16:15 〜 16:30
[PPS06-04] 方解石砂への高速度衝突: 衝突点近傍の圧力分布
キーワード:衝撃変成、衝撃回収、炭酸カルシウム(方解石)、電子顕微鏡
天体衝突は衝撃波の発生によって太陽周りの軌道運動エネルギーを不可逆的に熱エネルギーに変換する地質過程である[e.g., Ahrens&O’Keefe72, Moon 4, 214-249]. 天体衝突時に形成された衝撃変成組織は各種隕石や月試料から発見され, 過去の太陽系の力学的励起状態を復元するために用いられてきた[e.g., Marchi+13, Nature Geo. 6, 303-307]. 復元作業には衝撃波伝播時の運動量•エネルギー分配過程を精確に理解している必要がある. 従来は多くの場合, 天体が均質媒体であることを仮定し,変成組織を形成するのに必要な衝突条件が見積もられてきた. ところが, 天然物質は鉱物粒子の混合体であり, 密度やサイズの不均質, 粒界や空隙が存在する. 近年ではMesoscaleで複数物質を扱える数値衝突計算手法が発展し, このような複雑系での衝撃波伝播を数値的に扱えるようになった. その結果, 複雑系では著しい圧力, 温度の空間不均質が生じることが明らかになってきた[Bland+14, Nature Comm. 5, 5451]. 衝撃を受けた隕石, 月試料の分析結果を解釈するにはこのような不均質性も考慮すべきであり, 最も強い衝撃波に晒される高速度衝突の爆心地におけるエネルギー分配過程を実証的に調べることは, 太陽系天体の離合集散を解明するために必須であろう.
このような問題意識から我々は粉体標的の衝突爆心点を無飛散で回収し, 組織内の圧力分布を計測することを試みた. 実験条件を最適化すると衝突クレータ中心におわん形状組織(以下, おわんと呼ぶ)が残され, 少量ではあるが衝突直下点の物質を回収可能である [黒澤ら23, JpGU]. 我々は別件で大理石(方解石の集合体)の衝撃回収実験を実施し, 電子顕微鏡観察下での衝撃圧力分類表を作成しつつある(Tomioka+25, American Mineralogist, in press). 今回はこの衝撃変成分類表をおわんへ適用した.
実験には宇宙科学研究所に設置された縦型二段式水素ガス銃を用いた. 先行研究で用いたのと同じイタリア産大理石を砕いて方解石砂に加工して, 直径2 mmのアルミニウム弾丸を~3 km/sで垂直衝突させた. アルミニウムと方解石結晶の物性から求められる衝突直下点圧力は~20 GPaである.実験後にクレータ底に残ったおわんを回収し, 樹脂埋めしたのち薄片に加工した. 衝撃変成組織の観察は東京大学に設置されている偏光顕微鏡, 電子線後方散乱検出器を備えた電子顕微鏡(SEM–EBSD)および, 海洋研究開発機構に設置されている透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて行った.
観察の結果, (1)衝突点からの距離に応じておわんを構成する方解石粒子の塑性変形による損傷度が変化すること, (2)Tomioka+25による衝撃分類表を適用すると衝突点から~1 mm程度の距離で<4 GPaまで減圧していることがわかった.
Acknowledgments: This work was supported by ISAS/JAXA as a collaborative program with the Hypervelocity Impact Facility. This research was supported by JSPS KAKENHI Grant No. JP21K18660.
このような問題意識から我々は粉体標的の衝突爆心点を無飛散で回収し, 組織内の圧力分布を計測することを試みた. 実験条件を最適化すると衝突クレータ中心におわん形状組織(以下, おわんと呼ぶ)が残され, 少量ではあるが衝突直下点の物質を回収可能である [黒澤ら23, JpGU]. 我々は別件で大理石(方解石の集合体)の衝撃回収実験を実施し, 電子顕微鏡観察下での衝撃圧力分類表を作成しつつある(Tomioka+25, American Mineralogist, in press). 今回はこの衝撃変成分類表をおわんへ適用した.
実験には宇宙科学研究所に設置された縦型二段式水素ガス銃を用いた. 先行研究で用いたのと同じイタリア産大理石を砕いて方解石砂に加工して, 直径2 mmのアルミニウム弾丸を~3 km/sで垂直衝突させた. アルミニウムと方解石結晶の物性から求められる衝突直下点圧力は~20 GPaである.実験後にクレータ底に残ったおわんを回収し, 樹脂埋めしたのち薄片に加工した. 衝撃変成組織の観察は東京大学に設置されている偏光顕微鏡, 電子線後方散乱検出器を備えた電子顕微鏡(SEM–EBSD)および, 海洋研究開発機構に設置されている透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて行った.
観察の結果, (1)衝突点からの距離に応じておわんを構成する方解石粒子の塑性変形による損傷度が変化すること, (2)Tomioka+25による衝撃分類表を適用すると衝突点から~1 mm程度の距離で<4 GPaまで減圧していることがわかった.
Acknowledgments: This work was supported by ISAS/JAXA as a collaborative program with the Hypervelocity Impact Facility. This research was supported by JSPS KAKENHI Grant No. JP21K18660.