17:15 〜 19:15
[PEM14-P08] 磁場の観点から探る太陽と地球や惑星間空間の結びつき

キーワード:惑星間空間磁場、光球磁場、開放磁場、宇宙天気
太陽は磁場をもち、その大局的な磁場構造 (コロナ磁場構造)は約11年の太陽活動周期に伴って変化している。太陽表面に現れる正極と負極の対磁場である黒点に代表されるように、磁場は太陽活動の良い指標となっている。太陽表面 (光球) から延びるコロナ磁場には「閉じた」磁場と「開いた」磁場 (オープンフラックス) が存在する。オープンフラックスはプラズマの流れ出しである太陽風と共に、惑星間空間へと広がる。太陽極小期 (黒点数極小)には、太陽磁場は双極子構造をとり、主に極域から延びるオープンフラックスが惑星間空間磁場(IMF) を形成する。太陽極大期 (黒点数極大)には、強い磁場が集中している活動領域が多く出現するため、太陽磁場構造は複雑になり、オープンフラックスの流源ははっきりしない。太陽磁場がどのように惑星間空間へと広がり、IMF を形成しているかを理解することは、太陽の磁気活動が、地球や惑星間空間にどのような影響を及ぼしているかを知る、宇宙天気研究の基礎となる。
しかし、太陽磁場から惑星間空間磁場 (IMF) へとつながる、包括的な磁場の振る舞いの理解は未だ乏しい。理解を妨げる重大な問題の一つにオープンフラックス問題(Linker et al., 2017; Wallace et al., 2019)が挙げられる。IMFは太陽光球磁場からコロナ磁場モデルを用いて外挿して推定することができるが、地球近傍L1地点でその場観測したIMFに比べて、太陽活動周期にわたって3分の1程度に過小評価されている。これは、太陽磁場流出源から地球周辺磁場までの物理的な結びつきの理解が乏しいことに起因し、太陽と惑星間空間や地球をつなぐ研究に大きな影響を及ぼす。実際に、宇宙天気現象に伴う地球近傍への影響を正しく見積もることが困難である。例えば、太陽風モデルSUSANOOを用いた太陽風予測には、入力値として用いる太陽磁場外挿を定数倍する必要があるなどの影響が生じている。したがって、オープンフラックス問題は宇宙天気予報などの実利用にも深く関連する課題と言える。
本研究では、この問題に対して、オープンフラックスの推定値は、IMFに対して、大きさは過小評価しているが、変動は近い傾向を推定できていることに着目した。そこで、太陽サイクル23から25にかけて、IMFの変動と太陽磁場の変動を比較することで、IMFを太陽磁場のどの成分が作り出しているのかを検証した。SDO 衛星HMI望遠鏡、SOHO衛星MDI望遠鏡の光球磁場マップとpotential field source suface (PFSS) モデルを用いて、コロナ磁場を球面調和関数で(l, m)の次数成分に分解し、その結果とIMF の変動を比較した。その結果、地球近傍IMFは、いずれの太陽サイクルにおいても黒点数の11年周期変動に対して約半年から1年遅れて極大を迎えることがわかった。また、IMFが最大になる時、cの赤道方向双極子磁場が卓越していることがわかった。太陽極小期には、太陽軸方向双極子成分(l,m)=(1, 0)が大局的な双極子磁場構造を形成し、IMFを作り出しているが、IMFの変動は非双極子成分(l≧2)の変動によって生じることが示唆された。したがって、オープンフラックス問題改善のためには、太陽緯度中低緯度の光球磁場に着目することが期待される。
以上の結果は、Yoshida et al. (2023)での解析に基づいており、先論文で太陽サイクル24について示唆されていた特徴が、別サイクルでも共通してみられることが明らかになった。太陽が地球へ及ぼす影響を理解する上で、磁場の観点から結びつきを考慮することは太陽風や宇宙天気の理解の基盤となる。
しかし、太陽磁場から惑星間空間磁場 (IMF) へとつながる、包括的な磁場の振る舞いの理解は未だ乏しい。理解を妨げる重大な問題の一つにオープンフラックス問題(Linker et al., 2017; Wallace et al., 2019)が挙げられる。IMFは太陽光球磁場からコロナ磁場モデルを用いて外挿して推定することができるが、地球近傍L1地点でその場観測したIMFに比べて、太陽活動周期にわたって3分の1程度に過小評価されている。これは、太陽磁場流出源から地球周辺磁場までの物理的な結びつきの理解が乏しいことに起因し、太陽と惑星間空間や地球をつなぐ研究に大きな影響を及ぼす。実際に、宇宙天気現象に伴う地球近傍への影響を正しく見積もることが困難である。例えば、太陽風モデルSUSANOOを用いた太陽風予測には、入力値として用いる太陽磁場外挿を定数倍する必要があるなどの影響が生じている。したがって、オープンフラックス問題は宇宙天気予報などの実利用にも深く関連する課題と言える。
本研究では、この問題に対して、オープンフラックスの推定値は、IMFに対して、大きさは過小評価しているが、変動は近い傾向を推定できていることに着目した。そこで、太陽サイクル23から25にかけて、IMFの変動と太陽磁場の変動を比較することで、IMFを太陽磁場のどの成分が作り出しているのかを検証した。SDO 衛星HMI望遠鏡、SOHO衛星MDI望遠鏡の光球磁場マップとpotential field source suface (PFSS) モデルを用いて、コロナ磁場を球面調和関数で(l, m)の次数成分に分解し、その結果とIMF の変動を比較した。その結果、地球近傍IMFは、いずれの太陽サイクルにおいても黒点数の11年周期変動に対して約半年から1年遅れて極大を迎えることがわかった。また、IMFが最大になる時、cの赤道方向双極子磁場が卓越していることがわかった。太陽極小期には、太陽軸方向双極子成分(l,m)=(1, 0)が大局的な双極子磁場構造を形成し、IMFを作り出しているが、IMFの変動は非双極子成分(l≧2)の変動によって生じることが示唆された。したがって、オープンフラックス問題改善のためには、太陽緯度中低緯度の光球磁場に着目することが期待される。
以上の結果は、Yoshida et al. (2023)での解析に基づいており、先論文で太陽サイクル24について示唆されていた特徴が、別サイクルでも共通してみられることが明らかになった。太陽が地球へ及ぼす影響を理解する上で、磁場の観点から結びつきを考慮することは太陽風や宇宙天気の理解の基盤となる。