17:15 〜 19:15
[PEM15-P04] Geotail衛星によるAuroral Kilometric Radiationの長期統計解析:自動検出技術の適用
キーワード:地球、オーロラキロメトリック放射、Geotail衛星
Auroral Kilometric Radiation (AKR) は、地球が放つ最強の電波放射である。オーロラ磁力線上の高エネルギー電子がサイクロトロン共鳴を起こすことで放射される。強度はオーロラField aligned current量、周波数は放射高度(電波源のサイクロトロン周波数)と相関しうるため、オーロラ電子の全体量と加速高度の良い指標となる。太陽活動からの影響を含めたこの長期的な統計解析には、1992年9月から2022年6月の約30年間に及ぶGeotail衛星Plasma Wave Instrument [PWI]の良質なデータが最適である。AKRの発生周波数帯(〜数十kHz 〜 500-600 kHz) には、Solar type-III burst も重畳する。長期統計解析には、これらを自動除去して解析することが望ましい。自動識別手法は、主観性を排除し、かつ統計解析の負担を軽減できるため、非常に有効である。
この周波数帯をカバーする長寿命衛星としては、他にWind衛星(1994〜)がある。AKRは地球の夜側に向けてより強く放射されることが知られ、L1近傍に滞在する時間の長いWind衛星には不向きな対象といえるが、Waters et al. (2021) ではこの解析を試行している。Solar type-III burstの電場強度の時間変動は、AKRよりも小さい。この論文ではこれを利用し、衛星スピンの影響がないZ軸(スピン軸平行アンテナ) を用いて3-sec(〜1-spin)以内の時間変動の標準偏差を閾値として、Solar type-III burstを自動検出する手法を用いた。
我々は、このWatersらの自動検出手法をGeotail衛星に適用することを検討した。Geotail衛星は1992〜1994年には主に磁気圏尾部に、その後は10〜30 Reの赤道面に近い楕円軌道を周回する。このため、夜側へ放射されるAKRの長期解析に適したデータを提供する(1994年以降、ローカルタイム・磁気緯度が季節と相関しうることに注意する必要はある)。AKRの周波数帯は、PWI Sweep Frequency Analyzer (SFA) によってカバーされる(電場:数Hz〜800 kHz)。このデータにWatersらの手法の適用を試みる際、Wind衛星と比べてGeotail衛星は以下の問題を有する。(1) スピン軸平行アンテナが存在しない。衛星スピン軸は南北方向を向いているため、スピンによって電場アンテナと電波到来方向の角度が変動し、電場強度にスピン位相に起因する変動が重畳する。(2) SFAは5つのバンドに別れ、AKR観測に最も適するBand-5 (100-800kHz)の周波数方向のスイープには8-secかかる。このため、同一周波数におけるデータ取得周期は8-secで、より短時間の変動を捉えない。
このため、Geotail PWI/SFAデータにおいてSolar type-III bursを識別する手法として、 本研究では以下の2つの方法を混合した手法を検討している。 (A) 時間方向の変動が小さいこと: スピンに伴う強度変動を抑制するため、データは24-sec (8-sec周期のデータ3つ分。3-sec周期のスピン8回分)の平均を単位とし、この時間変動の標準偏差を閾値とする(例:+-3回分、162-sec)。Windと比べて時間窓が長くなることに留意する必要がある。 (B) 周波数方向の変動が小さいこと: Solar type-III burstはより広帯域で強度が一定のため、この周波数変動の標準偏差も閾値とする(周波数幅は検討途上)。2025年2月頭段階の試行では、概ねSolar type-III burstを自動識別して除去することができつつある。100%の識別率ではないが、AKRの統計解析に支障がない程度は実現可能な見込みである。
AKRの強度・周波数変動については、数日〜数年単位の比較的短期の変動解析がなされてきた。その中には、 (1) AKRのローカルタイム・磁気緯度にみられる放射パターンとその磁気圏活動度への依存性、(2) AKRの放射強度・周波数にみられる地球自転軸の太陽風傾斜角への関係とその季節依存性といった、オーロラ電子量と加速電場形成に絡む指摘がなされている。30年間・約3回の太陽活動周期をカバーする貴重なGeotail衛星データを用いて、これらを太陽活動度依存性を含むより長期的な研究へ展開していく予定である。本講演では、その初期結果にも触れる予定である。
この周波数帯をカバーする長寿命衛星としては、他にWind衛星(1994〜)がある。AKRは地球の夜側に向けてより強く放射されることが知られ、L1近傍に滞在する時間の長いWind衛星には不向きな対象といえるが、Waters et al. (2021) ではこの解析を試行している。Solar type-III burstの電場強度の時間変動は、AKRよりも小さい。この論文ではこれを利用し、衛星スピンの影響がないZ軸(スピン軸平行アンテナ) を用いて3-sec(〜1-spin)以内の時間変動の標準偏差を閾値として、Solar type-III burstを自動検出する手法を用いた。
我々は、このWatersらの自動検出手法をGeotail衛星に適用することを検討した。Geotail衛星は1992〜1994年には主に磁気圏尾部に、その後は10〜30 Reの赤道面に近い楕円軌道を周回する。このため、夜側へ放射されるAKRの長期解析に適したデータを提供する(1994年以降、ローカルタイム・磁気緯度が季節と相関しうることに注意する必要はある)。AKRの周波数帯は、PWI Sweep Frequency Analyzer (SFA) によってカバーされる(電場:数Hz〜800 kHz)。このデータにWatersらの手法の適用を試みる際、Wind衛星と比べてGeotail衛星は以下の問題を有する。(1) スピン軸平行アンテナが存在しない。衛星スピン軸は南北方向を向いているため、スピンによって電場アンテナと電波到来方向の角度が変動し、電場強度にスピン位相に起因する変動が重畳する。(2) SFAは5つのバンドに別れ、AKR観測に最も適するBand-5 (100-800kHz)の周波数方向のスイープには8-secかかる。このため、同一周波数におけるデータ取得周期は8-secで、より短時間の変動を捉えない。
このため、Geotail PWI/SFAデータにおいてSolar type-III bursを識別する手法として、 本研究では以下の2つの方法を混合した手法を検討している。 (A) 時間方向の変動が小さいこと: スピンに伴う強度変動を抑制するため、データは24-sec (8-sec周期のデータ3つ分。3-sec周期のスピン8回分)の平均を単位とし、この時間変動の標準偏差を閾値とする(例:+-3回分、162-sec)。Windと比べて時間窓が長くなることに留意する必要がある。 (B) 周波数方向の変動が小さいこと: Solar type-III burstはより広帯域で強度が一定のため、この周波数変動の標準偏差も閾値とする(周波数幅は検討途上)。2025年2月頭段階の試行では、概ねSolar type-III burstを自動識別して除去することができつつある。100%の識別率ではないが、AKRの統計解析に支障がない程度は実現可能な見込みである。
AKRの強度・周波数変動については、数日〜数年単位の比較的短期の変動解析がなされてきた。その中には、 (1) AKRのローカルタイム・磁気緯度にみられる放射パターンとその磁気圏活動度への依存性、(2) AKRの放射強度・周波数にみられる地球自転軸の太陽風傾斜角への関係とその季節依存性といった、オーロラ電子量と加速電場形成に絡む指摘がなされている。30年間・約3回の太陽活動周期をカバーする貴重なGeotail衛星データを用いて、これらを太陽活動度依存性を含むより長期的な研究へ展開していく予定である。本講演では、その初期結果にも触れる予定である。
