日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2025年5月26日(月) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (3) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:冨永 遼佑(東京科学大学 理学院地球惑星科学系)、田畑 陽久(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、小林 真輝人(東京大学)、辰馬 未沙子(理化学研究所)、座長:芝池 諭人(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台)、冨永 遼佑(東京科学大学 理学院地球惑星科学系)

15:45 〜 16:00

[PPS06-22] 巨大惑星と原始惑星系円盤の共進化:土星形成のタイミング

*鈴木 慧次1田中 秀和1 (1.東北大学)

キーワード:原始惑星系円盤、巨大惑星形成、太陽系、数値シミュレーション

巨大ガス惑星は原始惑星系円盤のガスが暴走的に惑星へ降着することで形成される。このガス降着は原始惑星系円盤の光蒸発等による散逸まで継続し、円盤散逸の時点で最終的な巨大ガス惑星の質量が決まる。太陽系の木星や土星もこのようにして原始太陽系星雲の中で形成されたと考えられている。
本研究では、暴走ガス降着が進行する複数の巨大ガス惑星と原始惑星系円盤の共進化を、原始惑星系円盤の1次元面密度分布を解く数値シミュレーションを行うことで調べた。従来の木星・土星形成の研究の多くは、暴走ガス降着による成長を主に林モデルの最小質量円盤を想定し研究していた。本研究では、円盤質量や暴走ガス降着のタイミングなどのパラメータを変化させることで、木星や土星の形成において、暴走ガス降着時に原始惑星系円盤の質量や面密度はどのくらいが適しているのかを調査した。
本研究の計算では、巨大ガス惑星のガス降着率について数値流体計算結果をもとにしたTanigawa & Tanaka (2016)のモデルを用いた。原始惑星系円盤に対しては、α粘性降着円盤を仮定し、ある一定の光蒸発率によって散逸する円盤モデルを採用した。土星質量は木星質量の1/3であるため、土星のガス降着は木星より遅れて開始する必要がある。本研究では、円盤質量、光蒸発率、木星と土星がガス降着を開始する時間差 Δt という3つをパラメータを変化させて数値シミュレーションを実行し、木星や土星の形成に適したパラメータを探査した。林モデル程度の円盤質量(0.01太陽質量)で木星ガス降着を開始した計算では、木星と土星が成長しすぎることを避けるため比較的大きな光蒸発率が必要である。そのため、木星のガス降着開始時におけるその付近のガス面密度は林モデルの数分の1に減少している。また、両惑星のガス降着開始時間差Δtについては40万年という短時間が最適値であった。このとき、最終質量は光蒸発率やΔtに強く依存しファインチューニングが必要であった。これに対し、木星ガス降着開始時に円盤質量が0.02または0.03太陽質量と軽い場合は、光蒸発率とΔtに対する依存性は比較的弱く、木星と土星の各質量が実現される可能性は比較的高い。またこれらの場合は、木星ガス降着開始時の付近のガス面密度は林モデルの10%程度以下であった。木星と土星の成長に伴い付近のガス面密度は面密度ギャップ外でもさらに大幅に減少する。よって本研究の計算結果は、木星と土星のガス降着段階における形成領域付近のガス面密度は最小質量円盤よりも大幅に減少していることを示唆している。