日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM15] Dynamics of Magnetosphere and Ionosphere

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:今城 峻(京都大学大学院理学研究科附属地磁気世界資料解析センター)、佐藤 由佳(日本工業大学)、藤本 晶子(九州工業大学)、山本 和弘(名古屋大学宇宙地球環境研究所)


17:15 〜 19:15

[PEM15-P17] 高空間分解能地上観測によるオーロラビーズの時空間発展の可視化

*秋元 咲那1細川 敬祐1大山 伸一郎2三好 由純2小川 泰信3田中 良昌3 (1.電気通信大学大学院 情報理工学研究科、2.名古屋大学宇宙地球環境研究所、3.国立極地研究所 )


キーワード:オーロラビーズ

サブストームの爆発相では, 輝度が高いディスクリートオーロラが全天を埋め尽くすように見られ,これをオーロラブレイクアップと呼ぶ. 本研究では, オーロラブレイクアップの前兆として注目されている「オーロラビーズ」 と呼ばれる現象に着目する. オーロラビーズは,オーロラブレイクアップ前に現れる微小なビーズ状のオーロラで, 数kmから数十kmの空間スケールを持ち,東西に伝搬しながら成長し,最終的には大きな渦構造を形成するという特徴を持つ. 南北半球での磁気共役性や,輝度が指数関数的に時間発展する様子から,磁気圏尾部のプラズマ不安定性がその生成に関与していると考えられるが, その具体的なメカニズムの特定には至っていない.これは,これまでの研究の多くが,空間解像度が低い全天カメラを用いていたため, オーロラビーズがどこでどのように形成されるのかを詳細に捉えることができなかった. しかし、新しいqCMOSカメラを活用することで、より精細な観測が可能となる.

この問題を解決するために, 本研究では,従来の全天カメラよりも空間解像度の高いqCMOSカメラを用いて, オーロラビーズの事例を解析する. qCMOSカメラはノルウェーのSkibotn (69.35N, 20.36E) に設置されており, 解析には2023年11月10日の21:30 UTから約15分間のデータを用いた. 地磁気活動としては, キルピスヤルビにおいてサブストームによる地磁気X成分の変動(negative bay)が約200 nT程度の振幅で見られ, AE指数の増大も200 nT程度であったことから,典型的なサブストームイベントに伴う変動が見られていたと考えられる.また,こららのデータから,本イベントの規模は小規模のサブストームに相当すると考えられる. カメラには,視野角70°程度のレンズと即時発光のみを計測するための BG3 フィルターが装着されている. 空間解像度は1024x576ピクセル, 時間分解能は20 FPS (Frame Per Second) となっており, 視野の中心部では 0.1 km程度の空間解像度でオーロラの高速撮像を行うことが可能になっている.

オーロラビーズ構造の成長過程を明らかにするために, qCMOSカメラによって得られた画像に対して,地理座標へのマッピングとフラットフィールディングを行い, 南北・東西ケオグラム,オーロラビーズの連続画像,オーロラビーズを含む領域の輝度およびその標準偏差の時間変化を解析した. その結果,オーロラビーズの東西方向波数が減少するに従って輝度が増大し, ある時間までは指数関数的に成長することが分かった. また,先行研究(Kataoka et al., 2012)と同程度かそれ以下の数kmという空間スケールからオーロラビーズの発現が捉えられており,オーロラビーズの初期段階において明るさが二段階で成長している点も一致していた. また, 本研究で新たに分かった新しい点として, オーロラビーズの構造が顕在化する5分程度前から,背景成分を引いた画像において東へ伝搬する小スケールの波状構造が見えていることも明らかになった. この波状構造はオーロラビーズの駆動源となる不安定性の種に対応している可能性がある. 発表では,これらの構造について波数や輝度の時間発展を示し,オーロラビーズの発現および成長を支配するプロセスについて議論を行う.