11:00 〜 11:15
[PEM15-07] 極方向伝播型脈動オーロラ中の降下電子フラックス平均エネルギーの時空間変動
キーワード:脈動オーロラ、コーラス波、コンピュータトモグラフィ
脈動オーロラは数秒から数十秒の間隔で準周期的に点滅するオーロラであり、オーロラブレイクアップ直後から昼間側にかけて広い範囲で発生する。近年、脈動オーロラ中に降下する相対論的電子が中間圏オゾンの破壊に寄与していることが示唆されており注目を集めている。脈動オーロラを発生させる降下電子は磁気赤道面付近の波動–粒子相互作用によるピッチ角散乱によって駆動されることが磁気圏観測衛星により解明されている。しかし、衛星観測では時空間変動の分離が不可能であり、その場で点滅する脈動オーロラと伝搬を繰り返す脈動オーロラの違いが何によって生み出されるかについては解明されていない。そこで本研究では、スカンジナビア半島北部に設置された複数の全天カメラにより取得されたオーロラ画像を用いたコンピュータトモグラフィにより、磁気嵐時に真夜中過ぎから朝方で観測されるトーチ状オーロラ内の極方向伝播型脈動オーロラの時空間変動を明らかにすることを目的とする。また、あらせ衛星–地上光学同時観測により、極方向伝播型脈動オーロラとコーラス波動の関係について議論する。
2023年3月23–24日にコロナ質量放出による磁気嵐が発生した。その回復相中の2023年3月26日01:03–01:10 UTには Tromsø (69.58°N, 19.22°E)、Skibotn (69.35°N, 20.36°E)、Kilpisjärvi (69.05°N, 20.78°E) に設置された全天カメラの共通視野内で高緯度伝播型脈動オーロラが観測された。このイベントで観測された極方向伝播型脈動オーロラは、トーチの中心部の非伝搬型パッチ状オーロラを起点としてトーチの高緯度境界に向かって約10秒の間隔で伝搬を繰り返していた。そこで、この3地点で観測された波長427.8 nm、557.7 nmのオーロラ画像を用いて一般化オーロラコンピュータトモグラフィを実施し、極方向伝播型脈動オーロラと非伝搬型パッチ状オーロラの降下電子の平均エネルギーの2次元分布を再構成した。その結果、それぞれのオーロラの再構成された降下電子フラックスの平均エネルギーは極方向伝播型脈動オーロラが17–28 keV、非伝搬型パッチ状オーロラは31–37 keVであり、極方向伝播型脈動オーロラの方が数keVから数十keV低いことが明らかとなった。
上記のイベントではあらせ衛星のフットプリントは全天カメラの視野内に存在しなかったが、2017年3月29日00:28–00:30 UTにSodankylä (67.42ºN、26.39ºE) に設置されて全天カメラとあらせ衛星による極方向伝播型脈動オーロラの同時観測が実現した。あらせ衛星のフットプリントが東西方向に伝搬する脈動オーロラや円弧状に拡大する脈動オーロラを通過する際には磁気緯度約-15度で観測されるLower-band chorus (LBC) 波とあらせ衛星のフットプリントで観測される脈動オーロラ発光強度の時間変化に1対1の対応関係が確認された。一方で、極方向伝播型脈動オーロラが出現している時間帯にはLBC波の振幅は約10 pTと小さく、オーロラ発光強度の時間変化との1対1対応も見られなかった。このことから、極方向伝播型脈動オーロラを発生させるLBC波は磁気圏で高緯度に伝搬することができない環境にあると推測することができる。LBC波のサイクロトロン共鳴エネルギーは磁気緯度が高くなるほど高くなるため、この仮説は極方向伝播型脈動オーロラの降下電子フラックスの平均エネルギーが低いという一般化オーロラトモグラフィの結果とも整合的である。
2023年3月23–24日にコロナ質量放出による磁気嵐が発生した。その回復相中の2023年3月26日01:03–01:10 UTには Tromsø (69.58°N, 19.22°E)、Skibotn (69.35°N, 20.36°E)、Kilpisjärvi (69.05°N, 20.78°E) に設置された全天カメラの共通視野内で高緯度伝播型脈動オーロラが観測された。このイベントで観測された極方向伝播型脈動オーロラは、トーチの中心部の非伝搬型パッチ状オーロラを起点としてトーチの高緯度境界に向かって約10秒の間隔で伝搬を繰り返していた。そこで、この3地点で観測された波長427.8 nm、557.7 nmのオーロラ画像を用いて一般化オーロラコンピュータトモグラフィを実施し、極方向伝播型脈動オーロラと非伝搬型パッチ状オーロラの降下電子の平均エネルギーの2次元分布を再構成した。その結果、それぞれのオーロラの再構成された降下電子フラックスの平均エネルギーは極方向伝播型脈動オーロラが17–28 keV、非伝搬型パッチ状オーロラは31–37 keVであり、極方向伝播型脈動オーロラの方が数keVから数十keV低いことが明らかとなった。
上記のイベントではあらせ衛星のフットプリントは全天カメラの視野内に存在しなかったが、2017年3月29日00:28–00:30 UTにSodankylä (67.42ºN、26.39ºE) に設置されて全天カメラとあらせ衛星による極方向伝播型脈動オーロラの同時観測が実現した。あらせ衛星のフットプリントが東西方向に伝搬する脈動オーロラや円弧状に拡大する脈動オーロラを通過する際には磁気緯度約-15度で観測されるLower-band chorus (LBC) 波とあらせ衛星のフットプリントで観測される脈動オーロラ発光強度の時間変化に1対1の対応関係が確認された。一方で、極方向伝播型脈動オーロラが出現している時間帯にはLBC波の振幅は約10 pTと小さく、オーロラ発光強度の時間変化との1対1対応も見られなかった。このことから、極方向伝播型脈動オーロラを発生させるLBC波は磁気圏で高緯度に伝搬することができない環境にあると推測することができる。LBC波のサイクロトロン共鳴エネルギーは磁気緯度が高くなるほど高くなるため、この仮説は極方向伝播型脈動オーロラの降下電子フラックスの平均エネルギーが低いという一般化オーロラトモグラフィの結果とも整合的である。
