日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS03] 太陽系小天体:太陽系の形成と進化における最新成果と今後の展望

2025年5月30日(金) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:荒川 創太(海洋研究開発機構)、岡田 達明(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、吉田 二美(産業医科大学)、深井 稜汰(宇宙航空研究開発機構)


17:15 〜 19:15

[PPS03-P07] リュウグウ全球・局所モザイク地図作成

*平田 直之1巽 瑛理2市川 真弓2本田 和広2 (1.神戸大学、2.宇宙科学研究所)

キーワード:リュウグウ、小惑星

小惑星探査機はやぶさ2に搭載された光学航法カメラ(ONC)によって、膨大な数のリュウグウの画像データが撮影された。これらの画像を用いて①各画像の撮影条件(撮影時点での、探査機の位置と姿勢)の推定②高精度リュウグウ地図の作製を行う。地図は、リュウグウを調査する上で基盤となる情報である。また、地図があることで、コンピュータヴィジョンに明るくない科学者にも、はやぶさ2のサイエンス創出に取り組んでもらいやすくなると期待する。画像データ撮影時点での精密な探査機の位置・姿勢推定も、観測条件という観点で基礎的なデータである
はやぶさ2搭載のONCカメラには、望遠カメラ(T)と広角カメラ(W1)、側面が撮影できる広角カメラ(W2)が搭載されている。Ryuguの表面の様子がわかるONC画像は、T,W1,W2あわせて約8300枚撮影されている。このうち約7600枚は、ガスケル氏が作製したSPC(Stereo Photoclinometry) と呼ばれるソフトを用いて、田中小百合氏によって探査機の位置と姿勢が高精度で推定された。これらの作業によって、その7600枚の画像については地図作成が直ちにできる状態になっている。この時、2018年10月2日~10月15日にかけてのLIDAR 測距データが絶対的に信頼できると仮定し、これを基準としてすべての画像の探査機位置・姿勢・リュウグウの絶対的スケールが決定された(Watanabe et al. 2019)。一方で、残りの約700枚の画像については、探査機の位置・姿勢の推定が難しく、特にW2画像については1枚も解析されていない。これらの探査機位置姿勢未推定の画像はいずれも近接接近時の画像であり、MINERVA投下運用、MASCOT投下運用、Touch-Down 1, 2運用時に撮影されたもので、特に科学的価値が高い。これら残された700枚余の画像の探査機位置姿勢の推定を行い、ローカルな高解像度地図を作製することは重要である。
複数の画像データから同一点(コントロールポイントと呼ぶ)を探索し、それによって画像データ間を結び付け、画像・コントロールポイントの幾何学的位置関係を解析することで、画像と探査機の両方の位置の精度を向上させる。未知数は、①地面に対するカメラの位置と姿勢、②画像の任意のピクセルが撮影している地点における、リュウグウの緯度・経度・標高、の2つである。これら2つの未知パラーメータは相互に影響しあっており、複数画像のリュウグウの写り様から最尤推定解を探ることになる(バンドル調整)。この一連の作業を効率よく行うためのソフトウェアを新規に開発した。この作業の結果として作成された一連のモザイク地図を成果として公開する。こういった取り組みは、より多くの画像データが撮影される予定の火星衛星探査計画(MMX)でも生かすことができると考えられる。