17:15 〜 19:15
[PPS01-P06] 硫酸ナトリウムへのプラズマ照射実験によるエウロパのナトリウム希薄大気生成過程と表層化学組成の解明

キーワード:エウロパ、氷衛星、照射実験
木星の氷衛星であるエウロパは、内部海を持つことから生命の存在が示唆されている天体の1つである。内部海と表層の間では水や塩などの物質の輸送が示唆されており (Schubert et al., 2004)、エウロパ表層の物質の化学組成等の理解は内部海環境の化学組成およびハビタビリティの理解につながる(Schubert et al., 2004)。エウロパでは、木星磁気圏プラズマ等の照射により表層でスパッタリング等の宇宙風化が起こる。それにより弾き出された粒子は希薄大気を生成する一方で、表層物質の化学組成は変化すると考えられている(Carlson et al., 2009)。現在、内部海由来の表層物質として塩化物塩と硫酸塩が候補として注目されている(Cooper et al., 2001)。Hoshino et al. (in prep) では、NaClへのプラズマ照射と物理化学モデリングにより、エウロパのNa希薄大気生成を表層組成と関連付けることに成功した。同研究では、プラズマ照射実験から得られたNa大気のスパッタリング率を制約条件に3次元希薄大気モデリング (Leblanc et al., 2002) を行い、エウロパ周囲のNa希薄大気の総量を推定した。その結果、地上望遠鏡観測によるNa希薄大気総量の見積もり (Brown and Hill, 1996) の半分である約400 kgとなった。これはエウロパ表層にはNaCl以外の硫化ナトリウム(Na2SO4)等のNa源が存在し、希薄大気生成に有意に寄与していることを示唆する。しかし、木星磁気圏プラズマ照射によるNa2SO4からのNaスパッタリング率や、スパッタリング後のNa希薄大気の分布は明らかになっておらず、Na2SO4とNa希薄大気は関連付けられていないため、表層におけるNa2SO4の実証には至っていない。
そこで本研究では、Na2SO4にHoshino et al. (in prep)と同様の条件で荷電粒子を照射し、スパッタリングyieldを評価した。室温において、電子、水素イオン、酸素イオンをそれぞれ8.58E+14 /cm^2/sと8.87E+13 /cm^2/s、9.42E+14 /cm^2/sと2.06E+14 /cm^2/s、4.63E+14 /cm^2/sと1.92E+13 /cm^2/sのフラックスで、90分照射した結果、Na原子のスパッタリングyieldは、電子で2.72E-04 /incident particleと5.56E-04 /incident particle、水素イオンで2.51E-04 /incident particleと8.29E-04 /incident particle、酸素イオンで7.4E-03 /incident particleと8.81E-03 /incident particleであることがわかった。この結果はNaCl実験(Hoshino et al. prep.)の収量よりも十分に小さく、エウロパのNa大気へのNa2SO4の寄与は優位に小さいことを示した。入射粒子のフラックスに対するyieldの依存性を評価したところ、電子、水素イオン、酸素イオンのすべての入射粒子において負の相関があることが明らかになった。この依存性を外挿して、実際のエウロパ表層環境の入射粒子フラックス下におけるyieldにすると電子で5.9E-04 /incident particle、水素イオンで9.9E-04 /incident particle、酸素イオンで9.8E-03 /incident particleと見積もられた。現在は、実際のエウロパ表層温度(80~100K)を再現した測定を目的に、サンプルを低温に維持する制御システムを開発中である。これにより、よりリアルな温度条件におけるスパッタリングyieldを求めたうえで、それを制約条件にNa希薄大気モデリングを行う予定である。本研究では上記の現状を報告する。
そこで本研究では、Na2SO4にHoshino et al. (in prep)と同様の条件で荷電粒子を照射し、スパッタリングyieldを評価した。室温において、電子、水素イオン、酸素イオンをそれぞれ8.58E+14 /cm^2/sと8.87E+13 /cm^2/s、9.42E+14 /cm^2/sと2.06E+14 /cm^2/s、4.63E+14 /cm^2/sと1.92E+13 /cm^2/sのフラックスで、90分照射した結果、Na原子のスパッタリングyieldは、電子で2.72E-04 /incident particleと5.56E-04 /incident particle、水素イオンで2.51E-04 /incident particleと8.29E-04 /incident particle、酸素イオンで7.4E-03 /incident particleと8.81E-03 /incident particleであることがわかった。この結果はNaCl実験(Hoshino et al. prep.)の収量よりも十分に小さく、エウロパのNa大気へのNa2SO4の寄与は優位に小さいことを示した。入射粒子のフラックスに対するyieldの依存性を評価したところ、電子、水素イオン、酸素イオンのすべての入射粒子において負の相関があることが明らかになった。この依存性を外挿して、実際のエウロパ表層環境の入射粒子フラックス下におけるyieldにすると電子で5.9E-04 /incident particle、水素イオンで9.9E-04 /incident particle、酸素イオンで9.8E-03 /incident particleと見積もられた。現在は、実際のエウロパ表層温度(80~100K)を再現した測定を目的に、サンプルを低温に維持する制御システムを開発中である。これにより、よりリアルな温度条件におけるスパッタリングyieldを求めたうえで、それを制約条件にNa希薄大気モデリングを行う予定である。本研究では上記の現状を報告する。