日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS05] Recent advances in the science of Venus

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:佐藤 毅彦(宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部)、はしもと じょーじ(岡山大学学術研究院自然科学学域)、McGouldrick Kevin(University of Colorado Boulder)、Tellmann Silvia(University of Cologne)

17:15 〜 19:15

[PPS05-P08] 放射過程を組み込んだAFES-Venusを用いたデータ同化に向けた予備的検討

*松嶋 俊樹1樫村 博基1高橋 芳幸1杉本 憲彦2、髙木 征弘3林 祥介1 (1.神戸大学惑星科学研究センター、2.慶應義塾大学 自然科学研究教育センター、3.京都産業大学)

キーワード:大気大循環モデル、放射スキーム、内部変動、データ同化

金星探査機「あかつき」が取得した観測データと金星大気大循環モデル「AFES-Venus」(Sugimoto et al., 2014)を「ALEDAS-V」(Sugimoto et al., 2017)でデータ同化し、金星大気循環のより確からしい描像が得られるようになってきた(Fujisawa et al.,2022)。ただし、AFES-Venusでは、大気の熱力学的構造を計算する上で重要な放射過程は、与えられた太陽加熱とニュートン冷却の組み合わせによって簡略化されてきた。我々は、データ同化により、金星大気循環のより物理的に整合した推測を得ることを目標として、Takahashi et al. (2023) で開発された惑星大気の相関k分布法による放射スキームをAFES-Venusに導入し、その物理的性能について調査を進めてきた (e.g. JpGU 2024年度大会 )。

本研究では、この数値モデルを用いて、カメラ画像からリトリーバルされた風速データのデータ同化を行うために、データ同化の最適なパラメータを探索する。我々の数値モデルでは、定圧比熱一定 (Cp=900 J/(kg K))の理想気体を考えて おり、これは高度40 km 以上 の雲層にあたる範囲では妥当な近似である。し かしながら、下層においては、温度依存性を無視した理想気体の近似が妥当でないことや、放射活性物質の分布がよく特定されていないことに起因して、 上層においても一定のバイアスを含む、「不完全なモデル」であり、データ同 化を行う際にはそれも考慮した上での設計が重要になると考えられる。 また、 リトリーバルされる前の、直接的に観測された量は鉛直方向に広がったデータ であるから、鉛直方向に関しては、 より広い範囲において観測の情報を取り 込むことが、推定精度を上げるために重要であろう。

本発表では、放射過程を導入した数値モデルを用いたデータ同化プロダクトを作成するための最初のステップとして、内部変動の確率分布の調査と、その共分散行列の推定を行う。また、大きな不確実性を含む広い状態空間の中から、より観測に近い状態を生成する初期摂動の作成法を調査し、局所化スケールとアンサンブル数に関するパラメータ探査を行った結果を報告する。