15:45 〜 16:00
[PPS06-02] 原始地球大気とマグマオーシャンの共進化
キーワード:地球、原始大気、マグマオーシャン、進化
集積期の地球は衝突脱ガスや星雲ガスの捕獲によりH2に富む還元的原始大気を獲得したと予想される(e.g., Kuramoto and Matsui, 1996; Shaefer and Fegley, 2010; Zahnle et al., 2020).この時期に巨大衝突によって深いマグマオーシャンが形成された場合には,下部マントル圧力下で二価鉄(Fe2+)が不均化反応によって金属鉄と三価鉄(Fe3+)に分かれ,金属鉄のコアへの分離とマントル対流による三価鉄の均質化を経てマグマオーシャン全体が酸化されることが指摘されている(e.g., Armstrong et al., 2019; Deng et al., 2019; Kuwahara et al., 2023; Zhang et al., 2024).マグマオーシャンの酸化に伴い原始大気も酸化されると予想されるが,原始大気とマグマオーシャンの化学反応効率及びそれらの熱的化学的共進化過程の詳細は調べられてこなかった.
本研究では,大気中での惑星放射と太陽放射の伝達と収支,マグマオーシャンと大気間の化学的相互作用,メルト-固化マントル間の酸化物の分配を考慮した大気-惑星内部間結合進化モデルを構築し,マグマオーシャンの固化過程とその間の原始大気の組成進化を推定した.放射伝達計算では放射吸収源としてH2Oの線吸収と連続吸収,H2-H2衝突誘起吸収を,散乱源としてH2OとH2によるレイリー散乱を考慮し,惑星放射フラックスと太陽放射フラックスの収支に従いマグマオーシャンが冷却すると仮定した.マグマオーシャンと大気間の化学的相互作用推定のためH2とFe3+のマグマ中での拡散輸送と酸化還元反応を考慮した.さらにマグマオーシャンとマントル中のFeO, FeO1.5, MgO, SiO2, CaO, Al2O3 の平衡分配を考慮し,FeO と FeO1.5 の相対比からマグマオーシャンの酸化還元度を推定した.
総量が地球海洋質量程度以上の高圧H2-H2O大気ではH2Oの放射吸収とH2-H2衝突誘起吸収に加えて,レイリー散乱の影響で大気外に射出される惑星放射フラックスが著しく抑制され,レイリー散乱が ~1 micron以下の惑星放射に作用することで,地表面温度が 2000 K 以上の場合には散乱を考慮しない場合と比べて惑星放射フラックスが 1 桁以上低下する.またH2とマグマオーシャンの反応率は大気-マグマオーシャン間境界層におけるH2の拡散率によって律速され,マグマオーシャンの粘性率が低く境界層の更新が頻繁な場合にはH2酸化率は最大で ~103 bar/Myrとなる.以上から,巨大衝突直後に粘性率の低い深いマグマオーシャンが形成された場合には,その冷却過程で原始大気とマグマオーシャンが平衡に達するまで化学反応が進み,現在の地球水量と整合的な地球海洋質量以上の H2O が生成され得ることが明らかとなった.
本研究では,大気中での惑星放射と太陽放射の伝達と収支,マグマオーシャンと大気間の化学的相互作用,メルト-固化マントル間の酸化物の分配を考慮した大気-惑星内部間結合進化モデルを構築し,マグマオーシャンの固化過程とその間の原始大気の組成進化を推定した.放射伝達計算では放射吸収源としてH2Oの線吸収と連続吸収,H2-H2衝突誘起吸収を,散乱源としてH2OとH2によるレイリー散乱を考慮し,惑星放射フラックスと太陽放射フラックスの収支に従いマグマオーシャンが冷却すると仮定した.マグマオーシャンと大気間の化学的相互作用推定のためH2とFe3+のマグマ中での拡散輸送と酸化還元反応を考慮した.さらにマグマオーシャンとマントル中のFeO, FeO1.5, MgO, SiO2, CaO, Al2O3 の平衡分配を考慮し,FeO と FeO1.5 の相対比からマグマオーシャンの酸化還元度を推定した.
総量が地球海洋質量程度以上の高圧H2-H2O大気ではH2Oの放射吸収とH2-H2衝突誘起吸収に加えて,レイリー散乱の影響で大気外に射出される惑星放射フラックスが著しく抑制され,レイリー散乱が ~1 micron以下の惑星放射に作用することで,地表面温度が 2000 K 以上の場合には散乱を考慮しない場合と比べて惑星放射フラックスが 1 桁以上低下する.またH2とマグマオーシャンの反応率は大気-マグマオーシャン間境界層におけるH2の拡散率によって律速され,マグマオーシャンの粘性率が低く境界層の更新が頻繁な場合にはH2酸化率は最大で ~103 bar/Myrとなる.以上から,巨大衝突直後に粘性率の低い深いマグマオーシャンが形成された場合には,その冷却過程で原始大気とマグマオーシャンが平衡に達するまで化学反応が進み,現在の地球水量と整合的な地球海洋質量以上の H2O が生成され得ることが明らかとなった.