日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM15] Dynamics of Magnetosphere and Ionosphere

2025年5月29日(木) 13:45 〜 15:15 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:今城 峻(京都大学大学院理学研究科附属地磁気世界資料解析センター)、佐藤 由佳(日本工業大学)、藤本 晶子(九州工業大学)、山本 和弘(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、座長:大山 伸一郎(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、中溝 葵(情報通信研究機構 電磁波研究所)


14:00 〜 14:15

[PEM15-12] 2次元多流体プラズマシミュレーションを用いたIAR高度における密度構造の非線形発展

*川上 航典1吉川 顕正1深沢 圭一郎2樋口 颯人1 (1.九州大学、2.総合地球環境学研究所 )


キーワード:IAR、オーロラ、Alfven波

IAR(Ionospheric Alfven Resonator)は電離圏上空に存在するAlfven波の共鳴領域であり、磁気圏電離圏結合系においてオーロラの発展に大きな影響を持つ領域の一つである。これまでEISCATレーダーやFAST衛星による観測から、IAR構造内ではプラズマ密度の減少、並びに分散性Alfven波の発展と、それに伴う粒子加速が生じることが明らかにされてきた[Aikio et al., 2004, Chaston et al., 2006]。この観測されたIAR高度における分散性Alfven波によって加速された粒子は、オーロラ加速領域において未解明問題である初期形成・発展過程におけるエネルギー源となる可能性がある。そのため、分散性Alfven波が発展する条件であるプラズマ密度の減少と、フィラメント構造の発展に関する物理機構の解明は喫緊の課題である。先行研究[Streltsov and Lotko 2008, Sydorenko et al., 2008]では、プラズマ密度の減少に焦点を当て、IAR共鳴構造に起因する平行方向非線形ローレンツ力がその要因であると考え、多流体プラズマシミュレーションを用いてプラズマ密度構造の発展について再現を行なった。その結果、共鳴構造腹部分におけるプラズマ密度の減少を確認したが、同時に節部分において密度が増加し、高度方向に密度の疎密構造が形成されるという観測結果と一部一致しない点が見られた。
そこで、本研究ではIAR共鳴構造に起因する平行方向非線形ローレンツ力だけでなく、磁気圏から入射してくるAlfven波自体が持つ垂直方向の空間構造に起因する垂直方向非線形ローレンツ力もプラズマ密度の減少において重要であると着想した。この着想を基に現在は、先行研究と同様に分散性Alfven波を再現しつつ、平行方向だけでなく垂直方向も含んだ非線形ローレンツ力によるプラズマ密度変動が再現可能な多流体プラズマ方程式系に基づいた数値計算実験を行なっている。発表ではIARのオーロラ加速領域形成における重要性について言及し、2次元多流体プラズマシミュレーションから得られたプラズマ密度構造の非線形発展について観測結果と比較について発表する予定である。