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[PPS01-P05] プラズマ照射実験に基づくエウロパ表層の塩化物塩の枯渇時間評価

キーワード:氷衛星、照射実験
木星の氷衛星であるエウロパは、その内部に液体の水からなる内部海を持つことから生命環境の存在が示唆されている天体の1つである。ガリレオ探査機による近赤外マッピング分光器(NIMS)で得られた反射スペクトルと室内実験で得られたスペクトルの比較結果 (Carlson et al. 2001)から、内部海から表層への物質の輸送が示唆されており、表層物質の化学組成の理解は、間接的に内部海の化学組成、およびハビタビリティの理解に繋がると考えられている(Schubert et al.2004)。しかし、表層物質は惑星周辺のプラズマ等の照射により組成情報が変性する宇宙風化を経験している(Cooper et al.2001)。この風化により、複数種の物質からなる化学サイクルが発生しており、風化前のエウロパ表層物質の組成は未解明である。現在、内部海由来の表層物質として塩化物塩と硫酸塩が候補として注目されている(Cooper et al.2001)。大槻(東京理科大学修士論文, 2024年)では硫酸塩へのプラズマ照射実験による内部海由来説の検証が行なわれた。照射実験により、宇宙風化による化学サイクルを再現し、MgSO4の表層枯渇時間や枯渇過程が得られた。一方でLigier et al.(2016)では地上超大型望遠鏡による近赤外波長領域の観測結果と、室内実験で得られたスペクトルを用いた数値シミュレーションが行なわれた。その結果、内部海の噴出が期待される領域でMgCl2を含む塩化物塩のスペクトルが確認されたことから、MgCl2を含む塩化物塩も内部海物質の候補とされている。しかし、塩化物塩の存在は示唆されるものの枯渇過程再現の前例が無く、宇宙風化による化学サイクルや枯渇過程などが不明のため、表層の塩化物塩の実証には至っていない。そのため、内部海の塩化物塩濃度等も未解明である。
そこで本研究では、塩化物塩である塩化マグネシウム(MgCl2)に大槻(東京理科大学修士論文, 2024年)と同条件で電子及び酸素イオン、水素イオンをそれぞれ3.71E+14(/cm2/s), 1.85E+14(/cm2/s),5.05E+14(/cm2/s)のフラックスで3時間照射し、塩化物塩の化学サイクルを再現した。その結果塩化物塩サンプルからCl,Cl2,HClなどのガスの生成が観測された。中間赤外域における照射前後の相対反射スペクトルでは、硫酸塩のスペクトル変化(7.6μm帯の硫黄同素体ピーク, 大槻, 東京理科大学修士論文, 2024年)と異なり13μm, 6μm, 4μm付近に新たにピークが発生した。これらは、照射によって試料中に物質や結晶構造の変化等が新たに生成されたことを意味する。今後は、実験で得られた各物質の生成率に基づいて脱ガスの反応断面積を求めたうえで、MgCl2の枯渇時間を数値シミュレーションに基づいて推定する。この結果と硫酸塩の先行研究(大槻,東京理科大学修士論文, 2024年)を比較しつつ、塩化物塩のエウロパ表層での枯渇過程を議論する予定である。本発表では上記の現状を報告する。
そこで本研究では、塩化物塩である塩化マグネシウム(MgCl2)に大槻(東京理科大学修士論文, 2024年)と同条件で電子及び酸素イオン、水素イオンをそれぞれ3.71E+14(/cm2/s), 1.85E+14(/cm2/s),5.05E+14(/cm2/s)のフラックスで3時間照射し、塩化物塩の化学サイクルを再現した。その結果塩化物塩サンプルからCl,Cl2,HClなどのガスの生成が観測された。中間赤外域における照射前後の相対反射スペクトルでは、硫酸塩のスペクトル変化(7.6μm帯の硫黄同素体ピーク, 大槻, 東京理科大学修士論文, 2024年)と異なり13μm, 6μm, 4μm付近に新たにピークが発生した。これらは、照射によって試料中に物質や結晶構造の変化等が新たに生成されたことを意味する。今後は、実験で得られた各物質の生成率に基づいて脱ガスの反応断面積を求めたうえで、MgCl2の枯渇時間を数値シミュレーションに基づいて推定する。この結果と硫酸塩の先行研究(大槻,東京理科大学修士論文, 2024年)を比較しつつ、塩化物塩のエウロパ表層での枯渇過程を議論する予定である。本発表では上記の現状を報告する。