をabsorption spikeと呼んでいる。サブストームに伴う低高度電離はこれまで多くの研究がなされてきたが、その全てが低周波数の単一周波数を受信するリオメータを用いたものでありCNAの周波数依存性は明らかになっていない。また、サブストームオンセット前後の高エネルギー電子降下の特性やabsorption spikeの発生時間についての十分な理解が得られているとは言えない。
そこで本研究では、20−55 MHz の広帯域観測が可能な多周波リオメータと、世界各地で発生した多数のサブストーム発生日時を含むサブストームリスト(Forsyth et al., 2015)を用いて、サブストーム発生前後の電子降下の特性を統計的に解析する。解析には、フィンランドのキルピスヤルビ(69.07 N, 20.75 E)において 2022 年 10 月から稼働しているリオメータの 2023 年の観測データを用いた。サブストームリストから、オンセットが20—24 UTの時間帯に発生した 359 個のサブストームを抽出し、オンセット時刻を0エポックタイムとするSuperposed Epoch Analysis(SEA)を実施した。これらのサブストームが発生していた時間帯に、キルピスヤルビのリオメータはおおよそ23−03 MLTにおいて観測を行っていたため、サブストームに伴って即時的に発生するCNAの増大、absorption spikeを検出することが期待される。これにより、サブストーム発生前後の CNA の平均的な時間変化を導出し、電子降下の特性を明らかにすることが可能になる。
解析の結果、オンセットの 1 時間前から成長相のオーロラアークに伴うと考えられる弱い電子降下が確認され、オンセットの約 20 分前からCNAに僅かな減少が見られることが分かった。また、オンセットの後,CNA の増大は約 20 分でピークに達し absorption spike が見られ、その後約 3 時間かけて緩やかに減衰することも明らかになった。CNA の周波数依存性に着目したところ、高周波数帯よりも低周波数帯において CNA の増大幅が大きく、電子降下の影響が低周波数で顕著であることが分かった。さらに、オンセット領域とリオメータ観測の観測領域の距離によってデータを分けて SEA 解析を行ったところ、真夜中から離れた朝側では CNA が増大するタイミングに時間遅れがあることも明らかになった。一般的にサブストームは真夜中前の磁気地方時 (23 MLT付近) において発生する頻度が高いことが知られている。また、リオメータの観測場所であるキルピスヤルビのMLTはUTとの間に約3時間のオフセットがある(MLT ≈UT+3)ため、キルピスヤルビのリオメータは20−21 UTに発生したサブストームをよりオンセットに近い場所で観測できることになる。このことから、21 UT以降に発生したサブストーム (例えば 24 UT) は、オンセット領域とリオメータ観測領域の距離が長いため、時間遅れが大きくなるという特徴を示していると考えられる。発表では、サブストームオンセットの時刻を 2023 年の全てのUTに拡張し、より長い時間スケールでの電子降下の特性について解析を行った結果を示す。解析する時間幅を長くすることで、例外的に真夜中前に発生しないサブストームの解析への影響を小さくできると考えている。さらに、キルピスヤルビのリオメータでの観測結果に加え、他の緯度での観測における観測データ(オウルヤルビ)を用いた解析結果についても報告を行う予定である。また、サブストームの発生に伴う電子降下に見られる季節依存性についても解析を進め、サブストームに伴う磁気圏からの電子降下の特性について議論を行う。
そこで本研究では、20−55 MHz の広帯域観測が可能な多周波リオメータと、世界各地で発生した多数のサブストーム発生日時を含むサブストームリスト(Forsyth et al., 2015)を用いて、サブストーム発生前後の電子降下の特性を統計的に解析する。解析には、フィンランドのキルピスヤルビ(69.07 N, 20.75 E)において 2022 年 10 月から稼働しているリオメータの 2023 年の観測データを用いた。サブストームリストから、オンセットが20—24 UTの時間帯に発生した 359 個のサブストームを抽出し、オンセット時刻を0エポックタイムとするSuperposed Epoch Analysis(SEA)を実施した。これらのサブストームが発生していた時間帯に、キルピスヤルビのリオメータはおおよそ23−03 MLTにおいて観測を行っていたため、サブストームに伴って即時的に発生するCNAの増大、absorption spikeを検出することが期待される。これにより、サブストーム発生前後の CNA の平均的な時間変化を導出し、電子降下の特性を明らかにすることが可能になる。
解析の結果、オンセットの 1 時間前から成長相のオーロラアークに伴うと考えられる弱い電子降下が確認され、オンセットの約 20 分前からCNAに僅かな減少が見られることが分かった。また、オンセットの後,CNA の増大は約 20 分でピークに達し absorption spike が見られ、その後約 3 時間かけて緩やかに減衰することも明らかになった。CNA の周波数依存性に着目したところ、高周波数帯よりも低周波数帯において CNA の増大幅が大きく、電子降下の影響が低周波数で顕著であることが分かった。さらに、オンセット領域とリオメータ観測の観測領域の距離によってデータを分けて SEA 解析を行ったところ、真夜中から離れた朝側では CNA が増大するタイミングに時間遅れがあることも明らかになった。一般的にサブストームは真夜中前の磁気地方時 (23 MLT付近) において発生する頻度が高いことが知られている。また、リオメータの観測場所であるキルピスヤルビのMLTはUTとの間に約3時間のオフセットがある(MLT ≈UT+3)ため、キルピスヤルビのリオメータは20−21 UTに発生したサブストームをよりオンセットに近い場所で観測できることになる。このことから、21 UT以降に発生したサブストーム (例えば 24 UT) は、オンセット領域とリオメータ観測領域の距離が長いため、時間遅れが大きくなるという特徴を示していると考えられる。発表では、サブストームオンセットの時刻を 2023 年の全てのUTに拡張し、より長い時間スケールでの電子降下の特性について解析を行った結果を示す。解析する時間幅を長くすることで、例外的に真夜中前に発生しないサブストームの解析への影響を小さくできると考えている。さらに、キルピスヤルビのリオメータでの観測結果に加え、他の緯度での観測における観測データ(オウルヤルビ)を用いた解析結果についても報告を行う予定である。また、サブストームの発生に伴う電子降下に見られる季節依存性についても解析を進め、サブストームに伴う磁気圏からの電子降下の特性について議論を行う。
