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[PPS06-P01] 小天体の潮汐破壊による土星リング形成: 破壊後のデブリ長期進化のN体シミュレーション
キーワード:土星リング、土星衛星、N体シミュレーション
土星リングがいつ, どのようにして形成したのかという問題は, 惑星科学における重要な未解決の問題である. 土星リングがいつ形成したのかについては, 観測・理論両面から詳しく調べられており, その年代については未だ決着がついていない (e.g., Kempf et al. 2023, Estrada & Durisen, 2023, Hyodo et al. 2025). 一方で, 土星リングがどのようにして形成したのかについてはいくつかのシナリオが提唱されている. ここで着目するシナリオは, 土星近傍を通過した小天体が潮汐破壊され, それによって生じたデブリ粒子が円軌道化することでリングが形成されたというものである (e.g., Dones et al. 1991).
Hyodo et al. 2017は, このシナリオに基づいて小天体の潮汐破壊のSPHシミュレーションを行い, 現在のリングと, リングから染み出して形成された (Crida & Charnoz, 2012)と考えられている土星の内側衛星を十分補うことができるくらいの質量が土星に束縛されうることを示した. Hyodo et al. 2017では, 潮汐破壊後のデブリ粒子の粒子間の衝突によって離心率・軌道傾斜角が下がり, 最終的に円盤状のリングが形成されることを予想したが, 潮汐破壊でできたデブリ粒子の衝突や自己重力を考慮した長期進化過程は調べられていなかった. しかし, 衝突進化の結果どのようなリングが形成されるのかを知ることは, 土星リングや内側衛星の形成シナリオを制約する上で重要である.
本研究では, 潮汐破壊後のデブリ粒子の長期進化を粒子間衝突を考慮したN体シミュレーションを用いて調べた. Hyodo et al. 2017の場合と同様に, 均質な天体とコア-マントル構造を持つ天体を考えた. シミュレーション結果, 粒子間非弾性衝突によってデブリ粒子の離心率・軌道傾斜角は減衰し, 最終的の円盤状の薄いリングが形成されることがわかった. また, 潮汐破壊の際の近点の値によっては, 形成されたリングの面密度のピークがロシュ限界半径近くに位置し, その結果リングと同時に衛星も形成されることがわかった. この結果は, これまで考えられてきたリングの端から染み出した物質から衛星が形成されるというCrida & Charnozによる衛星形成モデルとは異なる過程で, 衛星がリングと同時に形成されうることを示している.
Hyodo et al. 2017は, このシナリオに基づいて小天体の潮汐破壊のSPHシミュレーションを行い, 現在のリングと, リングから染み出して形成された (Crida & Charnoz, 2012)と考えられている土星の内側衛星を十分補うことができるくらいの質量が土星に束縛されうることを示した. Hyodo et al. 2017では, 潮汐破壊後のデブリ粒子の粒子間の衝突によって離心率・軌道傾斜角が下がり, 最終的に円盤状のリングが形成されることを予想したが, 潮汐破壊でできたデブリ粒子の衝突や自己重力を考慮した長期進化過程は調べられていなかった. しかし, 衝突進化の結果どのようなリングが形成されるのかを知ることは, 土星リングや内側衛星の形成シナリオを制約する上で重要である.
本研究では, 潮汐破壊後のデブリ粒子の長期進化を粒子間衝突を考慮したN体シミュレーションを用いて調べた. Hyodo et al. 2017の場合と同様に, 均質な天体とコア-マントル構造を持つ天体を考えた. シミュレーション結果, 粒子間非弾性衝突によってデブリ粒子の離心率・軌道傾斜角は減衰し, 最終的の円盤状の薄いリングが形成されることがわかった. また, 潮汐破壊の際の近点の値によっては, 形成されたリングの面密度のピークがロシュ限界半径近くに位置し, その結果リングと同時に衛星も形成されることがわかった. この結果は, これまで考えられてきたリングの端から染み出した物質から衛星が形成されるというCrida & Charnozによる衛星形成モデルとは異なる過程で, 衛星がリングと同時に形成されうることを示している.